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「ホビット 決戦のゆくえ」

2014-12-22 23:45:39 | 映画
念願叶い、やっと劇場で「ホビット 決戦のゆくえ」を観ることができた。
しかも初3D。
前作はDVDを借りて観たのだが、これはホビットシリーズの中で最も完成度が高い。
展開早く、ストーリーの回収をしつつ「ロード・オブ・ザ・リング」へともきちんとつながりを持たせ、2つの物語がさながら指輪のように円環状に廻り続くのだ。

しかし、無敵の竜スマウグがもっとも命の短く弱い人によって倒されたり、野望から程遠いホビットに力の象徴が渡り世界の命運が託されるとは、なんとも皮肉といえよう。
それはトルーキンが理想とする世界のバランスなのか、あるいは警鐘なのだろうか。
好戦的で排他的な森のエルフの王スランドゥイルの鎧の中には、永遠にも等しいその命の中で経てきた悲しみが蓄積され、愛の残酷さを身に沁みたがための無常観、いや虚無が詰まっていた。
これも戦いによって失われる命が引き起こす負の遺産だ。
あと、金銀財宝が持つ強力な魔力についても、ドワーフの王スラインとその息子トーリン・オーケンシールドの心が蝕まれていくさまを描き、権力の魔力、恐怖による変節や盲従などは、2つの物語を通して語られている。
この、誰にも思い当たる事柄が縦糸となって織られていく物語に、魅了されないではいられない。

「指輪物語」の本があるにもかかわらず、未だに手が出せないのは、そのボリュームと話の重厚さに怖気づいているから。
映画をすべて観終わった今、挑戦してみるべきだろう。
さて、読みきれるか。
来年の課題である。


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