ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

テデスコ ギター協奏曲第1番ニ長調op99

2005-10-16 | CDの試聴記
10月1日に施行された法律改正の関係で、先週から各地でセミナーを開催しています。説明資料の作成等の事前準備にも相当時間をとられますので、いささかハードな毎日を送っています。
今週も名古屋と広島でセミナーがあるので、出張の時間のほうが長いくらいですね。
9日の日曜日に初めて生で聴いたウィーンフィルの素晴らしさは、一週間たったいまでも鮮烈に余韻として残っています。
あの弦の透明な響きはきっと一生忘れることがないでしょう。

さて、今日はギター協奏曲の名作をご紹介します。
ギター協奏曲の名作といえば、なんと言ってもロドリーゴのアランフェス協奏曲を避けて通れません。冒頭ラスゲアードで始まるワンフレーズだけであっという間に聴き手をスペインへ連れ去ってしまう素晴らしい第1楽章、あの哀愁を帯びた第2楽章、確かに素晴らしい曲だと思います。
しかし、アランフェス協奏曲以外にもギター協奏曲には名曲があります。
同じロドリーゴの「ある貴紳のための幻想曲」も名曲ですし、ヴィラロボスにもまたエストレリータで有名なポンセにも、古くはジュリアーニにも傑作と呼べるギター協奏曲があります。
そんな中で、私が最も好きなギター協奏曲がこのテデスコのギター協奏曲第1番です。


このテデスコというイタリア生まれの作曲家をご存知の方は、意外に少ないのではないでしょうか。
フルネームは、マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコと言います。
昔FM放送で彼の曲を流した時に、ユーモアのセンス溢れる解説者が、「この作曲家の名前は難しいので『カステラ女房 手ですくう』と覚えています」と話していたことを思い出しました。
このテデスコは、器楽曲・室内楽からオーケストラ曲、映画音楽まで幅広く作曲活動を続けた人で、ハイフェッツが名演を残しているバイオリン協奏曲第2番あたりが有名かもしれません。
でも彼の名を最も有名にしたのは、何と言ってもこのギター協奏曲ではないでしょうか。
ギターの神様セゴヴィアに捧げられたこの曲は、イタリアのどこまでも明るい空、真っ青な海を目の前でみるような印象を与えてくれます。
特に第2楽章:ロマンスの明るく済んだメロディは、一度聴いたら忘れられないでしょう。アランフェス協奏曲の切々とした哀愁とは、また一味違った魅力をもった音楽だと思います。
そして第3楽章は一転してリズミックな主題で始まります。この躍動感も第2楽章が美しかっただけに、大変大きなインパクトを聴き手に与えます。華麗なカデンツァを経て豪快にエンディング。
どのフレーズをとっても明るく爽やかな魅力に溢れており、献呈されたセゴビアがとくに気にいっていたこともうなずけます。

<曲目>
■テデスコ ギター協奏曲第1番ニ長調op99 ほか
<演奏>
ジョン・ウィリアムス(ギター)
サー・チャールズ・グローブス指揮
イギリス室内管弦楽団
<録音>
1977年

私のイチオシは、ジョン・ウィリアムスがサー・チャールズ・グローブスと組んで録音した演奏です。
とにかくギターが上手い。べらぼうに上手い。これだけ美しい音でかつ完璧に弾けるギタリストは今もいないのではないかしら。
また、グローブスの指揮がツボを押さえた絶妙の伴奏で、この演奏の魅力を一層際立たせています。
ジョンは、若いときにオーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団と組んでこれまた素晴らしい名演を残していますが、残念ながらCDでは発売されていないようです。
この旧盤は、アランフェスとカップリングされており、若き日のジョンがオーマンディ相手に真剣に向かい合っている姿が微笑ましく感じられる演奏でした。
その他にもこの名曲には素敵な演奏が数多くあるのですが、なんといってもまずセゴビアのSP録音を忘れるわけにはいきません。気力充実していた若かりしセゴビアの凄い気迫がひしひしと伝わってきます。
もう一枚、ドイツの大物ギタリストであったベーレントの演奏をあげます。
やや独特の音色なんですが、どこまでも明るいこの曲の雰囲気が良く出た演奏です。またこの演奏ではベルリンフィルが伴奏していることも大きな特徴です。
さすがに木管のソロなんかは抜群に上手い!

さあ、明日からまた出張だあ。
音楽中毒である私にとって、自宅で音楽が聴けない時は、ipod+B&Oのイヤースピーカーが無類の友になってくれます。
ipodちゃん、よろしくね。
コメント (7)
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