老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

新聞の再販価格制は「国民生活第一」の政治に反する

2010-02-11 10:07:17 | マスコミ報道
先日菅副総理は日本経済はデフレとの見解を表明した。デフレとは不景気で物が売れなくなり、物価が下落し、連れて企業の収益も減り、倒産が増加したり、従業員の給与も減り、更に物が売れず、物価が下落する現象である。おそらく大多数の国民は何らかの形でこれらの現象を体感しているのではないだろうか。

しかしこのような物価が下がるデフレ現象の中であっても、新聞の再販価格(小売価格)は下がらないように、独占禁止法で例外商品とされ、全国一律1ヶ月(朝夕刊)で3925円以上に護られている。本来独占禁止法は企業等が協定して価格を維持することを禁止する法律であるが、ウィキペディア「再販売価格維持」によれば、日本では例外として6品目が値崩れしないようになっているのである。

因みに各国の現状を見ると、新聞の再販価格が設定されている国(日本・オーストリア・韓国・ドイツ)の方が少ないことが分かる。以下のように新聞料金は値が下がらないという日本の常識は世界の常識ではないのである。

主要各国の概況
アメリカ合衆国 1975年廃止
イギリス    1997年廃止
フランス なし
ドイツ      時限再販
スウェーデン   1970年廃止
韓国      時限再販(1年)2008年廃止予定
ノルウェー    なし
オランダ     なし
デンマーク    なし
オーストリア   有り
日本       有り

一方再販価格制度を廃止すれば、言論の自由が侵されるかと言えば、全く別問題である。言論の自由は憲法で保証されているのであり、再販価格を認めている独禁法で保証されているのではない。憲法の下、紙と鉛筆と人の意思と勇気があれば護れるのである。

因みに日本新聞協会は、『経済広報』1996年5月号掲載の「再販問題で新聞協会会長談話」で、再販制度の維持理由について次のように述べている。

『新聞協会は『著作物再販を見直そうとする公取委当局の流れは変わっていない』という厳しい認識の上に立って、引き続き組織を挙げて、著作物再販の重要性についてさらに広く読者、国民の理解を得ていくとともに、国民の知る権利にこたえ、報道評論の充実と正常販売の徹底、安定した流通システムの確保に努めていく決意である。』

上記談話での「国民の知る権利」は、言論の自由と同じく憲法で保証されているものであり、独禁法で保護されているものではない。新聞には消極的に知らせる義務があるかも知れないが、今や不都合な事実は報道せず自ら義務を放棄している状態である。

何れにしろ宅配制度は流通の問題であって、どの企業にも、どのような商品にも共通の問題であり、他の業界では流通システムそのものも自由競争のなかに置かれいる。どうして新聞業界のみが宅配制維持の名のもとに再販価格を保証されねばならないのか、不公平を押し通そうとするには説得力に欠る談話である。

仮に企業努力で宅配が出来ない新聞社は宅配を辞めれば良く、逆に販売競争のために宅配を維持したいのであればリストラしてその経費を補うなり、購読勧誘や契約更新時の景品提供を止めるなり、広告収入で補う方法もある。また大手新聞社はいろいろな多数の系列会社を傘下に持っており、その収益を宅配に充てれば良い。例えば朝日新聞社は国内外に200社のグループ企業を有している。

http://www.asahi.com/shimbun/honsya/j/associate01.html
http://www.asahi.com/shimbun/honsya/j/associate.html

ところで2008年10月27日当時、麻生内閣の河村官房長官は、新聞の再販価格については維持された方が良いとの発言をしていたが、今から思えば政府自民党と新聞各社は持ちつ持たれつの共生関係にあったのではないかと思われる。

http://news.livedoor.com/article/detail/3962142/

現にそれを裏付けるような不公平で偏向的な新聞報道がなされたことは記憶に新しい。即ち、昨年西松建設の政治団体から自民党の複数議員と民主党の小沢幹事長の陸山会に政治資金が提供されていることが明るみになった際の、新聞各社の報道の在り方である。このように自民党政権と新聞が癒着しているかのような報道がある以上、再販制は百害あって一利なしである。

政府民主党はそのような偏向報道で貶められたのであるから、もう新聞を恐れる必要もないはずである。ましてこのデフレ経済下で偏向新聞が独禁法で保護されていることは、国民感情にもそぐわない。これを機会に国民生活第一の目線に立って、独禁法の例外措置から新聞は除外すべきであるし、新聞各社もこのような独禁法の例外措置をとぱらって自由に報道すべきである。

「護憲+BBS」「新政権ウォッチング」より
厚顔の美少年
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