老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

ベネズエラでクーデター失敗

2019-05-08 21:58:49 | 政治
わたしは、“ベネズエラで進行している米国によるあからさまな政府転覆計画”で南米における米国主導で行われてきた「新自由主義的経済政策」と各国の自立した経済の戦いの歴史(特にチリ、ベネズエラなど)をかなり詳しく紹介した。

さらに、世界唯一の覇権国家としての米国の地盤沈下現象が、米国国内はもとより、世界に与える影響について何度も書いてきた。

その中で、繰り返し指摘したのが、「覇権国家」が「覇権国家」でなくなる(弱体化する)過程が最も危険であると言う点である。

サル山のサルの群れでも同じ事が起きるが、人間世界でも、圧倒的勢力(力)を持った勢力が弱体化すると必ずその権力に挑む次の勢力が現れる。「覇権」の交替期や「覇権」の多極化の前は、一触即発のせめぎあいが繰り返される。

今、世界で起きている事態は、「覇権」後退期の危険なせめぎあいの顕在化であり、米国国内の軍産複合体とネオコン流の世界を力で支配しようとする勢力と、もう世界から手を引いて国内に集中しようとする勢力とのせめぎあいである。

4月終わりに仕掛けられたベネズエラのクーデター未遂事件は、トランプ政権の国際的立場や信用を著しく傷つけた。

誰が見ても米国の傀儡であるフアン・グアイドとレオポルド・ロペス元防衛大臣が仕掛けたクーデターは見事に失敗した。

以前にも書いたが、過去の米国は、影響力を行使できる人材を使って国内クーデターを起こさせ、傀儡政権を樹立し、その政権を通して米国の利権を獲得していく手法をとっていたが、もっと上手く、もっと上品に、世界の人々が米国が背後にいることを感じさせないように緻密な策を講じていた。特にメディア工作は精緻を極めていた。

今回のように、外から丸見え、正体がバレバレの策を講じるなど、あまりにもお粗末。稚拙と言わざるを得ない。米国も「腕が落ちたな」と言わざるを得ない。

しかも、今回のクーデター。ベネズエラ政府にはめられた形跡すらある。天下のCIAも嘗められたものだと言わざるを得ない。

少し詳細に見てみよう。

①今回のクーデターの主役フアン・グアイドは、前の投稿“ベネズエラで進行している米国によるあからさまな政府転覆計画”で書いたように、東欧流カラー革命のノウハウを学び、いわゆる民主化運動を通じて、政権交代(革命ないしクーデター)を主導するように米国に育てられた米国子飼いの人物。その意味では、母国ベネズエラより米国で有名な人物。だから、彼が3ケ月前、自分が大統領だと宣言すると、ただちに米国が承認した。典型的な米国傀儡。もし、彼が権力を握れば、米国資本にベネズエラの石油権益を譲り渡すのは確実だろう。その為に送り込まれた人物。

②もう一人の主役、レオポルド・ロペスは元防衛大臣。2014年、死傷者を出した暴動を指揮したかどで、自宅軟禁されていた。この監視が緩んだすきに娘と妻とともに逃げた。現在はスペイン大使館に避難している。グアイドを支持した兵士の一部もブラジル大使館に避難した。この二つの結果を見ただけでも、クーデターの失敗は明白。

③では何故失敗したか。こういう計画をする場合、仕掛ける側は、必ず体制側の有力者の協力を取り付けていなければならない。敵の内通者と裏切りが、クーデターのような体制転覆計画の成否を握る。特に軍関係が重要である。今回の場合も、それは、当然あった。ボルトンは、マドゥロ政権を内部分裂させるため、ウラディミール・パドリノ・ロペス防衛大臣を含めた政府幹部とグアイドとの極秘交渉を示唆していた。

ボルトンは具体的に、ベネズエラ幹部三人、国防大臣と、最高裁判所裁判長と、大統領警備隊指揮官に、グアイドの権力奪取を支援するよう要請したと述べた。

⇒当然だが、マドウロ政権側もこの試みをよく理解しており、普通なら政権幹部への働きかけを座視するはずがない。⇒ところが、働きかけができている⇒と言う事は、働きかけを受けた政権幹部は、マドウロ大統領に報告しており、大統領承認の上で話を受けていた、と推察できる。⇒しかし、彼らが裏切ると信じたグアイドや米国側は、クーデターを計画し、失敗した。⇒つまり、誰も裏切らなかったと言う事を意味している。

④マドウロ大統領側は、クーデターを起こさせ、失敗させれば、グアイドやレオポルド・ロペスの信用は地に落ちる、と考えていたに相違ない。それはそうだろう。クーデターを起こし失敗すれば、それは、即、死を意味する。自らの人生をかけるのである。そんないい加減な人物に付いて行く馬鹿はいない。さらに言えば、グアイドの信用が失墜すれば、傀儡政権ができない。と言う事は、米国が直接介入する以外なくなる。

ところが直接介入できる「大義名分」がない。大義名分なしの介入は、さすがに国際的批判を招くことは必至。その上、ベネズエラは、国土はイラクやベトナムよりはるかに広大な上に、ゲリラ戦に持って来いの熱帯特有のジャングルが広がっている。

その上、強固な陸軍を持っており、ロシア提供のかなり強固な防空システムも持っている。もし、本格介入したら、20年単位の泥沼の戦争になるだろうと言われている。現在の米国にそれに耐えうる国力が残っているのかは、かなり疑問。

