老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

世界を巻き込む中国と米国の貿易戦争の真の狙い!(2)

2018-11-09 10:31:36 | 安全・外交
(2)トランプ大統領の狙いと米国戦略

以前にも指摘したが、覇権国家が覇権国家であり続けるためには、軍事力だけでなく、経済力でも世界を圧倒する力がなくてはならない。米国にとって、自らの覇権力を弱体化させる国家の台頭は抑えなくてはならない。巷間言われる、「NO2を叩け」は、米国の中心政策。特に軍産複合体にとって自国の軍事力がNO1である事が、利益を最大化する重要なポイント。その為なら、どんな謀略でも行う。

(※現在、米国の軍需産業はロシアの武器販売を巡って熾烈な争いを展開している。特に、MD(ミサイル防衛システム)では、米国はロシアに後れを取っている。トランプ大統領がINFを脱退したのも米国の武器の遅れが背景にあると言われている。実は、トランプ大統領の決定はロシアにとってそれほどの打撃ではない。ロシアのミサイルの凄さは、大陸間弾道弾にある。特に、今年発表されたミサイルには、多くの核弾頭が取り付け可能。一発のミサイルから、十発前後の核弾頭が降り注ぐように設計されている。このミサイルは現在の技術では、迎撃不可能とされている。もし、核戦争になれば、米国は無傷どころの騒ぎではなく、完全に破滅する事も視野に入れる必要がある。米国のネオコン連中はその危険性を軽視している。)

米国の覇権力が突出していた時は、「NO2」を叩くにしても、紳士的に行う余裕があったが、覇権力の低下とともに余裕がなくなり、タイラント(暴君)的手法を採るケースが多くなった。

そこへトランプ大統領が登場した。彼はオバマ流の紳士的手法を徹底的に嫌う。むき出しの力の手法で米国利益のみを追求する。これが世界中を混乱に陥れる。

その象徴的なものが、各国製品に法外な関税をかけると脅し、米国に有利な貿易協定(FTA)を国別に結ぼうとするやり口。例えば、メキシコとカナダをターゲットにしたNAFTAの改正交渉。この力を背景にした強引な手法は、世界各国の首脳たちの眉を顰めさせた。世界各国は、WTOの国際協定や貿易慣行を完全に無視した米国の強引なやり口を見せられると、米国からの独立(自立)を模索せざるを得なくなる。

このような米国の暴君ぶりに対して、先に書いた米国ドルが世界の基軸通貨である事を保証している【ペトロ・ダラー】に対する挑戦など、中国・ロシアなどを中心にして始まっている。中国やロシアは、すでにドルを使わずに石油取引の決済を始めている。

トランプ大統領がイランとの核開発停止合意を破棄し、イランに対する経済制裁を再開した。イラン石油との取引をしないように各国に圧力をかけている事に対し、EUもまたイランとの石油取引にドルを使わないで行おうとしている。ここでも「ペトロ・ダラー」の威力が崩壊し始めている。

田中宇は、このような現象を以下のような見方で解説している;

・・「この戦争が長く続くほど、新興市場の諸国は、ドルでなく自分たちの通貨を使って貿易・投資する体制を整えていく。いずれ、ドルと米国債が敬遠される傾向が増し、米国債金利の大幅上昇が不可避になり、ドルが基軸通貨としての機能を喪失する。トランプは、この流れを意図的に作っている。」・・ドル覇権を壊すトランプの経済制裁と貿易戦争
https://tanakanews.com/

田中宇は、トランプ大統領は、米軍産複合体が主導する「米国一国覇権体制」を意図的に破壊する政策を採り、「覇権」からの脱却を狙っていると解釈している。その方法としてきわめて過激な政策を打ち上げ、それを実践することにより、これまで紳士的外観の裏に隠されていた米国の本音を白日の下にさらした。その結果、これまで米国に従属的だった世界各国に自立を促している、と解釈している。

トランプ大統領の真の狙いは、軍産複合体が主導する米国の支配体制を崩壊させることだ、というのが、田中の解釈である。米国政治の混乱は、トランプ大統領と軍産複合体との暗闘にある、というのが彼の解釈である。

★そこで、問題は中国との貿易戦争である。

2018年4月16日に米商務省は、中国の大手通信機器メーカーZTEへの部品(ICチップやソフトのすべて)輸出を禁ずる行政措置を取った。中国の半導体輸出量は、今や世界一。ところが、半導体制作のための部品輸入量は90%。この部品輸入を止められたため、ZTEは大変困った。

輸出禁止の名目は、対イラン制裁法令に違反した社員を処分する約束を履行していないと言う事だが、これが名目に過ぎないことは誰の目にも明らか。中国では、米国の禁止措置は対中ハイテク産業を狙い撃ちにするものという見方が定着している。

先に書いた【製造2025】は、この部品輸入90%の現実を2025までに国内生産70%程度までにするという目標を掲げている。米国の禁止措置は、この中国の目標が達成できる前に先手を打って中国を叩いておく、という狙いがある。

10月18日のIWJの岩上安身のインタビューで、孫崎亨氏(元外務官僚)は、以下のような認識を語った。

・購買力平価に換算したGDPでは、中国はすでに米国を抜いた
・米国が20世紀の100年で使ったコンクリートを中国は僅か20年で消費した
・中国の時速300キロの高速鉄道の総延長は世界の高速鉄道の総延長に匹敵する
・米国が?年かけて作る大橋を中国は43日(?)で完成してしまう
・特許の取得件数(だったか?)も米国を凌駕している

孫崎氏は中国経済がこの数年で一変するであろうと述べている。

さらに、ロシア主導の【ユーラシア経済連合】がすでに動き始めている。中国主導の【一路一帯】構想とロシア主導の【ユーラシア経済連合】が融合すると、ユーラシア大陸全域を包含した経済圏ができる。極東地域の経済的ポテンシャルは歴史上最も高まっていると言って良い。長期的視点から見ると、世界経済の中心が完全にアジアに移りつつあることは確実。

★米国の対中国貿易戦争の狙いは、このような中ロ主導の【一路一帯経済構想】や【ユーラシア経済連合】などの計画を阻止するところにある。

中国専門家の遠藤教授が語っていたが、中国の【一路一帯構想】は、陸と海と空の覇権だけでなく、宇宙の覇権まで視野に入っているそうだ。遠藤教授は「大風呂敷に聞こえるかもしれないが」と断っていたが、中国の覇権意欲はこれだけ旺盛だと言って良い。

ただ、ここで注意しなければならないのは、中国の覇権意欲は、【世界覇権】ではなく、【地域覇権】だと言う事。習近平が米大統領との会談で何回か打診している太平洋を二つに分けて支配しようと言う構想が象徴的。米国の覇権は、それに対して【世界覇権】であり、覇権の多様性を認めない。そこが決定的に違う。

米国はその違いをあまり認識していない。「覇権」と言えば、「世界覇権」を意味すると考えている。だから、彼らは、中国の【製造2025】、【一路一帯】構想は、明確に米国【覇権】に対する挑戦と捉えており、それに対する先制攻撃を仕掛けた。これがトランプ大統領が始めた【貿易戦争】。

そして、この【貿易戦争】は、軍産複合体の同意を得ており、おそらくトランプ在任中続く見込みである。中国のアリババの会長は、30年は続くと語っている。(続く)

「護憲+BBS」「安全・外交政策を考える」より
流水
『政治』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
« 世界を巻き込む中国と米国の... | トップ | 世界を巻き込む中国と米国の... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

安全・外交」カテゴリの最新記事