rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

不死鳥ドレスデン

2014-12-20 23:02:46 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」冷戦時代の旧東ドイツの都市ドレスデンは、ザクセン州の州都でエルベ川の谷間に位置する。
町並みはバロック様式の建物が多く、街のシンボル「君主の行列」という壁画は、25,000枚のマイセン製タイルで作られている。
この時期、街には580年前からクリスマスマーケット「シュトリーツェルマルクト」が開かれ、高さ14mのクリスマスピラミッドが目印だ。
このマーケット内にある「ドレスドナー・クリストシュトレン」では、クリスマスにドイツで食べられる名物菓子シュトレンを無料で味見ができる。
このシュトレンは、ドレスデンで生まれたドライフルーツがたっぷりとはいった固く日持ちのするケーキ。
クリスマス前になると腕利きの菓子職人が集まって、腕によりをかけて総重量4トンにもなる巨大シュトレンを作り街を練り歩く祭り「シュトレンフェスト」があり、市民や観光客にシュトレンを振舞う。
ドレスデン城の中庭では、中世の町や服を再現した中世のクリスマスマーケットが開かれる。
中世では公衆浴場がマーケット内にあったことから、それも再現されている。
90分1500円ほど、ホットワインを飲みながら大きなたるの浴槽に数人で入浴するのだ。
「シラーガルテン」は人気のレストランで味わえる郷土料理”ザクセン風ザウワーブラーテン”は、牛肉を酢に浸け込んでから強火で焼きまた酢に浸けて作るいわば保存食で、肉が柔らかくなって食べやすいことから近年人気が高い。
「プフンズ・モルケライ」は、1890年から続く世界一美しい乳製品の店として有名。
店内全面が、この店の由来である酪農をモチーフとしたタイル絵で飾られている。
バターを作るとき生成されるバターミルクは、カルシウムやミネラルが豊富で、この地方では家庭で多く飲まれる。

ドレスデンから車で1時間のところにあるザイフェンは、おもちゃの街ならでは、人口3000人のほとんどがおもちゃに携わるこの町に、おもちゃ工房は100軒がある。
ギフトショップ「シュピールツォイク・シャハテル」は、良質の木製の飾り物クリスマスピラミッドを扱っており、一生ものに相応しい品質だ。
「フォルカー・フュヒトナー工房」は、元祖くるみ割り人形を作り出した工房で、1870年優雅に胡桃を割りたいという貴族の要望に応えたのが始まり。
「クリスティアン・ヴェルナー工房」のクリスティアン・ヴェルナーさんは、輪切りにした機をろくろに設置し、回転させながらのみで削りそれを切っていくと動物の形が出来上がる、200年前に考案された技術の数少ない継承者。

クリスマスの一ヶ月前からのカウントダウン期間をアドベントといい、クリスマスの飾り付けを家族で行い毎日一つずつランプを灯したりする。
アドベントカレンダーに一日一個ずつのプレゼントを入れておき、毎日子供たちがプレゼントをもらえる楽しみだ。
大晦日には、鉛を溶かして水にたらし固め、その形で来年の運勢を占う。
ライオンは友達が増え、魚は賭け事に勝つ、剣は成功するなど。

ドレスデンは、第二次世界大戦の末期、連合軍によって無差別爆撃によって街が塵芥に帰した。
その後、爆撃前の資料を基に、市民の情熱により元の姿を取り戻す。
今日のドレスデンを見る限りでは、そのような壮絶な過去があったと思えないだろう。
ひとえに街に対する人々の誇りが、ドレスデンを不死鳥のようによみがえらせたといえよう。
街・文化、それらに誇りを持てるということ、そして他の街に住み違う文化を持った人々を認めるということが今こそ必要なのだと思うのだった。






豊かな自然に囲まれたオークランド

2014-11-29 23:08:36 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」ニュージーランドの北島北部にあるオークランドは、海と山を備え持つ自然豊かな大都市だ。
市内からそう遠くないマタマタという街は、羊の放牧場が主であったが、映画「ロード・オブ・ザ・リング」のホビット村の撮影が行われたことで有名になった。
そのセットは今も保存され、ホビトン・ムービー・セット・ツアーが開かれて、世界中から観光客が訪れる街となる。
フロド・バギンスの家の上にそびえる木は鉄とシリコンで作られたもので、代わることのない姿を保っている。
ホビットたちの社交の場”緑竜館”もそのままに、映画の登場人物に扮するコスチュームを借りてなりきることもでき、またノンアルコールのジンジャー・ビールでのどを潤すものよいだろう。
オークランドの港からボートで40分のところにある島ワイヘキは、ワイナリーが20箇所もあるワインの島だ。
5種類のワインをテイスティングできる「マッドブリック・ワイナリー」や、ブドウ畑の上に張られたワイヤーを滑空するエコジップ・アドベンチャーなど、楽しみも盛りだくさんだ。
オークランドから車で3時間のワイトモには、人一人がやっと通れるほどの入り口がある洞窟の中にスウェットスーツに身を包みヘルメットをかぶって浮き輪とライトを持ったなら”ブラック・ウォーター・ラフティング”冒険の始まりだ。
洞窟の中に流れる水に乗って鍾乳洞を眺めたり、3mの落差のある滝に飛び込んだりスリルと神秘を両方体験するのだ。
カウリという大きな木のあるハイキングコースに入るときは、種の保全のために靴底を消毒しなければならない。
日本でも小笠原諸島では、島の固有種を守るために同じようなことをしているとテレビで見たことがあるが、本来ならばさらされることのない病害虫を持ち込む可能性の高い人間が足を踏み入れるときのマナーだと思う。

