

ころころ変わる天気のなかでソメイ吉野が散っている。
あれほど桜、桜、と騒いだのに、散り初めの花には誰も目が行かない。
まして公園の数本となるとこの舞台は悲惨、
群がった数羽のメジロも、小枝を折って遊んでいた子供もいまは去り、
散った花弁が、春の牡丹雪となって、薄く積もっている。
なんか切ない、あれほど桜と言っていたのに、この終演の舞台は寂しいと思う。
そんなソメイ吉野が散る、街外れの芝居小屋の風景、
出来るなら最後まで、若葉で化粧するまで見てあげたい。
(終演)
流れる時のなかで
ソメイ吉野が散り始めている
雨に討たれ
風に晒され
いま花が散る
短い数日間の開花
ソメイ吉野何を見て何を思い
咲き続けたのか
その胸中計り知れない
儚い命
そう嘆くけど
散り逝く姿に魅せられる人はなく
いまは誰も訪れない
冬の砂浜
別れ
花びらの終焉
人模様を見つめてきた舞台が
花吹雪の幕で終わる。
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