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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

世論調査と「蛙の王様」

2008-12-10 01:09:53 | 社会評論
 写真と本文は関係ありません。

 世論調査というものは私など統計に暗いものにとってはよく分からないところがあります。
 ひとつには、たった1,000人ぐらいの調査で状況が把握できるのだろうかという疑問です。
 それで出来るのだという話を聞いたことがあります。詳しくは覚えていませんが、そのときはなるほどと思ったものでした。

 
                閉鎖した写真館

 それでも、現実には疑問は残りました。
 その疑問は、そうした方法によってある程度公正な結果が得られるとするなら、にもかかわらず、各種の新聞社やTV局によってその結果にばらつきがあるのはどうしてかということです。
 そうした結果の差異には、その調査する側の恣意的な予断が入っているのではないかという疑いすらもったこともあります。

 しかし、今回の世論調査を見て驚きました。
 各新聞社のそれがほとんど同じ数字を示しているのです。例えば、内閣の支持率は、朝日22%、毎日21%、読売21%とほぼ同じです。しかも、政権にやや厳しいといわれている朝日の数字が、政権に甘いといわれている読売よりも今回は甘いのです。
 まあ、しかし、いずれにしても1%の違いですからこの統計的な数字には十分納得できます。
 今回、目にした一番甘い数字は、NHKの24%でした。まあ、国立放送としては多少遠慮気味でも厳しい数字を出さざるを得なかったということでしょうか。

 
                  冬の夕焼け

 もうひとつ驚いたことを付け加えれば、あの口も思考も軽く、朝令暮改で論理的・倫理的一貫性を著しく欠き、行動力も全くない人を、五人に一人の人が支持しているということです。
 その人たちはきっと、情報から隔絶されているか、あるいはそのマンガチックな状況をアイロニカルに楽しんでいるかのどちらかでしょう。

 でもこの数字を突きつけられた与党の人たちは大変ですね。
 「選挙の顔」として担ぎ出した人がこのていたらくですから、もはや何をか言わんやで、それぞれ勝手なことを言い放ち、それがまた逆スパイラルで自分のよって立つ基盤を掘り崩しつつあるようです。末期とはこうした状況でしょうね。

 「選挙の顔」にこだわる人たちは、この際、大阪の橋下知事や宮崎の東国原知事を党首にしてはといったことも結構真面目に検討しているようです。しかし、こうした発想は全く国民を舐めたものです。
 ようするに、国民は馬鹿だから、少し人気のあるキャラを担ぎ出せば付いてくると思っているのです。
 考えてみれば、そうした発想によって今の首相を「選挙の顔」として据えたのではなかったのでしょうか。

    
                  冬の虹

 しかし、私たちはそんな人気投票で国政を任せる人を選びはしません。
 今回の内閣不支持の理由は、各調査機関に共通して、政策の不適切あるいは無策、さらにはその実行力のなさをトップに挙げているのです。この大不況の中で、不正規採用の労働者がばたばたと首を切られ、それが正規雇用者にもおよび、さらには新卒の内定取り消しという詐欺のような事態が発生しているというのに、この政権はあちこちで軽口を叩くほか何の対策らしいこともしていません。

 くれと頼んだわけでもない給付金とやらを、有り難くいただけという口の端から、それを貰う奴は「さもしい」という発言が飛び出すなど、むちゃくちゃな事態となっています。
 不正規雇用を本採用とした企業には一人当たり100万円をくれてやるという「救済策」も、まさに今首を切られつつある労働者にも、また、もともとそういうものとして不正規採用を行っていた経営者にとっても、何の突っ張りにもならない思いつきに過ぎません。

 与党は小泉氏以降、あれこれ選挙用の顔を模索してきたようですが、その根本に、政策政見ではなく人気や顔で選挙を戦うのだという国民に対する完全な蔑視があります。ですから今度は、橋下氏や東国原氏をといった安易な発想が生まれるわけです。

 
             JR岐阜駅のイルミネーション

 これを見ていると、イソップの「蛙の王様」を思い出します。
 蛙たちは、丸太ん棒の王様では頼りないと神様に願いし、鶴か鷺のような王様を貰うのですが、その王様が蛙たちをみんな食べてしまったというあの物語です。
 タロウさんという王様は、ドンドン臣下を食べ尽くし、ついにはあの小泉氏もなしえなかった、「自民党をぶっ壊す」偉業を為そうとしているようです。

 「選挙の顔」ということで人気者をお捜しでしたら、お勧めしたい向きがあります。
 男性でしたら、氷川きよし氏、あるいは石川遼君などはいかがでしょう。
 女性でしたら、浅田真央さんなどはいかがでしょうか。
 私の好みとしては宮崎りえさんですが・・。

 たぶん、彼女や彼らは、沈みつつある泥船に乗るほど愚かではないと思いますが。
 



コメント (2)
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