大航海時代~ロイルート編~

大航海みたいな日々の事。そんな日のこと。

『この虹の先へ…』第十二回

2006-09-19 | 小説
ようやく、小説再開です!><
いつもな感じですが、読んでいただけたら嬉しいです^^


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10月7日


 今日は土曜日。とはいえ、日課である早朝ランニングは忘れない。
日課……そう、その日課を昨日忘れてしまったのだ。状況が状況だったが、なんだか悔しい。例えるなら、毎回かかさず録画していたドラマを忘れてしまった、そんな感じだ。
 さて、3Kmのランニングを終え家に戻る。いくら季節が秋といえどそれだけ走れば当然汗をかく。シャワーもまた日課だ。シャワーを浴びて、水を飲もうとキッチンに向かう。
 …ん?まだ朝6時なのに人影が見える。我が家族は土日祝日は何かない限り8時過ぎないと起きてこない。……はて?何かあったかな。扉を開けると、そこには麗菜がいた。冷蔵庫を開けて中を見ている。
「おはよう」
声をかけると、びくっと身をこわばわせる。そして、おそるおそるこちらを見る。
「に、兄さん!?」
んで、大げさに驚く。
「お、おはようございます…」
バタンと冷蔵庫の扉を閉める。
「何をそんなに驚く?」
「その…まさかこんなに早起きだなんて思わなかったので」
苦笑。なるほど、それもそうか。早朝ランニングの事を言っていないからな。
「ああ、俺、毎朝軽く走ってくるんだよ。昨日は不覚にも忘れてしまったがな」
なるほど、という感じで頷く麗菜。昨日の趣味の話で『俺は走るのが好きだ』と言ったのを思い出したんだろう。そして、再び冷蔵庫を開け一本の500mlのペットボトルを取り出し俺に渡してきた。水だ。微笑んでいる麗菜。サンキュと礼を言い、水を喉に流し込んだ。
 「で、麗菜は何をしていたんだ?」
一息ついたところで、尋ねてみた。
「朝ご飯、何を作ろうか考えていたのです」
納得。
「ただ…」
言葉を濁す。
「お父さん達がいつ起きてくるのかわからないので、どうしようかと…」
おや、おふくろや姉さんは休日の事は話していなかったのか。代わりに、8時過ぎじゃないと起きてこないと説明した。うーんと考える麗菜。少し考えた後、上目遣いで俺を見てこう言った。
「兄さん、…朝ご飯、食べますか?」
「もちろんだ」
右手親指を立てた俺に麗菜は、くすっと笑みをこぼした。
           続く