老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

スカスカの中身と危険性だけが際立つ安倍外交!(NO1)

2019-07-04 09:35:51 | 安全・外交
6月28日からG20が始まった。テレビで見る大阪の警備は凄まじいもので、ほとんど人影もなく、道路を走る一般車両の姿もほとんどない。もはや、これは、戒厳令と言っても過言ではない。

周辺の学校などは休校だそうだ。おそらくこれは今後への試金石。日本の近未来の社会の姿だろう。

今回の参議院選挙。自民党は、安倍外交を目玉商品として売り込むつもりだ。「世界の真ん中で力強い外交」だそうだ。
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/pamphlet/20190607_pamphlet.pdf?_ga=2.95482587.679269629.1562201363-6614360.1560237726

誰がつけたキャッチコピーかしらないが、【外交の安倍】などと持ち上げられて、のぼせ上がったのだろう。私の地方では、人の忠告も聞かずに、得意満面な表情で、得手勝手な事をする人間の事を「タコの糞が頭に上っている」と言うが、安倍首相の現状はまさにこの言葉にぴったりだ。

“世界を俯瞰する外交”などと大仰なキャッチフレーズで、安倍首相が訪問した国と地域は、80。延べ訪問国・地域 167。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/page24_000037.html

さらに海外へばら撒いたお金。ばら撒きというのは、基本的に供与。これがどれくらいになるのか。

社民党の福島瑞穂議員が国会で「「誰の政治ですか。税金は安倍総理のポケットマネーではありません!」と、追及したのは昨年1月。第2次安倍政権発足以降、54兆3621億円を外国へバラまいていることへの発言だが、その額は増える一方。

下のサイトに詳しく出ているので、興味のある方は、計算してみてください。

※安倍首相の海外バラマキと同行企業リスト①
(海外バラマキ・リスト)
青山貞一編  http://eritokyo.jp/independent/aoyama-abebaramaki11..html

まあ、見る人が見れば、海外への支出の多くは、各国現地でのインフラ工事を我が国の大企業が受注するためのまき餌。得をするのは自民党政権と癒着した大企業だと言う事になる。この内閣得意の「お友達優遇政策」の典型。そのために、60兆円になんなんとする税金を湯水のごとくばら撒いて良いのか、と言う話である。

大企業とこれだけ癒着すれば、経団連などは安倍内閣支持になるのは当然。安倍内閣で行われている「働き方改革」の方向性など、この一事を見れば、推して知るべし。労働者のためには決してならない。

これだけお土産を持っていけば、どこの国も愛想笑いの一つもするに違いない。それが安倍夫妻には気分が良いのだろう。だから、国会審議をないがしろにして、外交と称して出かける。「外交は安倍首相の精神安定剤」などと評した人間がいたが、そうとしか思えない訪問数である。

訪問される外国からすれば、迷惑な話。今回のイラン訪問もイランの方は迷惑がっていたが、お金を出してくれるので受け入れたようだ。冷徹な外交の論理から言えば、【財布と心臓は別】と言う事である。

では、少し具体的に安倍外交を検証してみよう。

(1) 拉致問題⇒ 安倍首相が政界で頭角を現したのは、拉致問題に熱心だ、と言う事が大きな理由。【拉致の安倍】で売り込んだ。しかし、よく観察すれば明らかだが、小泉内閣の時に蓮池氏などの拉致被害者が帰国して以来、誰一人帰国していない。

拉致問題の年表は下記のサイトに詳しいので見てもらえば分かるが、安倍内閣になって拉致問題の進展はほとんどない。
https://www.rachi.go.jp/jp/ugoki/index.html

拉致問題のようなセンシィティブな問題は、正面から話し合うだけでは簡単に解決しない。裏口・搦手からの交渉が欠かせない。ところが、安倍政権は、【圧力】一辺倒の外交姿勢。正面からも搦手からも話し合いのきっかけすらつかめなかった。

