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何気ない身の回りの景色を美しく思う気持ちは

2012-11-13 15:46:39 | 随想たち
小さい人の下校を見守るために、毎日車で併走している。
といっても、自転車と自動車の速度は違うので、ポイントごとに止まって見ているのだ。
今は、夕日があたりを照らす具合だから、天気の良いときは、木々や刈り取られた田んぼなどにオレンジ色の光が照り付けている。
日ごとに変わる光の強さと角度が、同じ景色でも見飽きないものにしてくれる。
何の変哲のない、田舎の田畑に雑木の生えた小高い丘だけれど、心がじんとするくらい美しい。
小さい人も、自転車をこぎながら、周りの景色に目を向けている。
時々、こちらを向いて、「きれいだよ」と話しかける。
些細なことだが、感動する心を認めてうれしくなるのだ。

きのう、夕方もだいぶ遅く、ほとんど日の光が消えかかる頃に、中くらいの人がカメラを取りにやってきた。
外の田畑に靄が層になって立ち込めているところを、写したいのだという。
コンデジでは荷が重いと思ったが、その気持ちを汲んでカメラを渡した。
たしかに、地上1メートルあたりに帯状に漂う靄を、窓から見えて知っていた。
幻想的で美しいのだが、私のP50では無理と諦めていたのだ。
そうこう思っているうちに、中くらいの人が戻ってきた。
結果は、予想通り。
でも、靄の立ち込める景色を美しいと思ったその気持ちは、とてもいい。

小さい人も中くらいの人も、一生、この何気ない身の回りの美しさを感じる気持ちを失わないで欲しいものだ。
いたるところに散らばって無造作に輝きを放つ美を、感知できる心の繊細さと余裕を持ち続けることが出来れば、世界は豊かになっていくのではないかと希望を抱き夢見ている。
さまざまなものの価値を正当に見出し、人間本位ではない新たな未来が開ける萌芽は、こんなところにあるのではないだろうか。



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