路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

正確な視力

2011-06-24 | ★ほんの日常




私は子供の頃から視力が良い方だった。

ちょっと独特ではあるが。





学生時代には、身体測定なるものがある。

その視力測定の時に必ず一番下まで見えるので

正しい視力が計測できない程ではあったのだが、

ある意味

今までこの「ご立派な視力」に導かれた人生だった気がする。




人生の方向を決める第一歩である高校時代。

それは、身体能力のピークでもある。




受験用のデッサンを描いていた時、

「君は正確な目をしているね」と、先生に言われた。

所謂、「絵が上手いね」とか「構図が良いね」という言葉ではなく

その「正確な目」という言葉に妙に納得してしまった。

絵を描く人というのは、ある意味物事の裏側を見ているのだ。

神がかり的な千里眼ではなく、経験に基づく統計学で

確実に最短距離で答えに近付いていたりする。




年齢と共に次第に見えなくなるのが常だが、

かろうじて30代になっても

そう視力が落ちる事もなくやってこれたが、

流石に最近右目の視力に翳りを感じる。

それでも裸眼で不自由はないので

眼鏡やコンタクトのお世話になっている方々からすれば

何て事はないのだが。




だからと言う訳ではないが、

眼鏡を掛けた人に憧れる節がある。

小学生の時、松葉杖に憧れる変な子(ちびまる子ちゃんか?)が

必ず一人はいたと思うが…それに似た感覚なのか

妙に、眼鏡が羨ましかったのを憶えている。




しかし、その日感じた視線は確実に私を見ていた。





買い物帰りにいつもとは違う路地を抜けると

とある御宅のブロック塀の隙間から

正確に私を見ている黒猫がいた。





近付くと、その左目は無く

右目には丸くて黒い地球が一つ埋まっていた。




逃げる訳でもなく、普通に見えている猫と変わらず

自らの安全を確保しつつ、距離を計りながら。

見える筈のない、私を見ていた。




もし、神様なんてモノが存在するとしたら

その瞳はきっと、こんな目をしているのかも知れない。









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