裏で北朝鮮当局と話し合い出来る人物は一人もいなかった。こういう裏交渉できる人間は、北朝鮮当局との信頼関係が必須の条件。「圧力」だけを唱えていれば、仕事をした気になる安倍政権では、そんな地道な仕事をする人間が育つはずがない。そんな効率の悪い仕事をするより、内閣府や官邸にゴマをすったほうが出世が早い。

トランプ大統領と北朝鮮の金正恩委長の会談が行われ、朝鮮半島の雪解けムードができると、トランプ大統領に橋渡しを頼むなど、拉致問題解決の糸口すらつかんでいない現状を露呈している。

そもそも自国の最重要課題である拉致問題を他国の大統領に頼むなど、己の「無能力さ」を世界中に示すようなもので、一国の首相としては深く恥じなければならない。

それをトランプ大統領に依頼して、被害者家族会の人間をトランプ大統領と面会させ、俺は拉致問題に熱心に取り組んでいると宣伝する。「厚顔無恥」とは安倍首相のような人間を指す。

その後、【圧力】路線を変更して、【前提条件なしの話し合い】を呼びかけているが、当然だが、北朝鮮から「厚かましい」と一蹴されている。

拉致被害者家族ではないわたしのような立場の人間から見れば、安倍首相のこすっからい計算だけが目に付く。彼のどや顔が鼻について堪らない。

よくよく見ればすぐ分かるが、【圧力路線】の時は、北朝鮮からの脅威を煽れるだけ煽り、軍備拡張と戦争前夜のような雰囲気を醸成し、政権維持に利用した。選挙が近くなると、拉致問題を取り上げ、拉致問題を熱心にやっているように見せる。

時には、トランプ大統領と面会させて、「どうだ俺は一生懸命にやっているだろう」と宣伝する。いみじくも、麻生太郎が自民党の勝利は北朝鮮のおかげと言ったのも頷ける。それでいて、選挙が終われば、何も進展しない。

こういうやり口が安保マフィアの常套手段。危機を煽れるだけ煽り、人々に冷静な判断ができなくしておいて、権力に頼らせる。ファシスト政権のやり口はいつもそうである。解決する気などさらさらない。

本当に拉致問題を解決したいのなら、日ごろの地道な積み重ねしか解決の方法はない。「誠心誠意」粘り強く交渉する以外、方法はない。これまでの安倍首相のやり口は、拉致問題の政治利用以外の何物でもない。蓮池透氏が批判するのも当然と言わざるを得ない。

★ 板門店でのトランプ大統領と金正恩委員長の三回目の会談

G20が終わるや否や、電光石火、トランプ大統領は韓国に飛び、板門店で北朝鮮の金正恩委員長と三回目の会談をした。そして、非核化交渉を継続する事を決定した。トランプ大統領は、非武装地帯の南北の境界線を金委員長とともに超え、北朝鮮を訪問した最初の米大統領になった。

トランプ大統領の外交センスは並みではない。このニュースは、世界中のメディアが報道し、世界中の話題をさらってしまった。安倍首相が心血を注ぎ、参議院選挙に向けた【やってる感】満載のG20の成果など一晩で吹っ飛んだ。木村太郎などは、フジテレビの番組で、トランプ大統領の外交センスは天才だ、と叫んでいたが、さもありなんと思う。

トランプ大統領は金委員長をアメリカに招待したと言っているので、いずれ国連総会出席を名目に委員長は米国を訪問するだろう。そこでの会談で、「朝鮮戦争終戦宣言」にでも署名すると、名目上朝鮮半島の脅威はなくなる。これなら胸を張って「ノーベル平和賞」候補になっても仕方がない。

「世界の警察官を止める」というトランプ大統領の政策目標は、朝鮮半島でも実現可能になる。当然、韓国の駐留米軍は、帰還する可能性が高い。そうなると、日米安全保障条約の必要性もなくなる。ブルームバーグが、トランプ大統領の発言として紹介した【日米安全保障条約の破棄】もこの文脈で考えれば、当然の帰結であろう。

さらに付言すると、今回の板門店での米朝会談の裏には、中国の習近平主席とロシアのプーチン大統領の周到な後押しがある。両者とも米国との緊張関係をこれ以上大きくしないために米朝双方の和解を後押ししている。

