老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

日本全国沖縄化の可視化

2018-10-12 22:27:10 | 安全・外交
先日、TV朝日の羽鳥モーニングショーで、首都圏の【横田空域】の問題を取り上げた。沖縄国際大学の前泊教授が解説していたが、これはTV番組では近来にない快挙だった。この問題は一種のタブーのようになっていて、TVで報道されることはほとんどなかった。羽鳥たちの度胸を褒めなければならない。

この問題は、東京オリンピックに向けて、羽田空港へ北側(内陸部)から着陸できるようにするため、米国と交渉していたが、米軍側が難色を示している問題の本質にかかわる。

首都圏空域の大半を他国の軍隊が自由に飛行でき、しかも空域の管制権も米軍が持っている。自国の飛行機が自由に飛行できないなど、他の先進国では考えられない。

具体的に言うと、東京~大阪(伊丹空港)は現在の空域では50分。横田空域を取っ払うと30分になる。しかも、横田空域を避けるためには、7、000mまで上昇しなければならない。この燃費も馬鹿にならない。このように様々な不都合が存在する横田空域の問題をそろそろ正面から考えなければならない時期に日本は来ている。

※横田空域の地図
https://search.yahoo.co.jp/image/search?rkf=2&ei=UTF-8&p=%E6%A8%AA%E7%94%B0%E7%A9%BA%E5%9F%9F+%E5%9C%B0%E5%9B%B3

※横田空域(解説)
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2006/2006/html/i42c5000.html

・・「横田空域は、新潟県から東京西部、伊豆半島、長野県まで広がり、12,000フィート(約3,700m)から最高23,000フィート(約7,000m)の高度に上る空域であり、現在、この空域においては米軍が管制業務を行っています。この空域内には、米軍の横田をはじめ、空自の入間、海自・米軍の厚木などの飛行場があり、これらの飛行場を利用する航空機に対する進入管制業務(航空機に対し出発・進入の順序、経路、方式の指示などを行う業務)を行うための空域として利用されています。」・・・

前泊氏の解説では、「信号のない交差点に米軍が交通警官の役でたっている。自由に車で走ってよいが、事故を起こしたら自己責任ですよ。それを覚悟で走ってください。それが厭なら、米軍の指揮に従いなさい、というようなものだ」と言う事になる。

トランプ大統領訪日の時にも指摘したが、彼は横田空港に着陸し、米国大使館に入った。彼は、日本国に来たのではなく、米国領に着陸した。うがった見方をすると、彼は、【日本の現実はいまだに占領国だよ】という事を形で示したのである。

今年、横田空港にオスプレイが配備されたというニュースが流れていたが、米軍は、日本の空を自由自在に飛んでもよい、というのが、「日米地位協定」なのである。だから、日本の市民が反対と言っても、法的には何の障害もない。

オスプレイの飛行については、米国国内では厳しい規制がある。(オスプレイの安全性についての疑問が払しょくされていない。)しかし、日本ではそんな制限もない。何の杞憂もなく、訓練ができる。もし、事故を起こしても、米軍が調査し、日本側の調査を拒絶することができる。(地位協定。)米軍が問題ないと言えば、問題ないのである。

ただ、あまり露骨にそんな事をすれば、日本国民の怒りを招く。だから、時々、米軍は日本国民への謝罪とか反省の弁を語り、日本政府の抗議を聞きいれるふりをして、一週間くらいの飛行自粛などでお茶を濁す。

さらに言えば、米軍兵士の犯罪も日本が裁くことができない。米軍の軍法会議で裁く。こういう植民地的ありようも【地位協定】で定められている。沖縄では、日常的に起きている現実。この問題は、最も人々の怒りを呼び起こしやすい。現に沖縄では、何度も県民総決起集会が開かれ、米軍に対する抗議が行われている。

米軍も基地住民の怒りは無視できない。反米軍、反基地に燃えた住民に取り囲まれた【基地】はその機能が半減する。その為、いくばくかの譲歩をしたり、反省の弁を述べたり、外出を自粛したり、様々な手立てをして、【反米】【反基地】感情の懐柔に努めざるを得ない。

