老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

尊い犠牲

2017-08-23 11:49:07 | 戦争・平和
東京新聞、8/20付「コンパス」コラムを転載します。

+++++++ 「尊い犠牲」 ++++++++
 この時期になると10年以上前の出来事を思い出す。85歳で亡くなる晩年、祖父が病院で突然叫んだ。「歩けない奴は死ーねー!」。足が不自由になっていたので、自虐かと思った。でも違った。

 祖父はインパール作戦に従軍した。豪雨に打たれ、野草を食べて下痢便を垂れ流しながら、死臭の漂う泥濘(ぬかるみ)を歩いた。目をかけてくれた上官も、幼なじみも、みな死んだ。負傷や病気で歩けなくなることは死を意味した。それが「歩けない奴は死ね」なのだ、と思い当った。

 長年心の奥底に閉じ込めていたのだと思う。そして人生最後に脳裏によみがえったのは、泥の中で死んだ戦友だった。

 祖父は美化された戦記を嫌い、「壮烈な戦死」という表現について、こう書き残した。「死者を冒涜するつもりは毛頭ない。だがこのコトバに対しては抵抗感を持つ。少なくとも泥濘の中で雨にたたかれて死んでいった男たちに、鬼神も泣く云々の言葉は当てはまらない」

 「戦争というものの実態は、やはり弱者の視点に立ってみないと本当の姿は分からないのではなかろうか」

 今年も安倍首相は、全国戦没者追悼式で「平和と繁栄は、かけがえのない命を捧げられた皆様の尊い犠牲の上に築かれた」と述べた。「尊い犠牲」になりたかった人間などいたのか。
+++++++ ここまで ++++++++

これは、靖国神社問題や特攻作戦の是非についても同様と感じる。戦死者が全員、靖国神社に祭られたくて命を投げ出したわけではない。お国のために爆弾抱えて飛び立ったわけではない。

しかし、靖国神社や特攻隊員を神聖化・聖域化する人々は「日本のために散華した軍人を冒涜するのか、謝れ!」と叫ぶ。靖国神社へのA級戦犯の合祀を正当化する。それにより太平洋戦争で大本営発表した軍人、無謀・無責任な作戦指揮した軍人の責任追及をうやむやにしようとする。

それゆえ、戦後72年の現代でも「戦闘状態」の日報を保身のために隠匿する自衛隊幹部、自衛隊員の命を粗末にする政治家が生き延びている。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
猫家五六助

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