その証拠にこの会談の前に金委員長はロシアを訪問。プーチン大統領と会談している。習近平主席も、北朝鮮を訪問し、綿密に金委員長と話し合いを行っている。

韓国の文大統領もトランプ大統領と金委員長の会談成功のために、自分自身は徹底的な黒子役に徹して助力している。

国際性を完全に欠如した日本メディアの論調とは裏腹に、中・ロ・北朝鮮・韓国とトランプ大統領(米国)の関係は悪くないと考えるのが至当。

日本の安倍首相だけがこの関係からはじきだされている。

少なくとも、トランプ大統領と金委員長の会談を事前に察知して、G20で文大統領と親密に会談し(文大統領も韓国内では苦境にたっている)金委員長との会談への助力を依頼するのが外交のプロの仕事。そうする事で、なんとしても、拉致被害者帰国のための手がかりをつかむと同時に、こじれにこじれた日韓の徴用工問題解決の糸口を探る。

拉致問題解決は、家族の年齢を考えても、一刻の猶予もならない。「韓信の股くぐり」ではないが、自らの面子は捨てても、問題解決のために努力すべきだ。それを、よりにもよって、安倍内閣は、徴用工問題の報復で貿易制限に出る始末。やる事が正反対。何とも頭の悪い、お粗末な政権である。

その意味では、安倍首相は千載一遇の機会を逸した。トランプ大統領からは、安倍首相には何の話もなかった。これが、尽くしに尽くしたトランプ大統領の仕打ちだ。

これが、日米安保マフィア(日米安保で生まれる様々な利権で食っている日本と米国の産軍複合体の連中)と一線を画しているトランプ大統領の本質を理解していない安倍首相の限界であろう。

★商業捕鯨再開と韓国問題

この原稿を書いている時に、日本の国際的孤立を招きかねない二つの重要な政策決定が行われた。7月1日に戦後初めての国際組織(IWC)からの脱退、商業捕鯨の再開を決定。同時に、韓国に対する経済制裁が実行された。

わたしも給食でクジラを食べた経験もあるし、実家が田舎の雑貨屋で魚も販売していたので、クジラもよく食べた。だから、クジラを食べる日本の食習慣については理解する。さらに海の食物連鎖の頂点に立つクジラを一定程度捕獲する事は、他の魚種のために必要であるという認識には賛成する。

だからといって、IWCからの脱退には反対である。自分たちの意見が通らないからといって、国際機関から脱退するという行為は、戦前の国際連盟からの脱退を彷彿とさせる大変危険な行為と言わざるを得ない。おまけに捕鯨再開を主張する専門家ですら、IWC脱退で漁獲量も減るというのだから、話にならない。

国際的には、これで日本の主張は、説得力を失う。今後、IWCでは、より厳しい捕鯨規制の方向性が打ち出され、日本の商業捕鯨に対する批判の声がより一層高まるに相違ない。気が付いた時には、周りに味方してくれる国がどこもなかった、という事になる予感がする。

しかも、この商業捕鯨再開を喜んでいるのは、和歌山県と山口県(下関)だけかもしれない。両県は、二階幹事長と安倍首相の地元。あらぬ疑いをかけられても仕方がない。
 
さらに国際的批判を浴びそうなのが、韓国に対する経済制裁の実行である。

・・・経産省は1日、スマートフォンやテレビに使われる半導体材料3品目で対韓輸出規制を強化すると発表。安全保障上の脅威となる電子部品の輸出でも、規制が緩和されている「ホワイト国」から韓国を外す方針で、さっそく政令改正の手続きに入った。 3品目の中には日本企業が世界シェアの9割を占める部品もあり、韓国の電機産業の生産に影響を与えるのは必至だ。・・・中略・・・
韓国はすぐさま反発し、「自由貿易の精神に反する」として世界貿易機関(WTO)提訴を含めた必要な措置を講じると表明した。
・・・日刊ゲンダイ

