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“控えめにお節介を焼く老人の会”のようなものがあっても良いのでは(2)

2021-05-03 14:47:08 | 社会問題
この2月以降の「孤独・孤立対策担当相」任命後に見られた政府・行政側の動きと、協力要請を受けることになる民間活力体制側の代表的意見を紹介していきたいと思います。

4月2日付けAERAdotで、坂本大臣は担当相就任にあたって以下のように所信を述べています。

日本人の多くは宗教を基にした日常的な繋がりがない。
かつては会社が社員・その家族を支援する仕組みがあったが、それも失われつつある。
坂本氏自身そうだが、多くの人が濃密な人間関係の地方から希薄な都会に移動している。
従って今の日本は誰もが孤独感を感じる可能性の高い環境で生活しており、しかも新型コロナウイルス感染禍で、問題は拡大し深刻化している、というのが基本認識である。

(今までの行政対応)
自殺対策は厚労省、子どもの貧困は内閣府、子ども食堂への食材提供は農水省。
各省庁縦割りになっている現状に対し、今後の孤独対策は横に繋げていく必要があり、各省庁の枠にとらわれない大臣が司令塔になるのが最適と認識している。

(2月以降現在までの行動)
○全省庁会議を開催し、SNS活用・孤独孤立の実態把握・NPO連携の3つのタスクフォースを立ち上げた。
○緊急的にNPO法人への支援策をまとめ、女性と子供支援や自殺対策、生活に困っている人たちに食品を提供する“フードバンク”への財政支援、公営住宅を低価格で貸し出す仕組みなどに予算措置を行った。
○孤独・孤立対策担当室には常駐職員6人、兼務を含めると30人以上を配置した。
○今年6月に策定する経済財政運営の基本方針”骨太の方針“に孤独・孤立対策を盛り込む。

支援を必要とする人は増えている。現場に近いNPO法人や民間企業などの協力が不可欠である。大きなネットワークを作り、支援が必要な人が繋がりやすい仕組みを築いていく、その土台となる政策を考えたい。

以上が新任坂本大臣の直ちに動いた行動と、氏の抱負についてです。

ついで受け皿と目された民間活力実行部隊側の一人と思われる池上正樹氏のブログ(4月1日)から、池上氏の視点からの一連の動きを紹介します。自民党・霞が関等の動きや考え方がつかめる記事と思います。氏は24年間に亘り“引きこもり状態”にある人々にインタビューをしてきている実績を持つ方です。

○2月25日発足の自民党孤独・孤立対策特命委員会(委員長松野博一元文科大臣)の会合が3月22日に開かれ、池上氏も15分間“ひきこもり”をテーマに講演した。
○同委員会は英国に次ぎ世界で2番目となる孤独・孤立対策担当大臣(坂本哲志氏)を任命。
 内閣官房には“孤独・孤立対策担当室”も設置された。
○下村博文政調会長から“孤独孤立と引きこもりは関連性が高い”として、孤独孤立や引きこもりに取り組むNPO等への支援について党の要望を受けて決めたことなどが説明された。
○内閣官房の谷内繁孤独・孤立対策担当室長から、厚労省の自殺対策、生活困窮者や引きこもり状態にある人を支援しているNPOなどに、総額60億円の予算措置がされていることが共有された。また孤独孤立対策に関する連絡調整会議を立ち上げ、ソーシャルメディアの活用や実態把握、関係団体の連携支援についての3つのタスクフォースを編成することなど、政府の取り組みに動きがあったことが報告された。
○招待者の話
① エビデンスに基づく「引きこもり支援の基盤となる法律」や「居場所」の整備などを要望している宮崎大の境泉洋教授(心理学)の話が先にあった。
② 次いで池上氏が永年の引きこもり状態にある人へのインタビュー経験から感じていた問題意識について説明した。

(引きこもりのきっかけ)
学校や職場等の集団生活での社会的ストレスや個人の特性への理解不足などが要因である。
最近のコロナ禍での生活の先行き不安や解雇・雇止めで仕事を失う事例も増えてきており、誰もが孤立しやすい状況が生まれている。
(引きこもり状態に対する手当)
孤立状態に陥ると適切な判断が当人は出来なくなる。よって不安を払しょくするためにも先ずは寄り添って感情や感覚を受け止めてくれる理解者との繋がりが必要とされる。ところが引きこもり支援の現場で使われている2010年厚労省が発表したガイドラインは、精神医療の治療者目線で書かれており、引きこもり状態の要因に多い「社会的ストレス」の視点が欠落し時代にそぐわない点を指摘した。

多くの場合引きこもる本人や親は障害者ではないとの思いから、医療機関に行きたがらない。本人の病識がないことから診断まで辿り着けないことになり、制度からこぼれおちる引きこもり状態の人が多いのが実情である。

”引きこもり支援“、“自立支援”をうたう「引き出しビジネス業者」が存在し、弱みに付け込むことで事態を更に悪化させている場面もある。

従来の”引きこもり支援“は就労目的や訓練主体のパターン化した対応が為されており、引きこもる本人達それぞれが幸せになることに寄り添う姿勢がない人達が作った評価基軸での支援であると言える。新たな「引きこもり支援の認証評価」の法整備やガイドラインの改訂の必要性があるとした。

その他の制度面での要望として精神医療への抵抗感を考慮して診断や障害認定がなくとも利用できる制度や障害年金のハードルを下げること、引き出しビジネス対策の重要性について言及した。

(質疑応答)
Q.引きこもり状態と精神疾患との関係
A.引きこもる人の中には元々精神疾患や発達障害の特性を持つ人、そのことが周囲に理解されなくて集団生活が出来なかった人、長期的な孤立で二次的に発症する人、社会的ストレスから退避せざるを得なかった人もいるので「引きこもり」という状態を俯瞰的に判断出来る人の存在が大切。
Q.“アウトリーチ(訪問支援)”は必要か?
A.引きこもっている本人は人間関係にトラウマを持っていることが多い。アウトリーチは望んでいない見知らぬ人が家に来ることで脅威と感じ、無理に進めるとトラブルになる可能性がある。本人が何に不安を感じていて何を望んでいるかを知ることから始める必要があり、先ずは家族の不安に寄り添いながら本人や家族が生きていく上で必要な制度や資源などの情報を提供できる人材の育成が急務だろう。

世界で2番目の早さで誕生した孤独・孤立担当大臣の話題を紹介してきましたが、次回は大臣誕生以前のトピックスを振り返って問題点の明確化が出来ればと思います。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
yo-chan

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