ふと、思い出したこと

あれは、今から、35年以上も前の事です

その頃、劇団研究生だった私は、劇団研究所まで私鉄に乗って、レッスンに通っていました

ある時、あわてて駅を降りたら、買ったばかりのバッグを電車に忘れた事に気づき

大慌てで、駅員さんに伝え、手配してもらったのですが

その頃の私にしては、ちょっとばかり多めのお金を入れたばかりのお財布が、気になって、気になって

オロオロして、取り乱した事を思い出します

結局、車掌さんから見える席に座っていたため、車掌さんがすぐに見つけて、最寄り駅の遺失物係に届けてくれていました

大した金額でもないし、安物のバッグだったし、今思えばあんなにオロオロすることはなかったのですが、当時の私には大金！

見つかって、その駅に取りに行った時は、涙が出るほど嬉しかったです


その駅で、駅員さんに、言われたのです
「君はえらい！」

「中を調べさせてもらったけど、君はいくつだ？」

何かと思えば、手帳につけていた、日記がわりのメモや家計簿を見て、私がどんな日々を過ごしているのかを知り

そのことを誉めてくれたのです

今ほど、個人情報について、やかましく言わない時代だったのでしょうね～

満面の笑顔で、大声で言ってくれました

「君は、絶対幸せになるよ、おじさんが保証する」

とにかく、駅員のおじさんが３人ほど、べた褒めに誉めてくれて、忘れ物はもどったし、何だかとても温かい気持ちになりました


あれから、ずいぶん年月が流れました

あの時のおじさんたち、今はどうしているでしょう…

夫も私も、あの頃に比べたら、随分余裕も出来ました


おかげさまで、幸せにしていますと、伝えることが出来ないのが、残念です…