G20サミットで「自由で公正な貿易」を標榜してからわずか2日。その舌の根も乾かぬうちに、議長国が自由貿易を完全否定するような暴挙に出ている。

日本政府の言い分としては、「ホワイト国」(貿易をスムーズにできる特別待遇)を外すだけで、自由貿易を否定するものではない、という理屈になる。

しかし、韓国メディアの反応を見ると、一斉に日本との貿易戦争が始まった、という報道である。欧米メデイアの反応も同様である。

「反保護主義」は、日本のように資源が少なく、貿易立国を目指している国にとっては、レーゾンデートルといってもよい原則。それを完全否定する政策を発動したと世界に印象付けたのである。

トランプ政権がアメリカ・ファーストを標榜し、保護主義的政策を実行。他国に圧力をかけている手法を真似たのであろう。

荒れる学校時代、一人の突出した暴力的生徒が存在すると、その学校は間違いなく荒れた。学校組織や学校の秩序などと言うものは、ある種の【予定調和】で成り立っている。多少おかしいな、と思っても、「まあ、いいか」と放置してしまう。それでも何となく回っていくのが、学校の秩序や一般社会のルールだろう。

ところが、一人の突出した生徒がその「秩序」や「ルール」の壁を突破してしまうと、後に続く生徒がびっくりするくらい現れる。そして後に続く人間ほど性質が悪い。最初に突破した生徒はそれなりに理屈もあるし、罰も受ける覚悟もできている。

ところが、それに続く生徒は、覚悟もなければ、理屈もない場合が多い。こういう連中が次から次へと現れ始めると、間違いなく学校は荒れる。

学校と世界秩序と同列に論ずることはできないが、これまでの秩序を破壊し、周囲を混乱に陥れるメカニズムは同じ。世界の目には、日本の行為が、トランプの二番煎じに映ったのも無理はない。

こういう場合、よく知っておかねばならないのは、世界各国には、米国に楯突くのは怖いが、日本を批判するのはそれほど怖くない、という心理的メカニズムが働く事である。

そして、この批判は、かなり強くなると覚悟しなければならない。何故なら、米国を正面切って批判できない鬱屈が、日本に向かってくるからである。怖くない国家には、こういう理不尽さがついて回ると覚悟しなければならない。

これは、日本のメディアが常にやっている心理的メカニズムに他ならない。安倍内閣の批判は怖いが、野党や芸人やスポーツ選手などのスキャンダルならやりすぎぐらい執拗に叩く。吉本の芸人は叩くが、吉本興業は叩かない。

これから、同様なことが日本に対して行われるであろう、と認識しておく必要がある。世界各国から、理不尽な批判をされる事が増加すると覚悟しなくてはならない。

私たち国民は、安倍内閣が続く限り、戦前と同じような世界からの【孤立の道】を歩まざるを得ないと覚悟しておかねばならない。

「護憲+BBS」「政権ウォッチング」より
流水

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IWCの実態 (Unknown)
2019-07-04 20:56:42
現在、世界中の国の数は190余りある(台湾など、国家として認められていない地域は除く)。 その中で、現在IWCに加盟している国は以下の89カ国である( 推移は表参照 )。

もともとIWCにおける新加盟国のリクルートは、「資源量が多い少ないにかかわらず、すべての鯨の商業捕鯨を禁止する」商業捕鯨モラトリアムの採択のために反捕鯨NGOが1970年代終わりに開始したものである。 日本など捕鯨国側は、「鯨資源の保存と適度な利用」という条約本来の目的の実現を目指してきたが、固定化した投票パターンを打ち破るには捕鯨側の主張に同調してくれる新規加盟国をリクルートせざるを得ないとの判断から対抗措置に打って出た。 その結果、非ヨーロッパ圏を中心に加盟国が増えて2006年のIWC総会で「商業捕鯨モラトリアムはもはや必要ない」というセントキッツ・ネービス宣言が採択されるにまで至ったことに反捕鯨国側は危機感を強め、2007年2月にはイギリス政府がEUやアフリカの非加盟国を反捕鯨陣営に新規加盟させる意思を表明している。 2006年の年次会議以降、スロベニア、クロアチア、キプロス、エクアドル、ギリシャなどヨーロッパ圏だけでも13カ国が新規加盟している。
こうして見ると、ヨーロッパの国や、ヨーロッパ人が移住して開拓した国が半分以上を占めていて、アジア・アフリカの比率が低い事がわかる。 調査捕鯨に対する反対決議案は法的拘束力はなく、IWCの会議で投票に棄権せず参加した国の2分の1で可決されるが、こういう地理的・文化的バランスを欠く構成での多数決をもって、反捕鯨団体は「反捕鯨は世界の世論」と言う。

