老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

福島県民の静かなる怒り

2012-01-31 19:29:47 | 原発
「(原発事故の)収束宣言を聞いた時は『はぁ?』って感じでしたよ、実際」
「オレら、(原発)事故当日に相当(放射性物質を)浴びてると思いますよ」
これは仕事で福島県福島市を訪れた際、30代の息子さんがさらりと発した言葉です。おそらく彼だけではなく、この地で生活している多くの人々が同様に思っていることでしょう。東日本大震災発生の翌日、断水の中で多くの福島市民が屋外で給水車の前に長い列を作っていました。その最中に福島第一原発は水素爆発を起こし、広範囲に放射性物質をまき散らしたからです。
 
福島県は山脈を隔てて大きく3つの地域に分かれます。今回事故を起こした福島第一原発がある太平洋側が「浜通り」、東北本線・新幹線が通る中央が「中通り」、磐梯山・猪苗代湖がある内陸側が「会津地方」です。

昨年3月の原発事故以来、福島県双葉郡を中心とした浜通りは生活・経済・政治のいずれも壊滅状態となっています。そこで普通に生活していた人々は強制的に避難させられた場所でコミュニティを分断され、見えない健康被害におびえ、将来設計もできず不安な日々を過ごしています。
 
中通りに本社がある某大手企業は浜通りの店舗兼工場を閉鎖し、生産設備を撤去しました。「生産活動ができない建物や敷地に賃貸料を払い続けることはできない」というのが直接的な理由ですが、将来的にお客様も来ないし従業員も確保できないという判断です。当然、そこに「人」が住んでいなければ農業・工業・商業は成り立ちません。

地震・津波の自然災害だけならば、時間はかかっても浜通りは復興できます。しかし、安全神話にあぐらをかいた原発事故という「人災」は、浜通りという国土を抹殺してしまいました。東京電力という厚顔無恥な一民間企業による未曾有の犯罪をごまかし、政府・原子力ムラの犯罪者を特定できなくするために原発事故の「収束宣言」は発せられたのでは・・・置き去りにされたフクシマの惨状と民意を目の当たりにして、そう邪推しました。
 
そして、中通り。福島市内は一見平穏に見えますが、多くの子供や女性が自主的に県外へ避難した影響で生活圏が徐々に崩壊し、経済が冷え込んでいます。かろうじて売上(宿泊、購買)に貢献しているのは、皮肉にも政府関係者・応援の警察官・マスコミ関係者だそうです。そして福島駅周辺には、行き場を失った強制避難者のホームレスが顕在化していると・・・何ということでしょうか。

東京電力が一次支援金をケチる、役所が失業手当の支給を打ち切る、仮設住宅に居住期限を設ける・・・これだけ想定外の震災・人災が起きたというのに、どうしてこうも杓子定規な政策のみ先行するのでしょうか。官僚・役人の論理は「前例がない。阪神淡路大震災の支援とのバランスがある」なのだと思います。そして、面倒な施策には消極的に、省益になる施策には拡大解釈を。加えて、相変わらずの縦割り行政による弊害・・・復興庁も怪しい雲行きとは!
 
こういった「前例がない」時こそ、不幸な国民を助ける政策を大胆に打ち出し、官僚を指揮するのが政治家の役割だと思うのですが、泥臭くない、泥にまみれるのが嫌いなエリート・ドジョウ内閣では無理なんでしょうね、きっと。

「護憲+コラム」より
猫家五六助



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