ニュージーランドも、隔絶された環境の中で独自の進化を遂げてきた動植物の宝庫。
かつてこの地にもたらされた人災によって絶滅した動植物の生き残りが、これ以上の脅威にさらされないよう努力を惜しんではならない。
人は新たな生命を作ることはできないけれど、滅ぼすことは容易いからだ。
自然の恵みを、命のおこぼれをいただいてしか、生き物は生きられないのだから。

それにしても、家族で「ロード・オブ・ザ・リング」の大ファンだからして、ホビット村にはぜひとも訪れてみたいものだ。



バルセロナ

2014-11-24 22:53:07 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」スペインのカタルーニャ地方バルセロナ、カタロニア人の気骨が生きる芸術の街。
着工して130年、いまだ完成を見ない独創的な建築家アントニオ・ガウディ設計のサグラダ・ファミリアは、近年の建築技術向上によりスピードアップして2026年完成予定とのこと。
最近のアート・スポット「キスの壁」は、バルセロナ市民から寄せられたキスの写真を使ったモザイク壁画だ。

美食の街とも言われる街にふさわしい、バルセロナの胃袋を支える市場サン・ジョセップ市場は、ぜひとも訪れてみたい場所だ。
バルセロネータ海岸にあるシーフードレストラン「ブラジャ・カ・ラ・ヌリ」は、そのものズバリ魚介のうまみが効いているシーフード・パエリャ”パエーリャ・カラ・ヌ・リ”を海を見ながら味わえる。
「ラス・トゥルイータス」は、スペイン風オムレツのトルティーヤをさまざまにアレンジしたものが食べられる。
基本は、薄切りのジャガイモが具のトルティーヤだが、3種類の魚卵を使った三色のトルティーヤ、生ハムとトマトを練りこんだ焼いたパンを具にしたものなど、創作トルティーヤを提供する。

アートなファッションにも影響し、個性的なショップが多い。
「ナイス・シング」は、バルセロナ発のレディースブランドで、ナチュラルな色合いとシンプルなデザインが特徴。
「ロジートアスィ」は、手作りバッグの店。
オーナー兼デザイナーの女性が作る1点物のアーティスティックなバッグだ。

カタルーニャ地方で200年以上前から行われている「人間の塔カスティエ」は、ユネスコの無形文化財に指定されている。
9月24日に行われるメルセ祭に向けて、さまざまな地方から参加する。
装備は腰に巻いた黒い布だけで、これに足をかけよじ登って塔を作り上げる。
いろいろな年齢の人が集まり協力して作り上げる塔には、地域の結束を高める役割があった。

バルセロナからマドリッドへ向かって電車で1時間40分のところにあるサラゴサでは、毎年10月12日に守護聖母を祭る「ピラール祭」がある。
この祭りには、サラゴサの民族衣装を身につければ誰でも参加資格が得られ、聖母に献花できる。
人気バルの「エル・チャンピ・サラゴサ」は、マッシュルームを焼いて塩とニンニク、オリーブオイルで味をつけバゲットにのせた”マッシュルームのチョンピ”だけが唯一のメニュー。
シンプルだけれど絶品のチョンピは、ビールとの相性抜群。
「デー・クエロ」は、手作りの革靴専門店。
オリジナルデザインのほかに、40色のカラーと型を組み合わせてオーダーメイドの靴を2週間くらいで作ってくれる。

バルセロナは昔から独立を目指している。
先ごろ独立の是非を問う住民投票をしたとかどうとか。
たしかにカタルーニャ地方にはカタルーニャ語もあって、市中の標識にはスペイン語と併記されている。
強い誇りと自負があるのだろう。
最近よく思うのだが、人は多く群れると次第にさまざまな問題を抱える。
一時は大きな国となるもよかろう、しかし次第に内部は腐敗し劣化していく。
内戦となる前に分裂し、それで立ち行かなくなったならば合併するの繰り返しは自然の摂理ともいえるのではないか。
世界をひとつにしようとする流れにあるのならば、あえて小国主義となって細胞壁を作るのが大きな崩壊を食い止める術なのだろうと考えている。
カタルーニャは、それの先鋒となれるのか注目したいところだ。