その為、日米安保条約締結後、結ばれた【日米地位協定】の細かで具体的な運用に関して、【日米合同委員会】が開かれて協議している。当初は、【日米地位協定】の具体的運用などについての会議だったようだが、今や政府も憲法も超える存在だとも言われており、そこでの協議内容は国民にはほとんど知らされていない。この会議に出席しているのは、主に米軍と日本の官僚(外務省中心に各省庁)で驚くべき広範囲な内容が離されている。

※日米合同委員会出席者 (外務省のHP)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/pdfs/soshikizu.pdf
※【憲法を超える存在!】日米合同委員会という密室で日本国民の主権が奪われている。・・・(お役立ち情報の杜)
https://useful-info.com/explaining-japan-us-joint-committee

・・・月に2回行われている『日米合同委員会』。全て非公開のため内容はほとんど知ることができない。
我々はアメリカで日米合同委員会に関する資料を発見。
ここには、会合は隔週木曜日11時に開かれること、公式な議事録は両政府にとって公式な文書とみなされ、相互の合意なしには公開されないものとすること、合意に達した事項は拘束力を持つ、などとされている。
さらに、ウィキリークスが公開した外交資料には、アメリカ側が議会で合意内容を公表したことに対して日本政府が抗議したことが明らかにされている。
「日本政府が過敏な反応を示すのは、国会での野党への対応のため」、「もし、公開されれば、政治的に大変なことになるだろう」、とある。・・・・

ここに書かれている内容が戦後日本官僚の典型的やり口。日本や日本国民にとって都合の悪い決定は、【公開しない】。米国側から言わせると、われわれは公開しても構わないが、日本政府に頼まれて非公開にしている、と。

メディアで報道される解説では、米国からの圧力でしかたなく決定したと言われる政策で、日本側が圧力をかけてくれと依頼した事項がどれだけあるか分からない。日本の官僚は米国からの【圧力】を大義名分にして自分たちに都合の良い政策を吸い陣してきたのだが、その淵源はこの「日米合同委員会」にある。

・・・2009年、政権交代で総理の座に就いた鳩山氏は…。
「秘密裏に月2回ほど、米軍のトップクラスの方々と日本の高級官僚の方々が議論しているという実態は、総理の私にも一切知らされていませんでした。」・・・

民主党政権の実態が良く分かる。総理大臣に重要な決定事項がほとんど報告されない、というより意図的に報告しない。鳩山政権が辺野古基地移設について、【最低でも県外】と言明したことに対する日本の官僚たちの抵抗意識の高さが見て取れる。【日米合同委員会】で、日本の官僚たちが、鳩山政権の意図の説明などしなかったのであろう。彼らは、民主党政権を日本政府として認知していなかったと言って良い。

鳩山政権が官僚・メディアバッシング(官僚たちからのリーク;鳩山由紀夫に対する母からの資金提供問題など)・政治(自民党)・財界(経団連など)と米国(ジャパンハンドラーやこの委員会)などの圧力により退陣したのも頷ける。わたしは、当時、政・官・業・メディア・外国(アメリカ)による民主党潰しだと何度も指摘した。

このように、「日米地位協定」とその具体的適用や問題点などを協議する【日米合同委員会】の存在こそ米国の日本支配の「奥の院」だと言う事が理解されるだろう。

では日米地位協定とは何か。
※日米地位協定
http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/docs/19600119.T5J.html
※沖縄県 地位協定 ポータルサイト
http://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/kichitai/sofa/jp-us.html

日米合同委員会での密約が時折姿を見せるときがある。前泊氏が勤務する沖縄国際大学に、2004年米軍の大型ヘリが墜落・炎上した。当時日本の新聞も大騒ぎした。この時、大型ヘリが墜落したのが、公有地と私有地であるにも関わらず、米軍は周辺を閉鎖。警察やメディアの立ち入りを許さなかった。

この時の米軍の行動を許しているのが、日米合同委員会で決定された密約。

・・・「合衆国財産の保護をなすため、事前の承認なくして公有または私有の財産に立ち入ることが許されるものとする」
、という1953年の合同委員会の合意。
日本政府は60年経った2013年、初めてこの合意を公表しました。」・・・
【憲法を超える存在!】日米合同委員会という密室で日本国民の主権が奪われている。・・・(お役立ち情報の杜)
https://useful-info.com/explaining-japan-us-joint-committee

