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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

「うだつ」の上がらない私が・・。

2007-08-30 05:14:06 | よしなしごと
 先回の続きです。
 円空仏盗賊団はまんまと私たちを出し抜き、円空唯一の女性像というその「ほほえみ女僧」を盗み出したのです。
 もう一度、この前の私の日記の円空像をみ下さい。すばらし微笑みでしょう。もはやセクシャリティを越えた人類の微笑みそのものなのです。

  でも、もうないのです。窃盗者がせめてその保全に努力してくれることを祈ります。そうしてくれさえすれば、またどこかで会えるかも知れないからです。

 

 まあ、愚痴はそのくらいにして次の目的地美濃市へ向かいました。まさに美濃国の真ん中に位置する市です。
 私実は、この街を貫く国道を仕事や私用のためおそらく百回近く利用しているのですが、じっくりこの街を見るのは初めてなのです。

 齢だけ重ね「うだつが上がらぬ」男が「うだつの上がる町」見るのも逆説的で面白いように思われます。

 

 国道から入ってすぐの箇所にその町筋はあります。この美濃市には日本で最も多く「うだつ」が残っていて、それらの町屋が保存されているのです。

 その「うだつ」とは、屋根の両端を一段高くして火災の類焼を防ぐために造られた防火壁のことなのですが、裕福な家しか「うだつ」を造ることができなかったために、「うだつを上げる」とか「うだつが上がらない」の言葉もできたといわれています。

 

 写真はその実状です。
 ただ側壁風のものが作られているだけではなくそのそれぞれには家紋入りの瓦が添えられ、その形状にも幾分のバリエーションがあるのです。

 「うだつ」の保全は当然それを掲げる町屋そのものの保全に繋がります。
 その意味でこの街(市)はいい味を出しています。
 うだつのない町屋もそれはそれとして尊重し、町並みそのものが統一されているのです。

 

 駐車中の車のみが邪魔なのですが、にもかかわらず町並みはすっきりしているのです。そうなんです。この街の保存地区全体には電柱が一本もないのです。
 ですから写真を撮していてもそれらを気にすることはありません。ですが、TVアンテナには幾分気を使わざるえをえませんでした。

 先般、いわゆる木造の町屋そのものを保存することがいかに大変かを取材で知った私には、こうした町並みが随分懐かしく思えると同時に、この保全のための並々ならぬ努力を思ったのでした。

 
          珍しい湾曲したうだつ


 懐かしさ溢れる町並みです。お近くへいらっしゃったらどうぞお立ち寄りを。


                    




コメント (2)
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