路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

分 別

2008-09-23 | ★ほんの日常

生まれ生まれ生まれ生まれて

生の始めに暗く、



死に死に死に死んで

死の終わりに冥し。
                  
            -空海-





食の恐怖が蔓延している。
今に始まった事ではないだろう。



食べることは生きること。
生きることは 他の命を いただいて いくことだ。



つかの間の利益の為に安全性に疑いのあるモノを
不特定多数の人々の口に放り込んだ罪は
どうやったら償えるのだろう。

「何処でもやっていること」

死人が出た訳ではないので
まだ大丈夫とでも言いたげな物言いだが、
毒性が強く蓄積するとなると
明らかに「長期大量殺人」になる。



人は 食べもしないのに 何故人を 殺すのだろう。



最近、小さな子供の命が
被害者であるその母親によって奪われ、
公園のトイレの裏で発見された。
母親は交通事故に遭って足が悪く、
育児で悩み、将来を悲観しての犯行と聞く。
まだ犯人が捕まっていなかったら
近隣に住む同じ位の子供を持つ親は心配で仕方なかっただろう。
でも皮肉な事に、
最近の殺人の殆どが身内による犯行と言うのも現実だ。
GPS携帯や防犯グッズ、そんな物すら
役に立たない相手が犯人だったりする。



沢山のヘリが空を飛んでいたその日、
私は事件を知らず外に居た。
川の向こう迄足を伸ばした時に
子猫の悲痛な鳴き声が聞こえた。
一匹の目が未だ開いていない子猫が
車の下で鳴いていた。
母猫はちょっと離れた所で
残りの三匹の子猫にお乳をあげていた。

母猫を見て、ハッとした。

片方の前足がグニャリと曲がって固まっていたのだ。
おそらく、交通事故だろう。
子猫を私から守る為、物凄い形相で威嚇した。
目が見えない子猫は見えないが故に親からはぐれてしまったのか
親猫も不具の体では取りこぼしたのかも知れない。
私は慌てて盲の子猫を抱え、母猫の元へ連れて行った。

母猫は私をちらりと見て、子猫を優しく舐め始めた。
再び、威嚇する事はなかった。




私達は人間としての尊厳や分別(フンベツ)を
ゴミと共に分別(ブンベツ)し、それを棄てて行く事で
自然淘汰を実践しているのかも知れない。






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10 コメント

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フンベツとブンベツ。 (ねこやま)
2008-09-23 12:28:04
人として、大切な何かを棄てて生きていけば
それが自然淘汰になるのかも知れないですね。
生物の生態系から外れて生きる人間へ下した
もう一つの手段ならば、災害は残りの一つ。

しかし、子供殺しは酷すぎる。
ねこやまさんへ (rojineko)
2008-09-23 12:53:14
この母猫、不具の体ゆえにこんな体勢でお乳を
あげるのです。敵から直ぐに逃げられるように。

他の三匹の子猫は目が見えているので母猫の変な
体勢にも動じずお乳を吸えていますが、盲の子猫
はあぶれてしまったのでしょうね。
何かから逃げたはずみで、母猫の移動に付いて行けず
離れた所で鳴いていたのでしょうが、もしかしたら
この子は育てられないからと、母猫が置き去りにした
としたら…と考えると切ないのです。
無事に育って欲しいですね (nimomo)
2008-09-23 18:07:15
rojinekoさんの地域ではまだ沢山の野良ネコが生まれているのですね。
nimomoの地域でも以前は野良のおちびちゃんが沢山いました。そういった子の中には病気になってしまったり、交通事故で死んでしまったりととてもかわいそうな姿を見ることもありました。
今は地域の人たちが避妊の手術をしてくれるので、
子猫はほとんど見なくなりました。
この子たちは無事に育ってほしいですね。
母猫さん、痩せていますね。
餌はもらえているのでしょうか…。
Unknown (waky)
2008-09-23 19:28:49
私はrojineko-lilyさんの書かれるこういう記事が好きです。「知る」と「考える」の貴重な機会をもらっています。

