ヒロヒコの "My Treasure Box"

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エディ・ジョブソン〜U.K.特別公演完全再現ライブ「カーテン・コール」Blu-ray

2017年01月22日 | プログレ
 2013年エディ・ジョブソンはジョン・ウェットンと組んでU.K.の2枚のアルバムを完全再現したライブを川崎クラブチッタにて行っていた。その模様を収録したBlu-rayを最近購入した。高額だったので最初は購入を躊躇したが、動画サイトで確認したギター&ドラムのサポート・メンバーの力量が高く、またサラウンドの音声トラックもあることから結局購入してしまった。だが、結論から言うとかなり物足りない内容だった。

 恐らく79年の時のように自ら会場に足を運んでいたらそれだけで足りた部分もあったのだろう。映像版ではそうした臨場感が乏しくなる上、ジョブソンもギターのアレックス・マハーチェクも演奏に集中してほとんど動きがない。ということで、画面を通すとあまり盛り上がれないという感覚になってしまったのである。ライティングも地味で、音だけで勝負という意味合いが強かったのかもしれない。

 この時ジョブソンはVAX77というキーボードを2台に重ねて演奏していたとのこと。これは正式にはMIDIコントローラーで、全ての音源をソフト・シンセにて適宜切り替えて使用していたらしい。従って鍵盤のセットも極めてシンプルで、両腕を左右に広げて2台のキーボードを弾くという往年のスタイルは見られない。またランデヴー 6:02等の曲でのバックヴォーカルもなし。その分ウェットンが一手に歌を引き受け頑張っていたのと、ドラムのマルコ・ミネマンが激しく叩きまくっていたのが救いである。

 注目したのはジョブソン記載による全曲の解説である。まず、バンド結成当時はヤマハ初のシンセサイザーCS80のサウンドに触発され愛用していたことが随所の記述でわかる。79年の日本公演でもメインに使っていた。次に、「憂国の四士」収録の「ソーホーの夜」「瞑想療法」の2曲はライブで演奏するのが難しい曲で、オリジナル・ラインアップで演奏されたことは一度もなかったとのこと。特に後者は今後の演奏もあり得ないが、今回の披露に対しメンバーは良くやってくれた、と記載している。テクニシャンの集まったスパーバンドでもそうした難曲があったことを面白く思った。もうひとつは、「デンジャー・マネー」のNOTHING TO LOSE。「これはエイジアの初ヒット作だったか?ジョンはその後この手の曲をたくさん作り…この曲のおかげで自分は今後何をしたくないのかがはっきりわかった。」と明確に言っている。つまりポップな路線をジョブソンは好まなかったということなのだろう。私もその後生まれたスパーバンド「エイジア」のアルバムをあまり好きにはなれなかった。非常に共感できる部分だった。

 この映像版はU.K.としてではなくエディ・ジョブソン名義でリリースされた。私はあまり気に入らなかったが、彼の音楽キャリアの中での貴重な記録ではある。だからこそ有能なミュージシャンとして今後どういった活動を進めていくのか、大いに期待するところである。