これはどう考えても独立国家のありようではない。1953年当時は、まだ戦後13年。米軍統治下の延長線上だと考えれば、やむ負えない面もあっただろう。しかし、その後に何の改定も行われなかった、という点に戦後日本の政治家や官僚たちの意識の問題が透けて見える。

国際法では、公務中の軍人の地位というものは、他国の裁判の対象にならないというのが原則。特に外国に駐留する機会が多い米軍は、駐留する国に【裁判権】があるのを嫌う傾向が強い。米軍がイラクを完全撤退したのは、イラク側が自国の裁判権を譲らなかったためだとされている。

最大の問題は、【公務外】の犯罪の裁判権の問題。沖縄ではこの種の【公務外】の犯罪が頻発している。

沖縄ポータルサイトでは、次のように書いてある。

・・・「昭和47年の本土復帰から平成29年12月末までに、米軍人等による刑法犯が5967件、航空機関連の事故が738件発生している」とのべ、最近も米軍属による強姦殺人事件、オスプレイ墜落や普天間第二小学校への窓落下等事件が絶えないことを指摘した。また今年2月に三沢基地(青森県)のF16戦闘機が燃料タンクを投棄し、同基地近くの小川原湖でシジミやワカサギなどの全面禁漁に追い込まれたことにも言及し「日米地位協定の見直しについては、米軍基地が集中する沖縄という一地域だけの問題ではなく、我が国の外交・安全保障や国民の人権、環境保護、そして何よりも、日本の主権についてどう考えるかという極めて国民的な問題」とした。・・・

沖縄県 地位協定 ポータルサイト
http://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/kichitai/sofa/jp-us.html

沖縄ポータルサイトでは、この問題を深く考察。他国(ドイツ・イタリア)との比較を行っている。主に、「米軍に対する受入国の国内法の適用」「基地の管理権」「訓練・演習に対する受け入れ国の関与」「航空機事故への対応」を中心項目として、日米地位協定、ボン補足協定(ドイツ)、米伊の了解覚書(モデル実務取極)の条文を比較している。

【分析結果】

【ドイツ】
米軍に国内法適用。基地内すべての区域に自治体や司令官が立ち入ると明示してある。米軍の訓練や演習も全て事前に通知し許可がなければ実施できない。
警察権は、ドイツ警察が権限を行使すると明記。

【イタリア】
米軍に国内法適用。基地内すべての区域に自治体や司令官が立ち入ると明示してある。米軍の訓練や演習も全て事前に通知し許可がなければ実施できない。
警察権は、イタリア軍司令官が権限を行使すると明記。

日本
●【地位協定】に国内法を適用する条文がない⇒在日米軍に日本の国内法は適用されない。
●基地内の立ち入り権限⇒【地位協定】に明記されていない。⇒ない。
●米軍の訓練や演習⇒規定がないため、【規制する権限なし】
●警察権⇒「施設・区域内のすべての者若しくは財産、施設・区域外の米軍の財産について、日本の当局は捜索、差押え又は検証を行う権利を行使しない」と書かれている。

ドイツもイタリアも日本も第二次世界大戦の敗戦国。戦後、米軍基地が置かれたのも同じ。しかし、現在では、「地位協定」の内容が全く違う。こういう【権利】は条文に書き込まないと本当の意味で獲得したことにはならない。【権利】の獲得は、権利回復を願うほうが主張しなければ、決してできない。

ドイツ・イタリアと比較すれば、如何に日本政府と官僚たちがその事をネグってきたかは、一目瞭然。官僚たちは、「日米合同委員会」で何も主張してこなかった、と言われても仕方がない。

「日米地位協定」を読めば、日本の領空は、米軍の自由だと言っても過言ではない。世界有数の大都市東京の空を日本の航空機が自由に飛べず、米軍の官制を聞かなければならないというのが、日本の置かれている現実。しかも、横田基地があり、相模原にも基地がある。横須賀には米海軍の基地がある。自国の首都圏に他国の広大な軍事基地があり、首都の上空すら自国の飛行機が自由に飛べないというのがリアルな現実。

視点を変えてワシントンの上空を米国の飛行機が飛べないとか他国の軍が官制権を握っていると仮定すれば、米国がどう出るか。火を見るより明らかだろう。ましてやワシントン近郊に他国の軍事基地があるなど、米国が許すはずがない。これは米国だけではなく、近代国家ならば、当たり前の考え方である。