現実というのは不条理の重なり合いで、そこには「善」とか「正義」というのはあまり意味がないのかもしれません。起こってしまっていることに対して、後付けで判断することはできますが。。
アクションを起こす方(毒物を入れる者、見逃す者、殺す者、猫を轢く者)にしても、どれだけ確信的な悪意を持ってやっているのか・・。むしろ浅薄な精神の表れな気もしてきます。

そしてその代償を払うのは、いつでも「そんな代償を払う必要のない者達」のような気がします。

母猫も仔猫も、荒波を乗り切って、強く、長く生きてもらいたいですね。
nimomoさんへ (rojineko)
2008-09-23 20:09:03
この片手の母猫は飼い猫(公認の外猫)のようです。
この家の方が車で引いてしまって、玄関先で飼って
いるように思えるのですが…(勝手な想像です)。
痩せていますが、ご飯には不自由していない様子で
はありますが、無事育つ事を祈るばかりです。
wakyさんへ (rojineko)
2008-09-23 20:21:04
「問題提起」マル投げの文章です。

同じ日に見た風景を切り取るとこうなりました。
悪意のない行いは、結構な大きさの事件を起こして
います。

>浅薄な精神の表れな気もしてきます。
そうですね、無関心は怖いです。
私もwakyさんの様に、時々立ち止まって遠くを見渡す目を大切にしたいです。

Unknown (ウェンディママ)
2008-09-23 22:07:11
今年は年明け早々から身内の殺人が多く、どうなっているのかと首を傾げたまま。。。
血の繋がりが重い時もあると思いますが、どうしてなんでしょうね…。
この母猫、rojineko-lilyさんが連れてきた子猫を再び受け入れてくれたようですね。
母も子も、無事でいてくれますように。。。
ウェンディママさんへ (rojineko)
2008-09-23 23:02:31
旧約聖書のカインとアベルのお話の様に、
人類初の殺人は兄弟殺しです。
でも、これはお話。
身内間の殺人は昔からあった事(勢力争いや後継者争い)なのでしょうでれど…今は時代が違いますよね。
現実に母親が子供を殺す世界はあってはならない事だと思います。
母も子も、無事に成長できるよう願うばかりです。




分別 (pyroposmoon)
2008-09-24 15:02:18
空海のこの言葉を別のところで読んですぐこのサイトで同じ言葉に出会いました。
私は性善説ではなく性悪説の立場を支持している。
 人は全て心の奥に闇を抱いて生まれてくると思っている。人類が出現して以来今までずーと絶え間なく、違っていること(宗教、人種等)への迫害、殺戮、戦争。何かをきっかけに隠されていた本性は歯止めがきかない。人間が人間である限り変わらないと思う。
そしてそれをそうしてはいけないと踏みとどまるのも同じ人間。親の愛、人の愛、弱者への慈悲のこころ(動物、老人、子供)の理を守っていくのも人間。
そして別々な人にそういう性質があるのではなく同じ一人の人間の中に悪と善が同居しているから厄介だ。
 私はだから「けもの」の本能がたとえ残虐に見える行動をしたとしてもより純粋に心惹かれてしまうのです。

生まれ生まれ生まれ生まれて

生の始めに暗く、

死に死に死に死んで

死の終わりに冥し。 空海ってすごいなぁ!!
rojinekoさんのこういう視点が私が心惹かれる所以です。                 
            
pyroposmoonさんへ (rojineko)
2008-09-24 16:57:53
私は宗教や神様は信じていませんが、
人が生きて得た美しい言葉には学ぶべき道しるべが在る様に思うのです。

二人の人間が同じ場所から眺めている。
一人は泥土を。もう一人は星を。
          -ラングブリッジ-

生きる事が修行だと言うならば、
「虚しく往きて実ちて帰る」修行の旅であれと願うのです。

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