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ポーランド・ワルシャワ、ショパンの故郷の面影は何処に

2011-02-19 00:20:35 | 街たち
「世界ふれあい街歩き」
ピアノの詩人と冠されるフレデリック・ショパン縁の街、ポーランド・ワルシャワ。
近代ポーランドは、隣国たちにより国土を分断され、第二次世界大戦ではナチスドイツとソ連に蹂躙された悲惨な歴史がある。
ショパンは、まだ祖国が美しさを保っていたときの思い出を終生胸に抱けて、まだしも幸せだったかもしれない。
小道にかかる渡し廊下の下にある、第二次大戦のレジスタンス追悼墓碑に蝋燭を捧げていた老婦人は、「戦争でワルシャワの街は月面のクレーターのように瓦礫の廃墟と化していた」といっていた。
市民の故国を愛する血の滲むような努力で復興した王宮の前に、戦火にあった王宮の写真が掲示してあったが、本当に何一つ立つ姿がない荒涼とした有様だった。
戦争は、長い年月をかけて築き上げた歴史や文化を一瞬で無にしてしまう。
圧倒的な他者を否定する力だ。
映画「戦場のピアニスト」でも、その光景が描き出されていた。
ショパンのピアノ曲の調べと共に。
大戦後、共産圏に組み入れられたワルシャワの街並みは、共産圏特有の幅の広い道路(軍事目的と反体制行動を監視しやすいように)が街を貫き、固有色を排除した巨大な建物が設置され、まるで人間プラントといった景観。
今では、共和制で人々も自由に暮らしているように見受けられる。
ただ、少し気になることがあった。
「ジャウカ」というワルシャワの中にある「家庭菜園システム」で、市民が土地を借り受け農作業をしながら憩う場所(社会主義時代は慢性の食糧不足を補う食糧自給に役立った)を紹介していた。
あるジャウカの持ち主のおじいさんが、「近年EUに加盟したことで資本主義経済が活発になって、ジャウカが減少傾向にあり、憂慮すべきことだ」と嘆いていた。
土地を借りて自ら大地の恵みを得るよりも、お金で買って済ませることを選ぶ人が増えたのか、それとも、より効率的な土地運用を資本主義経済が追い立てているのか、どちらも有りそうだし、何か殺伐とした空気が立ち込めているようだ。
それでも、ポーランドでは、コウノトリを市民の意思で保護しているというではないか。
伝統として誇りを持って行っているコウノトリ保護活動、伝統文化を愛する風土がいつまでも続くことを願う。
ショパンが、故国を思い作曲した数々のポロネーズやマズルカが、ポーランドの民俗音楽をベースにしているように、自分たちの伝統文化を誇りに思いながら、未来を築いていけたなら、美しい未来が開けるかもしれない。

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