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五月の入梅と、カイユボット再発見

2013-05-29 16:18:01 | アート

Place de l'Europe par temps de pluie  Gustave Caillebotte

今年の梅雨は、ずいぶんと早い。
まあ、しばらく雨が降らなかったもので、風が吹くと土埃交じりになって困っていたから、今日の雨は救いの雨だったのだが。

パリにいたとき、雨傘をさす人がほとんどいないことに驚いていた。
日本のように雨が多くも土砂降りもまれなため、特に街に住んでいては傘の出番がないというのだ。
なのに、カイユボットは傘をさした人々の絵を描いている。
絵は、虚構のものだから、事実に照らし合わせなくてもかまわない、きっと傘の持つ形状とその配置のリズム感が面白かっただけなのだろう。
カイユボットは、印象派の画家でもあり、重要な献身的パトロンでもあった。
彼がいなければ、印象派の何人かは飢え死にしていたかもしれないし、重要な作品が生まれなかったかもしれない。
彼自身の作品は、印象派の第一級の評価を得てはいないが。
それでも、ブルジョワらしい優雅さと几帳面さのある画面からは、清涼感とともに現代的感覚がうかがえる。
どうしてなのか?
それは、写真を撮る時の対象の切り取り方にある。
プライベートスナップのような、気負いがないけれど粋な構図が、現代的要素を彼の作品に与えるのだ。
もしかすると、カイユボットは印象派よりも未来を見ていたのかもしれない。
彼より半世紀後の、アメリカの画家エドワード・ホッパーの先達とも思えるのは自分だけか。

今日のこの入梅がいささか先走っているとしたなら、カイユボットも印象派を通り越してしまった先走り感が、その時代の評価を受けられなかった原因かもしれない。
どうか、カイユボットを今一度見直して欲しいものだ。


イエール川のカヌー  カイユボット

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