路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

優しい悪魔

2015-12-13 | ★ほんの日常





調べモノをする為に図書館へ歩いていた時の事。

いつも猫のいるルートを無意識に通過しているが、

その日も猫路地をとぼとぼと歩いていた。




『髭男爵』と出会った駐車場の近くには

これまた猫が好みそうな小さな家が立ち並び、

その隙間をぬうように小さな路地がある。



かなり築年数が経過したであろう一軒のお宅の前で立ち止まった。

その玄関先に物憂げな『ソクラテス』が

自分の足元をじっと見詰めたまま動こうとしないからだ。

しかし門から『ソクラテス』が居る玄関先まで

結構な距離があり、私有地に入るのは憚られるし、

猫の決定的瞬間を撮影するには辛い、

携帯のカメラしか持ち合わせていなかった。

ただじっとしている理由を知る為、見守る事にした。



しかし、『ソクラテス』は動かない。




暫くして、

頭を少し下にもたげた『ソクラテス』の足元に

何かもぞもぞと動く、灰色の小さな生き物が見えた。

それは間違いなくネズミだった。

手のひらにのりそうな小さい灰色のネズミ君が

ちょろりと『ソクラテス』の前に現れた。



「マズイぞ。食べられちゃうかも!」



心配したのもつかの間、

『ソクラテス』のゆるい猫パンチをよけて

ネズミ君は何故か『ソクラテス』の回りをちょろちょろと動き

何処かへ隠れてしまった。



「ん?今のは狩りだったのかな?」



何故か、『ソクラテス』の狩りの本気度が感じられない。

今度はさっきと違うネズミ君がまたさっきの場所から

ちょろりと現れた。




違う。

良く見ていたら、まるでネズミ君の方から

『ソクラテス』に向かって行ってる感じだったのだ。



これが「トキソプラズマ」って寄生虫の仕業なのか。

ただ単に、『ソクラテス』がお腹いっぱいだったから

狩りをしなかっただけなのか。




後日、カメラを持って『ソクラテス』のテリトリーに行ってみた。

上の写真はその時のものだが、人にも動物にも優しい猫のようだ。




ついでに立ち寄った訳でもなく、

『ソクラテス』に会いに行った自分の事を考えると

もしかしたら、この可愛い顔はカリソメで、

猫の世界征服はもう始まっているのかも知れない。













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コメント (2)
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