老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「終わらない旅」(小田実著・新潮社)を読んで

2009-08-26 12:04:28 | イラク戦争
ここ何年か享楽的読書しかしていない私にとって、この小説は、読み応えのあるものであった。

この物語のテーマは「つながり続けるということ」に尽きるのではないかと思う。時代を超えて、地域を越えて、そして世代を超えて。

大阪大空襲で沢山の焼死体を目にし、自らも死線を彷徨った著者は、ベトナム反戦運動に関わる自らの思いを「全うな人間なら黙って見ていられる筈はない」と小説の中で述べている。

男は阪神淡路大震災で落命、女は9.11テロの衝撃のために病没する。2人が共に語り合い、愛し合った日々。大阪大空襲の時の無惨で無意味な死について、ベトナム反戦運動における脱走兵支援活動などについての2人の切実な思いは、その娘達によって引き継がれて行く。

* * * 

そして、今、現実の世界で起きているイラク戦争。遠い筈の中東の地で起きている、あの戦争に反対する私の情熱は何処から来ているのか。

「日本が、日本の社会が関わった戦争だった」と言う事に尽きる。「人道支援」の名の下に当時の首相小泉氏が憲法前文と9条を拡大解釈し、自らの主張に都合のいいようにねじ曲げて自衛隊をイラクに派遣した時、私はとても嫌な気持ちがしたけれど、まだ動かなかった。

2004年イラクで3人の日本人が拘束され、我が国で酷いバッシングにあった時、私はいてもたってもいられない気持ちになった。バッシングではなく、誹謗中傷でもなく、まともに語り合う事ができる人達とつながりたいと思った。

そしてその年の秋、1人の青年が「愚か者」のレッテルを貼られた上、イラクで武装勢力の手により惨殺された。その一連の事件があった時、私の周囲では、街は賑わい人々は快楽を求め、誰も、彼の死さえ気に掛けるどころか話題にするものさえいなかった。「まっとうな人間なら黙って見ていられる筈はない」状況の中に、私の気持ちはあった。

今、彼の行動は「自己責任」の名の下に葬り去られ、忘れている人が殆どだろう。多分皆思い出したくないのかもしれない。学齢期の子ども達が亡くなる度に「命の大切さを教えよう」と偉い人達が言う。しかし、この日本の国で大人達が本当に人の命を大切に思っているのだろうか?

あれから数年経ち、2009年の日本では今日(8/25)も中学生が焼身自殺をしたという記事が新聞に載っていた。何故、自らの命をその手で葬る若者がいるというのに、人はそれすら見過ごしてしまうのだろう。

何だか日本は酷く冷酷な社会になってしまったような気がする。全て政治のせいとは言わないが、日本の社会がセフティーネットもズタズタにされ、他人の様子を考慮する余裕もないほど人々が追い詰められているから、年間3万人という厖大な数の自殺者がいるのではないだろうか。

そしてそれは、世代を超えて、私達の子ども、孫達が生きて行く社会へと連動して行くのである。私達の「終わらない旅」はきっとこれからずっと続いて行くのだろう。「まっとうな人間なら黙って見ていられる筈がない」という思いと共に。

私は、絶望的状況の中でも「誰かとつながっている」という思いを抱きながら生きていきたいと思う。そしてこの日本を、小さな人間である私達がまっとうに生きて行かれる社会に変える為に、出来ることを続けていきたいと思う。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽」より
パンドラ
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