IWCは、アメリカ政府に加盟の意思を通知さえすれば、鯨に関する知識や漁業管理の経験や見識の有無にかかわらず、どの国でも加盟できる。 これまでのの加盟国の様子を見ても、分担金が未払いで投票権が停止されている国、重要な投票のある日にだけ参加する国、一度も自国のコミッショナー(「主席代表」と訳される場合もあるが、要は代表団の団長で本会議での投票権を持つ)を任命しなかった国、会議の休憩時間に反捕鯨NGOから手渡されたメモを自国の声明として読み上げる国など、実態は様々である。

90年代に入って日本は発展途上国を中心に複数の国にIWCの加盟を促ししている。 1976年以来IWCの事務局長を務めてきて2000年の会議を最後に引退したレイ・ギャンベル(Ray Gambell)博士に言わせると、「自分の意見を支持してくれる国を加盟させる事はどの国もが使いうる戦略である」(The Guardian Weekly、18-Nov-1999)という事になるのだが、国連と違ってIWCでは加盟国の分担金が一律なため、経済的に恵まれていない国にとっては海洋生物資源の持続的利用という日本の意見に賛成であっても、自分の利害に直接は無関係なIWCに高額な金を払って加盟して代表団を送るまでには至らない事が多かった(IWC加盟国の分担金を経済力に応じた額にする国連方式の導入は1999年に提案されたが、その後は経済的に力のない国の分担金はだいぶ減ったようである)。 街頭募金のように募金額が自由な場合でも募金に応じないで通りすぎる経験は誰でもあると思うが、まして、「最低限1万円以上で」などという条件がついていたら募金の主旨には賛成でもおいそれと応じられないのと同じである。 日本円で数百万円に相当するIWCの分担金は、経済規模の小さな国にとってはおいそれと出せる額ではない。

そこで、「日本の意見には賛成だけど、捕鯨問題に利害関係のない我国にとっては経済的な負担が高い割にはメリットがないから、せめて何か見返りが無ければ加盟はできない」という場合もでてきて、ODAのような経済援助を見返りにという事にもなるのも無理もない話だと思うが、それが反捕鯨国などでは「日本が金でIWC票を買う」というような報道が出てくることになる。 仮にそういう事態であったとしても、捕鯨問題に対する彼らの本来の意見はそのまま尊重されているわけであり、後で述べる例のように反捕鯨団体が経済ボイコットをちらつかせて投票を変えるよう脅しをかけるといった、言論の自由の圧殺とは根本的に次元が異なる。 国際外交の世界では、国同士が友好裏に利害の調整を済ませて協力関係を結ぶ事はシビアーな国際社会で少しでも有利に生き残るための当たり前の方策だと思うのだが、日本国内でも、ナイーブな学級会的倫理観をそのまま国際社会に延長して物事を見る人や、外国の政策には目をつぶって常に日本の政策のみを論じたがる人は妙に抵抗を覚えるらしい。

反捕鯨側の政治圧力の一例だが、1994年に南氷洋のサンクチュアリー案に反対しようとした南太平洋のソロモンは、反捕鯨国から輸出品であるバナナの禁輸の可能性でもって脅された。 同様にカリブ海の4ヵ国には、アメリカの反捕鯨団体から多量の抗議文書がFAXで送られ、観光地のホテルに大量に予約してキャンセル料が発生する直前の日にキャンセルされるといういやがらせに遇っている。 ノルウェーはアメリカの国内法に基づく経済制裁で脅された。 その結果、これらの国々は南氷洋のサンクチュアリー案採決においては棄権している。 このような、主権国家の自由な意思表明に対する圧力の存在が、IWCでも秘密投票制を導入しようという日本提案の動機となっている。 マフィアの暴力が支配する町の住民投票で記名投票するような状況を想像してみてほしい。

