老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

外国人労働者と人権―入国管理法改正と、技能実習生の失踪問題を考える―

2018-11-20 17:00:02 | 民主主義・人権
日本の生産年齢人口は、少子化に伴い減少が続いている。2015年は7592万人に対し、2050年には5000万人と予測されている。現在の外国人労働者は128万人。留学生と技能実習生がその大部分を占めるという事になっている。

安倍政権は、成長戦略のためには労働者が足りないと、外国人労働者の受入れ拡大のための入国管理法改正を言い出した。「入管法の改正は移民政策ではない」というのだが、その理由は、「その業種が人手不足を解消したら、その分野で働く外国人は帰国させる」というものだそうだ。

ここには、外国人には安価な単純労働をさせればよい、不要になったら返せばよいという安直な受け入れ姿勢がうかがえる。

また、外国人労働者を最長5年間の在留期間の「技能実習」と、「特定技能(仮称)」のカテゴリに分けるそうだ。前者は家族を呼ぶことや優遇措置はない。後者は、【技能実習生が資格を得た場合】、さらに5年間の在留期間が認められる。そして【高度専門職】と認められれば家族を呼ぶことや優遇措置も認められ、在留期間の期限もなくなるという。

分野としては「建設業」「造船・舶用工業」「介護」「農業」「宿泊業」の5分野だったが、「ビルクリーニング」「素形材産業」「産業機械製造」「電気・電子機器関連産業」「自動車整備業」「航空業」「漁業」「飲食料品製造業」「外食業」などの業種も人手不足を訴えて受入れを希望している。

このことで浮かび上がってきたのが、今の外国人技能実習制度の有様だ。今回ようやく国会で、7000人を超える実習生の失踪と、その理由が明らかになってきた。

外国人を安価な労働力として、日本人の嫌がる「きつい」「汚い」「危険」な3K労働をさせる。技能実習にもならない単純作業の繰り返しで、賃金は技能実習を名目に最低賃金以下だったり、残業代はもっと安く夜中まで働かせたり…実習生が逃げ出すのも無理はない労働環境の受入れ先が多くあったのが実情だった。

技能実習生制度というなら、受入れ先が何の技能を実習させるのか、その成果はどうだったかを、行政が外部監察すべきではないだろうか。

しかも今回も【技能実習の資格】【高度専門職】の仕分けは、すべて曖昧なまま。今までの【技能実習生】と同じように、実体のない名称が伴う入管法改正だけが取り沙汰されている。

そこには、外国人労働者の生活や立場への配慮は見られない。外国人労働者を利用するだけのシステムは、ヨーロッパが直面している移民問題と同じ轍を踏むのではないか。

外国人労働者を入れるなら、彼らに日本語を教え、社会ルールを教育し、生活が成り立つように、彼らの権利を守る方向で考える必要があると思う。そうでないと社会不安を招き、結果的に軋轢を生んでしまう。

外国人労働者は「数」ではない。1人1人が親を持ち、妻子がいて、その国の文化や宗教、そして希望や夢を持っている。

そこをしっかり考えず、労働者の増加を目的に、入管法を曖昧なまま通したら、早晩、問題が出るのではないか。

そして外国人労働者に対する各々の人権感覚(ことに政治家の人権感覚)は、日本人に対しての人権感覚とまったく同様であることを、私たちは自覚したいと思う。

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6 コメント

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悪い思い出 (竹内春一)
2018-11-20 23:58:25
私は転職を10回ほどしているから、あらゆる職場に、変に精通している。経験的に、良い思い出は残らない。悪い思い出だけが残っている。人間関係が良い場合は、記憶にあまり残らない。人間関係が悪い場合に、ひどいことをされたと後でいつまでも思い出す。これは私に限ったことではなくて、すべての人がそうである。

現在、日本で外国人労働者の多くが給与も少なく、労働環境も悪い状態で、3年とか5年で放り出されて、日本を退去することになっている。日本に対してよい印象を持たないでしょう。だとすれば日本は、未来の日本人が世界で孤立するようなことをやっているわけである。

ではお前はどうなんだ、と文句を言われるでしょうね。私は、因果応報を信じている。
https://kotobank.jp/word/%E5%9B%A0%E6%9E%9C%E5%BF%9C%E5%A0%B1-32783
この国の人を好きになって帰ってもらいたい (珠)
2018-11-22 11:32:47
>竹内春一様
せっかく日本に働きに来たのに「日本に対してよい印象を持たない」。それでは「未来の日本人が世界で孤立する」

