rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

優しい春はどこへ行った

2013-03-18 22:24:08 | 随想たち
今日も、春の嵐が吹き荒れた。
全国的に強い風と激しい雨が、各地に被害をもたらしている。
自分の住むあたりでは、恒例の土埃嵐が、大気を茶色に染めていた。

今年は、気性の荒い春がやってきた。
急に気温が上がり、初夏を思わせるほどになったかと思えば、その日のうちに気温は急降下して冬に逆戻り。
風が吹けば、土や砂を巻き上げ、木をなぎ倒し、交通機関をマヒさせる。

先日の13日は、まさに夏のように暑く風が吹き荒れ、鉄道などの交通機関をストップさせた。
その夜からは、暖房を必要とするほどに寒くなり、昼間の埃を洗い流すような強い雨が降る。
次の日は、手袋をはめたくなるほど冷たい朝。
久しぶりに訪れた上野公園の桜の蕾は、大きくなってきているものの、この寒さでまだしっかりと閉じて身を守っている。
一方、皇居前の白梅と桃の花は満開だった。
次第に雲が切れてきて、昼過ぎには雲間から青空がのぞき始め、午後3時ごろにはコートの前を開けたくなるまで暖かくなった。
翌日はまた気温がぐんと上がり、桜の花は一気に開く。
東京よりも気温の低いこのあたりでは、まだ桜は開花しないが、庭にある辛夷の花も見る間に開き、2月の厳しい寒さで開花が遅れた梅とあいまって、どこもかしこも花盛り。

春は、一年のうちで強い風の日が多いといっても、屋根や車が風で飛ばされたり、離れた地域で巻き上げられた土埃などが風で流され都市部で視界が利かなくなるほどの煙霧を起こさせるなど、桁違い、異常な春の嵐の連続に、非力な人間は翻弄されている。
こうも春が凶暴化してしまったのは、人間の経済活動による温暖化のせいなのか、はたまた地球の変化の激動期に当たっただけなのか。

何度もぼやいていることだが、花粉アレルギーのおかげで春が憂鬱な季節になってしまったものにとって、凶暴な春は追い討ちをかけてくる。
かつての、さまざまな花が咲き乱れ、鳥たちがこぞって歌を披露し、思わず足取りが軽くなる優しい春は、もうやってこないのだろうか。

今は、雨戸に雨がたたきつける音がしている。
明日の庭には、引きちぎられ飛ばされた木の枝や葉、どこかのゴミが一面に散らばっているのだろう。
電線には、の農業用ビニールシートがハリー・ポッターのディメンターのように、絡まりたなびいているはずだ。

優しい春よ、もう訪れてはくれないのか教えておくれ。