老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

桜疑惑:カジノ利権逮捕:コロナウイルス騒動の影で進行する独裁国家への布石!

2020-02-10 10:47:33 | 政治
先日、多くの人が耳を疑う検察人事が発表された。

『安倍政権は1月31日、2月7日に定年退官する予定だった黒川弘務・東京高検検事長(62)の定年を8月7日まで半年間、延長することを閣議決定した。
 検察庁法は、検事総長の定年を65歳、その他の検察官の定年は63歳と定めている。国家公務員法は、1年を超えない範囲での勤務継続を認めているが、定年が延長されるのは、異例のこと。黒川検事長は、2月8日に63歳の誕生日を迎える。検事長が定年を超えて勤務を続けるのは戦後、初めてのことだ。
 前代未聞の人事を発令してまで定年が延長されたのは、黒川検事長が安倍官邸と極めて近いからだ。安倍政権は、官邸に近い黒川検事長を検察トップである検事総長に就け、検察組織を官邸の支配下に置くつもりだ』
・・・・・日刊ゲンダイ

定年を一週間後に迎える黒川氏の定年延長を決定する。この人事については、立憲民主党の枝野党首などを始めとして、自民党内からも、さすがに「やりすぎ」だという批判が噴出しているが、安倍政権は強行するつもりだ。

公務員の定年制は、組織の新陳代謝を図るために設けられている。どんなに優秀な人材でも、権力(国家公務員組織の長は、それ自体が権力)に長く居座る事は、必ず腐敗を招く。定年制は、この権力の腐敗にも一定の歯止めをかける意味がある。

元東京地検特捜部検事だった郷原宏氏(弁護士)は、今回の定年延長決定は、違法行為だと書いている。枝野幸男氏は脱法行為だとしている。

郷原氏の主張は以下の通り。

『・・・察庁法22条は、「検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する。」と定めている。
 国家公務員法第81条の3で、「任命権者は、定年に達した職員が前条第1項の規定により退職すべきこととなる場合において、その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して1年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。」とされており、この規定を根拠に定年後の「勤務延長」を閣議決定したものと思われる。
 しかし、この「前条第1項」というのは、同法81条の2第1項の「職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の3月31日又は第55条第1項に規定する任命権者若しくは法律で別に定められた任命権者があらかじめ指定する日のいずれか早い日(以下「定年退職日」という。)に退職する。」という規定であり、この規定で「法律に別段の定めのある場合を除き」とされている「別段の定め」が検察官の場合の検察庁法22条である。検察官の場合、定年退官は、国家公務員法の規定ではなく、検察庁法の規定によるものであり、81条の2の「第1項」の規定によるものではない。
 したがって、国家公務員法81条の3による「勤務延長」の対象外であり、今回、検察官の定年退官後の「勤務延長」を閣議決定したのは検察庁法に違反する疑いがある。
 検察庁法22条は、検察官の定年の年齢を定めただけで、検察官も国家公務員である以上、定年による退職は、国家公務員法に基づくものだという解釈をとったのかもしれないが、検察庁法が、刑訴法上強大な権限を与えられている検察官について、様々な「欠格事由」を定めていることからしても、検察庁法は、検察官の職務の特殊性も考慮して、検事総長以外の検察官が63歳を超えて勤務することを禁じる趣旨と解するべきであり、検察官の定年退官は、国家公務員法の規定ではなく、検察庁法の規定によって行われると解釈すべきだろう。』
・・・・黒川検事長の定年後「勤務延長」には違法の疑い
https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20200201-00161318/

桜疑惑、カジノ利権による逮捕者、公職選挙法違反による現職議員の捜査など、安倍政権関係者は、まるで犯罪者の巣窟ではないかと疑われる状況の中で、取り締まりを統括する検察庁の人事に露骨に介入する今回の発表は、安倍政権の危機感の深刻さを物語っている。これがまかり通るようなら、日本は【無法国家】と評価されても仕方がない。