おっしゃる通りと思います。YWCAの「留学生の母親」運動をしていた時、せっかく留学してきたのに、「一度も日本人の家庭に招かれたことがない」という方々に出会い、狭い我が家に沢山の主にアジアの留学生たちを迎えました。私たち市民でもできる外交だと思っています。

今でもその国に何かあると、「元気にしているかな?」「住みやすい国になるといいな」と、彼らの顔を思い出します。
Unknown (Unknown)
2018-12-13 00:02:45
外国人労働者がなぜ自国に帰りたがらないかというと1年も日本にいれば日本がすっかり気にいってしまって帰りたがらないわけですだから好きになって帰ってもらいたいなどとは全く杞憂のことです。なお日本人の性分としてついつい外国人にお節介を妬きたくなるのですが時として彼らにはいい迷惑な時もあります。例えば飲み会に誘う時などです。彼らは日本で金を稼げるだけ稼いで帰りたいのに飲み会などにでていくらか払わせられるのは迷惑なわけです。
国内の人材育成を行ってこない国 (竹内春一)
2018-12-13 19:11:52
日本が日本人の人材育成を熱心に行ってこなかった結果として、「日本人がベトナムの労働者と競う時代 」になっている。
”外国人労働者を頼り、低賃金・低成長に陥った「IT下請け」の誤算”
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58816
 あるIT企業は若者を採用しても、技術をやっと覚えた3年後には7割が退職してしまう。企業に人材を育てようとする方針がないから、まるで雑巾のように搾り取って、役に立たなくなったらポイ捨てである。後進国だった韓国、中国にIT技術で一周遅れで、取り返しができない。経営者がアメリカのように利益を第一にして、働く人々の幸せを考えて来なかったからである。
Unknown (Unknown)
2018-12-13 21:09:19
技能実習生ら8年で174人死亡
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6306633
日本は今でも実は奴隷国家だという例である。

「日本がすっかり気にいってしまった」外国人は一部。例えば金満の中国人。
移民と引きこもり (おとなのおやつ)
2018-12-17 09:25:20
 世界中に散らばる自社従業員がアメリカに赴任してきたとき、機会を設けクロスカルチャラルトレーニングを受けさせるアメリカの多国籍企業、従業員は夫婦でホテルに数日泊まり込みそこで講義を受ける。その内容は例えば、頭の上に両手で丸を作るとアメリカではOKのサインだけど、アフリカのどこかの国ではとんでもない意味のサインになる。どんなとんでもないかは私の英語力では聞き取れなかったのですが、地球上には多くの国が存在しいろいろな民族、人種が暮らしていて、言葉だけでなく動作などもバラバラ、お互い上手くやってゆくには相手を正しく理解することが必要だ、というようなことでした。
 その国の構成員が単一民族の国もあり、アメリカのように世界中からそれぞれの人種が集まりやっている国もある、という講義中、何気なく「日本は単一民族国家です」と私が言ったとき、会場のあちこちから激しいブーイング飛んできた。それは単一民族国家は悪だと言わんばかりに聞こえ、「何?これ!」と驚いてしまいました。吉田茂元首相の回顧録で「アメリカに領土的野心はない。けれど相手の主義が自分と違う場合、厳しい目を向けてくる」といった文章があったことを思いだし、こういうことなんだと納得でした。
 どんな人がブーイングしたかと言えば、アメリカ中から呼び集めた、大学で人間とかその社会を観察する学問の先生方、話は飛びますが、メルケルさんなども、その同じ延長線上の考えの方なのかな?とか私は推測してみたりです。
 学問が良しとすることで、アメリカでは現実にそうであるから、他国もその主義を目指すべきだとしたとき、やはり無理の生じる国が出てくると思われ、日本の場合難しいものがあるということに気づき、よく考えて知恵を働かせ取り入れるべきではないんかなぁなどと私は思います。
 ドイツでは移民について考えが変わってきているし、アメリカ、トランプさんはあんなことをしているし、もう何十年も前の出来事でしたが、あのクロスカルチャラルトレーニングの会場で、いま再び「日本は単一民族国家です」と言ったら、ブーイングあるかもしれないけど、かなり小さい声になっているのではないんだろうかなどと…。
   奴隷にはなりたくなくて引きこもり
   選ばれぬ国だ移民ら死んでゆき
                         おやつ

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