IWCの歴史を見ると、自分たちの支持基盤を強固にするために加盟国を増やすというのは、もともと反捕鯨陣営が先に用いた手法であり、1980年前後には多くの国がIWCに加盟している(表参照)。 これは商業捕鯨モラトリアムの採決に必要な4分の3の多数を得るためだが、セントルシアなど現在では日本の立場を支持しているカリブ海の島国の多くも、もともとは反捕鯨側が加盟させたもので、分担金などもグリーンピースなどが出したという事は過去何人かのジャーナリストが指摘してきたし、IWCへのアメリカ政府代表団のコミッショナーであったマイケル・ティルマン(Michael Tillman)も1998年のラジオ番組で認めているところである。 中には、反捕鯨団体からもらった小切手をそのままIWCへの分担金の支払いに使ったために資金関係が露見した国もあったという。

そして、それらの国の国籍を持たないグリーンピースの活動家やその仲間が代表団のコミッショナーや代表団員としてIWCの会議に参加していた。 このような状況の中で1982年、商業捕鯨のモラトリアムは棄権5票を除いた有効票32のうち賛成25という4分の3プラス1で可決されたわけだが、この年の代表団リストを見てもアンティグアのコミッショナーのR. Baron、セントビンセントのコミッショナーのC.M. Davey、セントルシアのコミッショナー代理のF. Palacio、セイシェルのコミッショナー代理のL. Watsonなどはそれぞれの国の国籍を持たない反捕鯨活動家であった。

より詳細に言うと、Francisco PalacioはマイアミのTinker Instituteという団体に属するコロンビア国籍の活動家でグリーンピースのコンサルタントでもあり、弁護士であるRichard Baronはその友人であった。 英国籍のLyall Watsonは「生命潮流」などの著書でも知られる一種の思想家であり、イランの故パーレビ国王の弟が率いるスレッショルド財団(Threshold Foundation)という資金豊かな組織の事務局長でもあった。 また、加盟国政府のコミッショナーにはならなかったものの、グリンピース会長のDavid McTaggartの友人であったバハマ在住のフランス人のJean-Paul Fortom-Gouinの存在も見逃せない。 もともとは投資関係のアナリストであったFortom-Gouinは、1977年にグリーンピース・ハワイが北太平洋でソビエトの捕鯨船に妨害活動を行った際に資金援助を行い、自らもWhale and Dolphin Coalitionという団体を率いて、当時まだオーストラリアで行われていたCheynes Beach Whaling社の捕鯨に同様の妨害活動を行っている。 70年代終わりにパナマの代表団にもぐり込んでIWCの会議に出ていたが、パナマが脱退した後は1982年からPalacioがいるセントルシア代表団に移っている。

投票権を持たない立場の顧問、専門家、通訳という代表団員ならまだしも、本会議において独立国家の意思表明手段である投票権を持つコミッショナーやその代理が外国人だったわけである。 たとえば、日本に在住していない外国人が日本の国連大使やWTOへの日本代表団の団長や副団長となって日本の代表として発言や投票をしていたら、たとえ日本政府の承認のもとであっても奇異であり、誰をどう「代表」しているのか考えさせられるが、少なくともモラトリアム採択前後のIWCはそういう事が行われる場所だったのである。

(2011年5月5日 更新)

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こんなIWCにいつまでもいる意味ないよな。
Unknown (おっしー)
2019-07-10 02:11:57
もう少しまともな記事書いてほしい。
まず小泉政権時の拉致被害が帰ってきたのは小泉が北朝鮮にお金を渡していたからですよ。しかも戻ってきた拉致被害をまた北朝鮮に返す予定だったのを安倍がとめた。
もっと表面だけ見るのではなく真実を調べて書いてほしい。表面だけしかみないから本質が見えてないですね。
反日さんの偏った記事読んでるようでした。

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