rock_et_nothing

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しっかりとした伝統を破壊しながら進む街、ロンドン

2012-11-10 23:39:06 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」イギリスはロンドン。
歴史が層を成す世界的に有名で今もダイナミズムに生きる街。
今年2012年は、二回目のロンドンオリンピックが開催された。
その記念なのだろうか、ビッグ・ベンが、エリザベス・タワーに改名されている。
また、ザ・シャードというロンドンで一番高い高層ビル310メートルも建ったのも、オリンピック記念関連なのだろうか。

ロンドンは、ファッションの街でもある。
トラディショナルとパンクが混ざり合った、独特なセンス。
「ビヨンド・レトロ」は、ロンドン最大のビンテージショップ。
タータンチェックはもちろんのこと、白黒のドッグトゥースやグレンチェックなどのイギリス伝統模様のファッションが取り揃えてある。
「ドリー・デア」は、10年位前にできたブランドで、この最近流行のペイズリー柄中心のカラフルな服のラインナップだ。
ミラノでもパリでもニューヨークでもない、独特なロンドンファッションは、伝統を踏まえた上で破壊する、いや、伝統があるからこその破壊を楽しんでいるように思われるのだ。

ロンドングルメ。
「べーグル・ベイク」は、24時間営業のもちもち食感のべーグルが売りの店。
ホット・ソルト・ビーフ・ベーグルは、こぼれんばかりに挿まれた牛の薄切り肉に塩味が効いていて、店一番の人気メニュー。
「トミーズ パイ&マッシュ」の甘く味付けした牛ミンチをパイ生地で挿みこんがりと焼いたミートパイに、マッシュポテトのクリーミーなパセリソースをかけて添えたものは、名だたる有名人たちもお気に入りの一品。
最近の流行は、グルメ屋台なのだとか。
レストランに劣らないものを食べられる手軽さが受けているという。
「ストリート・キッチン」は、ロンドンの人気レストランが出店し、大盛況だ。

イギリスのスイーツは、とびきり甘い。
「メイフラワー」という16世紀からあるパブが由来の店のスティッキー・トフィー・プッディングは、黒砂糖をたっぷりしみ込ませたスポンジにキャラメルソースをかけた、濃縮された砂糖の甘さがダイレクトに伝わるお菓子。
「プリム・ローズ・ベーカリー」は、人気のカップケーキの店。
食べるのが惜しいくらいにカラフルにデコレーションされたプチ・カップケーキは、紅茶と共に召し上がれ。

ロンドンから車で2時間のところにある、ソールズベリー。
13世紀に建てられたソールズベリー大聖堂は、ヨーロッパ一の長さを誇る回廊がある。
ステンドグラスも鮮やかに、教会内中央に据えられた甕に聖水が満たされ、教会の内部を映し出している。
そして、ソールズベリーには、あのストーン・ヘンジもあるのだ。
紀元前2000年、宗教的意味合いなのか、今なおその存在意味が分からないこの巨石群は、なだらかな丘に寡黙に佇んでいる。
昼ならば、白い月が浮かんでいるときに、夜ならば、煌々とした月明かりがあたりを白く照らしているときに、訪れて見たいと思う。
「グローベリー・ライディング・センター」は、イギリス式乗馬を楽しめるところ。
イギリス式乗馬とは、ゆったりと構え、優雅に馬に乗ることらしい。

イギリスといったら、パブ文化。
その昔、税金の不払いの人が入った牢屋が地下にある建物、今はパブとして使われている。
その地下の入り口には看板がかかっており、「お金のあまりない方は、地下へどうぞ」と書いてある。
ジョーク好きな伝統は、こんなところにも健在だ。

古くから栄え、政治経済文化の中心地であり続けた重い歴史と伝統は、ロンドンの骨格を形作っている。
それを安心して壊しながら先に進むのが、ロンドン気質なのではないだろうかと思っている。
硬い鉄拳で伝統を打ち削りながら、新しいものを創造していくのだ。
そうだ、イギリス人は冒険もお家芸。
しかし、冒険は行きっぱなしでは成しえない。
ホーム、戻って受け止めてくれるところがあるから前に進める。
歴史伝統という、安心のゆりかごが彼らにはあるのだ。
硬い地面があるから、強く蹴ってジャンプできるのだ。
同じく島国で歴史と伝統のあるわが国日本は、破壊と創造の行為はイギリスに及ばない。
確固たる自信のなさの現われか。
見習うことが好きな日本は、このあたりよく考えてみるといいように思ったのであった。