路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

姥捨て山

2010-08-06 | 『灰縞さん・白石さん・栗坊・きつね』




『白石さん』親子の居た屋根の上に、

時々現れる茶虎の雄猫がいる。

始めは、近付く事は許しても撫でさせる事は許さない

白石さん』タイプかと思っていたが、

気を抜いた隙にヒラリと撫でると、ビビリながらも逃げない。

「ニャー」と言えば、「ニャー」と返事をする等…

こいつは何処かで飼われていたんだろうな…と、

何となくそう思った。

 



歳を取ったら山に捨てる「姥捨て山」みたいな飼い主がいる。

猫の性格上、家出がもとで帰り道が解からなくなった子もいるかも知れないが

飼われていた形跡を感じる猫に出会うと不憫に思ってしまう。

昔話の「姥捨て山」では、

息子が老母を捨てきれずに自宅の地下に穴を掘って匿うのだが

孝行息子の行いと老人ならではの知恵で山に捨てられずにすむというものだ。




昔話はその昔、夕餉の後に囲炉裏の前でその家の長老の語りを

家族で楽しむエンターテインメントだった。

ちょっと前に流行った「本当は怖いグリム童話」とか

昔話の残酷さだけを際立たせて、

教育上よろしくないだとか言うトンチンカンな親御さんの意見で

随分と焦点のぼやけたお話に作り変えられたものを聞かされた世代は、

幼稚園のお遊戯会で魔女が居なくて白雪姫が何人も居るという

ちょっと変わったお芝居をやっているらしい。




現代のエンターテインメント、テレビのニュースでは

自宅にミイラ化した老人を匿い

高額な老齢年金を家族が受け取っていたという話や、

育児を放棄した母親が二人の子供を餓死させて

ワンルームの部屋で一部ミイラ化していたとか

残酷な昔話よりも残虐な現実が

夕飯時のリビングルームで当たり前の様に流れていたりする。

何が教育上よろしくて、何が教育上よろしくないんだか

もう、解からなくなっているのかも知れない。




だから私は、

隙を見てヒラリと撫でては、ビクッと怯える猫の背中に

昔話の中に確かに存在する「生きる知恵」をふと、思い出すのだ。









昨日は37位
 ←やりきれない現代の「姥捨て山」に、クリック一つ。
昨日は16位
にほんブログ村 写真ブログ フォトエッセイへ ←作り話に目くじらを立て本質を見逃すバカにならない為に、クリックもう一つ。









コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 影の様に | トップ | 新化形 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

『灰縞さん・白石さん・栗坊・きつね』」カテゴリの最新記事