枝野立憲民主党党首が、「総理大臣を逮捕する権限を持った検事総長の役職に政治が介入するのは間違い」だと評していたが、その通りだと思う。

今回定年延長された黒川弘務・東京高検検事長(62)と菅官房長官との親密さは、つとに有名である。

『黒川検事長と菅官房長官が親しいのは、省内では誰もが知っている話です。黒川検事長を法務省の事務次官に抜擢したのも、東京高検検事長に就けたのも“菅人事”だとみられています。本来、事務次官には、黒川さんと同期の林真琴・名古屋高検検事長(62)が就任するはずだったのに、ひっくり返した。よほど菅長官は黒川さんのことを気に入っているのでしょう。そのうえ、定年延長だから露骨です。これで検事総長の人事も大きく変わる。予定では、黒川さんが2月に定年退官したあと、林真琴さんが東京高検検事長に栄転し、8月に検事総長に就くことになっていた。でも、異例の定年延長によって、もはや黒川さんが検事総長に就くことは確実です。』
・・・日刊ゲンダイ

小渕優子、松島みどり、甘利明、下村博文や森友問題で佐川宣寿元国税庁長官を始め役人38人が不起訴になっている。 黒川は安倍政権下で不起訴の連続の中枢にいた人物である。

政治との距離の取り方を間違えた検察など、誰にも信用されない。そうでなくても、日本の検察のありように対しては、様々な批判がある。カルロス・ゴーン氏の逮捕・勾留・保釈・逃亡などの一連の問題で日本検察の人質司法や自白偏重・人権無視の取り調べなどは、世界の知るところになった。

こんな人事を許すようでは、検察は、ゴーン氏の主張「日本では、正しい裁きを受けられない」に抗すことができない。要するに、人によって「法の適用」が変わるのである。「法の下の平等」が守られない。こんな検察を誰が信用するのか。

IR汚職も秋元議員一人の逮捕で幕引きになるのではないか、と噂されている。桜疑惑に対する国民の関心をそらすために、秋元議員逮捕を行ったのではないか、と囁かれている。

リテラは、検察官僚のクーデターに対する官邸の報復と書いている。

『検察の反乱が官邸に潰された! 安倍内閣が“官邸の番犬”黒川弘務・高検検事長を違法に定年延長、検事総長に就任させIR捜査潰し』
https://lite-ra.com/2020/02/post-5238.html

韓国の文政権と検察との暗闘でも見られたが、権力と司法機関の関係は、どの国でもいつの時代でも、常に微妙な力関係のバランスの上に立っている。

今回の黒川氏の定年延長は、このバランスを大きく変えかねない。政治側(官邸)の圧力に屈してしまったら、日本の検察は、完全に国民から見放されてしまう可能性が高い。

しかし、日本のメディアは、韓国法務省と文政権の暗闘は微に入り細をうがって報道したが、今回の黒川氏の定年延長問題はほっかむり。韓国文政権をあれだけ批判したのである。文政権と同様かそれ以上の権力の司法への介入を批判しなければ、メディアの論理的整合性が疑われる。もはや、ジャーナリズムは滅んだ、と言わなくてはならない。

今や、立法府の国会もほとんど抜け殻のような存在になり、その上、司法も行政に膝を屈してしまうと、三権分立など絵に描いた餅。本当に日本は安倍晋三独裁国家になってしまう。

新型コロナウイルス騒動と緊急事態条項必要発言」で指摘した独裁国家(ファッショ国家)への道をひた走りに走っている。このまま進めば、これ以降、安倍晋三とその一味たちが何をしようと、誰にも止める事が不可能になる。

実は、コロナウイルス狂騒曲の間に安倍四選の準備が進みつつあるとも囁かれている。徹底的な石破外しが進行しているらしい。

それでいて、野党が本当の意味での大同団結ができない。京都市長選での反共ビラのような「もの言えば唇寒し」状況を後押ししている。

このように、八方ふさがりの真っ暗闇状況だからこそ、逆に、市民の連携と団結が一気に状況を変える可能性がある。絶望的状況だからこそ、希望が持てると考える必要がある。

「朝の来ない夜はない!」

「護憲+コラム」より
流水
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