戦争に負けたとは言え、日本も近代国家の端くれ。独立国家としての矜持にかけても、横田空域の撤廃と官制権の奪還に努めなければならないはずだった。ところが、戦後日本はそうしなかった。それより、タイラントである米国の力を国内統治に利用しよとした。

口の悪い評論家から言わせれば、日本政府などというものは、横田幕府(米国)の出先機関に過ぎないと言う事になる。それも【藩】ではなく、【天領】。藩ならば、自藩の都合を最優先し、粘り強く抵抗する。

ところが「天領」だから、幕府の都合を最優先し、統治に臨む。安倍政権が良い例。安倍首相は、「天領」を支配する悪代官という役回りだろう。彼がトランプ大統領のポチの役割しか果たせないのも当然と言えば当然。トランプ大統領とマイアミの私邸で会談した時、傲然と立ちはだかるトランプ大統領の前で立ちすくんでいる安倍首相の姿が、象徴しているように、日米の構造的問題なのかもしれない。

しかし、日本が現在置かれている位置について、日本の未来について、本当に真剣に向き合おうとするならば、この【日米地位協定】の問題と【日米合同委員会】の問題を避けては通れない。

・・・米軍上層部から見た【日米合同委員会】は、日本における米軍特権を維持するためのリモコン装置のようなもの。占領時代からのフリーハンドの基地使用・軍事活動の特権を維持するとともに、変化する時代状況に応じて新たな特権を確保していくためのリモコン装置です。そのような政治上の装置が、日本政府の機構の中枢に埋め込まれているのです。・・(「日米合同委員会」の研究』の著者・吉田敏浩)

安倍首相のいう「日本を取り戻す」のが真剣ならば、まずこの「日米地位協定」の改訂に政権の運命を賭ける覚悟がなければならない。彼が叫ぶ「憲法改悪」など後回し。まず、【日本の主権】を取り戻す戦いをすべきだろう。

かっての日本右翼ならば、こんな不平等な【地位協定】を糾弾してやまなかったはずだが、今や米軍ヘリコプターが校庭に窓枠などを落とした小学校に、文句を言うなと抗議を集中するあり様。彼らの思想など右翼にも値しない。所詮【意匠】に過ぎない。思想も信条もなく、ただ権力保持が自己目的と化した集団の醜悪な姿だけ目立つ。

わたしたちは、沖縄問題は、沖縄独自の問題だと勘違いしがちだが、【地位協定】を読めば読むほど、これは日本国全ての問題だと読まざるを得ない。

羽田空港へ陸地(北側)から着陸する問題で顕在化したように、独立国家日本と言う国の未来をどう考えるか。首都圏の領空を支配され、首都圏に他国に巨大な基地を提供し、事実上の占領状態を是認するのか。横田幕府と呼ばれるような主権喪失の自体をどう克服するのか。このタブーに挑戦した政治家たちは、メディア挙げてのバッシングで潰される。こんな日本で良いのか。

このままいくと、安保法制が現実化し、米国の戦争に自衛隊が参加する事が現実化すると、日本全土が【沖縄化】するのは、確実。今回の羽田空港の領空問題は、「沖縄問題」が全国問題である事を国民の目にはっきり見せてくれた。

それを承認し、宗主国に対する忠誠のみに狂奔し、日本国民の命や富を宗主国に売り渡そうとしている「売国奴政権」を是認するのか。日本国民は正念場に差し掛かっていると思わなければならない。

「護憲+BBS」「安全・外交政策を考える」より
流水

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2018-10-13 10:26:07
日米地位協定も米軍も、日本ではもはや空気である。米軍が問題を起こしても、空気というオブラートにくるまれて、苦いとは感じられない。だから世界中で反米運動が起きているのに、日本では静かである。トランプが日本からの撤退を望んでも、アメリカ国内に反対する勢力がいる。だからアメリカ軍の撤退を、日本国民から言い出してもらいたい。これが現在の国際情勢である。つまり日本のアメリカからの自立を望んでいるのは、ほかでもない、トランプ自身である。トランプは貿易面で日本に意地悪をしているのも、これでうなずける。

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