⑤上記のような事情も全て考慮に入れたうえで、マドウロ大統領側は、今回のクーデター劇を仕掛けたのではないか、と推察できる。わたしは、おそらくこれは、ベネズエラ政府を支えているロシアの軍事顧問団のアドバイスがあったのではないかと考えている。

失笑を買ったのは米国側である。マドウロ大統領が亡命寸前だったのをロシアが止めた、などという話など、事情を知ったものからすれば、噴飯ものだろう。

日本の政治家どもの劣化も酷いが、米国のCIAや軍産複合体連中の劣化も酷い。何でもかんでも脅せばどうにかなる、と考えて交渉をすれば、それは多くの人の信頼を得る事はできない。

まして、クーデターのような自らの人生をかける行為をするのである。どんなに虚構でも「俺は正しいことをしている」という大義名分が欲しい。クーデターで本当に得をする人間以外、それに参加する人間の多くはそう考えるはずである。
 
今回のように、選挙も何もしていないグアイドを大統領として認知するなどという行為は、誰がどう言い訳しても大義名分にはならない。たとえ、怪しげな選挙であっても、マドウロは選挙で大統領にえらばれているのである。

しかも、その選挙の時、マドウロ大統領側は国際的選挙監視員を受け入れると声明を出していたにも関わらず、それをしないで不正選挙と断ずるのは理不尽だろう。そんな事は承知の上で、グアイドを大統領にとごり押しでベネズエラ国民に押し付ける。誰がどう考えても、暴君以外の何物でもない。

ただ、ロシアのラブロフ外相が、ポンペオ国務大臣との会談で、かなり厳しく釘をさしていたのを見ると、巷間囁かれている噂がかなり信憑性があるのかもしれない。

それは、CIAがクーデターに失敗したグアイド国会議長を暗殺するのではないかという噂である。理由は単純明快。グアイド暗殺を政権側の仕業と決めつけて、武力侵攻をするのである。

こういう噂が立つのも無理はない。現在、ベネズエラに対する工作の中心人物は悪名高いエリオット・エイブラムス。彼は、2002年にベネズエラでクーデターを仕掛けた時の黒幕だった。彼は1980年代から南米の多くの秘密工作に加わっている。イラン・コントラ事件にも関わっている。暗殺などお手のものである。

彼については、櫻井ジャーナルの次の記事が詳しい。
 ・・・ベネズエラでクーデターに失敗した米政府の好戦派が自らの手先を暗殺する可能性・・・
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201905080000/

ただ、21世紀、世界は、過去のように米国のダブルスタンダードをそのまま受け入れるほど理不尽ではなくなるはずである。ベネズエラの民主主義を憂うなら、イスラエルのパレスチナに対する蛮行をなぜ非難しない。サウジアラビアの王政は、反民主主義的ではないのか。トルコでのジャーナリスト暗殺は、民主主義に対する敵対行為ではないのか。少なくとも、そんなサウジアラビアより、ベネズエラの方がはるかに民主主義的だろう。
 
だが、サウジやイスラエルに対しては、経済制裁はしないが、ベネズエラには極端な経済制裁を課している。

結局、米国の傘の下にある国は、どんな反民主主義的国家でも許され、反米国家はどんなに民主主義的であっても、許さない。これが米国のいう正義なのか。こういう米国のダブルスタンダードが、米国の国力が衰えるにつれてますます顕在化してくるはずである。

そして、この現実が顕在化するたびに、米国は苛立つ。何故なら、第二次大戦後、米国はそんな現実を顕在化させないだけの力があり、他国はそれが【覇権国家】の振る舞いだと諦めていたし、米国はそんな他国の思いなど歯牙にもかけていなかった。世界で最も嫌われている国家と言われても、「憎まれ子 世にはばかる」現実があった。

何度も言うようだが、覇権を失いかけている国家は、覇権を失わないためには、何でもする。常軌を逸した行為でもやりかねない。そんな米国にポチのごとく寄り添い、国益を提供する事によって政権を維持している安倍政権が延命する事は、日本の国益がしゃぶり尽くされる自殺行為に他ならない。

「護憲+BBS」「安全・外交政策を考える」より
流水

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2019-05-08 22:59:02
日本の国富が外国に流れていると言ったのは、元自民党幹事長の故加藤紘一であった。その後自宅を焼き討ちされたのも、某国の関与が疑われる。消費税増税、金融緩和は日本の経済を極端に悪化させる事になった。それらは、日本政府の失政であったのか、それとも某国の誘導であったのか。
日本には石油もないし、優秀な人材もいないが、金だけがある。日本の宝を、某国に流入させる事に、現在、成功している。流入させておいて、金融危機をおこせば、流入した金はゼロになるから、某国の儲けである。これが最新式の詐欺である。安倍、黒田はこの国際的詐欺団の手先でなかろうか。
世界には数百通りのストーリーがある。日本人は戦後、クソ真面目に働いてきたから国際的詐欺団の餌食である。
国も大きすぎると、税金にたかる人が出てくる。マスコミも信用できない。日本人は毎日、オレオレ詐欺に晒されている。互いに信用のできるサークル、コミュニティに属していないと生活を守れない時代である。
Unknown (Unknown)
2019-05-15 20:22:47
まだ原油価格が高かった頃、チャベスは、せっせと金を買い込み溜め込んでいた、マドゥロ側にはその金があり、だから軍もマドゥロ側についただけさ。いずれ手元の金も半年ぐらいでそこを着くだろう。その時果たして軍がまたマドゥロ側につくとは限らない。アメリカがグアイド側を資金援助するかも。

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