ルクセンブルク

2014-11-15 23:20:02 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」ドイツ、フランス、ベルギーに囲まれたルクセンブルク大公国。
その立地の影響もあるのだろうか、グルメの国でもあるルクセンブルク。
「 アン・ティールムシェン」は、国民食ともいえる”ジュッド・マット・ガーデボウネン”が味わえる。
さっと茹でて塩抜きをしたハムに、ソラマメのソースをかけたやさしい味なのだという。
「オーバーワイズ」は、小さなスウィーツ店がテイクアウトができる総合フードショップとして人気を集めている。
人気メニューは、アドカドとエビをおしゃれに盛り付けた”デミ・アボカド・シュリンプ”、そして”パテ・オ・リースリング”はさくさくとしたパイ生地の中に白ワインで臭みを抜いた豚肉と牛肉のパテを包み込んだ料理。
ちなみにルクセンブルクは、おいしい白ワインの産地でもある。
首都のルクセンブルクから車で1時間のところにあるシェンゲンは、モーゼル川沿いの街。
ここは2000年前以上ローマ帝国時代からワインを生産し、特に白ワインが有名でほぼ国内で消費されてしまうらしい。
「セント・マーティン」は、観光客が訪れられるワイナリーだ。
モーゼル川のクルーズでは、緑豊かな田園風景とワイン畑を楽しめる。
「モンドロフ・ドメイン・サーマル」は、特産のブドウを使ったピーリングと温泉を売りにしている。
なお、デトックスとアンチエイジングに美白効果があるといわれるブドウの種をすりつぶし抽出したオイルにオリーブオイルなど2種類のオイルを混ぜたものをピーリングに使うそうだ。
スウィーツも負けてはいられない。
「チョコレート・ハウス」は、甘いものが大好きなオーナーの女性が考案した定番チョコレートが人気だ。
”ホットチョコ・スプーンチョイス”、スティックの刺さったチョコレートをホットミルクにつけてやわらかくしたものを食べ、またはチョコレートをミルクに溶かしきってチョコレートドリンクで味わうなどアレンジするのだ。
そのフレーバーは50種類もあり、大方の人は1度に2つのチョコレートを頼んで2通りの食べ方をするのだという。
「ブティック レア・リンスター デリカテッセン」は、カリスマシェフ レア・リンスター監修の店。
彼女の作るマドレーヌとシャンパンの相性は絶妙らしい。
1748年創業の「ビレロイ&ボッホ」は、老舗の食器メーカー。
真っ白な陶器に青い花をあしらったものが定番で、ルクセンブルクの家庭には必ずといっていいほど普及している。
街の郊外にあるアウトレットショップでは、30%~50%安く入手できるのでおすすめだ。

かつて日帰りで訪れたことのあるルクセンブルクは、緑も多く手入れの行き届いた小ぢんまりとした印象がある。
現在の駅周辺の新市街と大公の屋敷がある土地の間にある渓谷に作られた旧市街の対比が面白かった。
あまりない風景ではないか。
それでも、すべてどこまでも気配りされていて、派手さはないけれど豊かな暮らしぶりが窺えた。
ルクセンブルクの多くの家庭には、カッコーの形をした笛があるという。
春を告げる鳥のカッコーの笛を吹くことで、イースターのとき晴れてくれるようまじないをしていたのがはじまり、今では晴れて欲しいときに吹くようになった。
どこかほのぼのとしていいように思える。
けれども多くの国に囲まれた小さな国のありようは、けっして平坦ではなく多くの困難を伴うだろう。
今の平和が少しでも長く続くよう、遠い東国から願っている。
ならばカッコーならぬハト笛を吹けばよいのか。




白と青の世界、トルコのボルドム

2014-11-09 22:37:02 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」トルコのボルドムは、エーゲ海に臨む古代ハリカルナッソスで、温暖な気候により11月まで海を楽しめるトルコ随一のリゾート地。
街の建物は、景観を保つために条例により白一色で統一されて、海と空の青との対比が美しい。
海岸に程近いミンドス島へは、歩いて渡れる石の歩道がある。
これは古代2500年以上前に造られたもので、島には教会の遺跡があり、夕日の美しい絶景スポットになっている。
この島の名を冠したレストラン「ミンドス・レストラン」は、エーゲ海で獲れた魚を提供する。
ラオスというハタの仲間をトマト・ジャガイモ・ハーブで45分煮込み、ミルクを入れて作る”ラオスのトマトソース蒸し”は、白身魚と野菜のやさしい味わいのスープ。
「クスメット・ロカンタス」では、温暖なこの地でよく育つハーブを使った料理が食べられる。
”カバック・チチェイ・ドルマス”は、ズッキーニの花にトマト・ミント・米を混ぜたものを詰め45分間煮込んだもので、ズッキーニの花のほのかな香りが特徴。
”カバック・チチェイ・クザルトマス”は、それにカッテージチーズをまぶしてこんがり油で揚げたもの。
ちなみに、ドルマスとは、詰めるの意味だそうだ。
「ロクマジュ・アナ」は、”ロクマ”という丸いドーナツのようなものにたっぷりのシロップを絡め、シナモンとオレンジの粉末で風味を加えたもの。
「アルカダシュ・サンダリイェット」は、ローマ帝国とトルコ風を現代風にアレンジしたハンドメイドの革サンダルの店。
「ル・カバック」は、ひょうたんランプの店。
昔は器として利用されていたひょうたんを、ビーズなどをはめ込みランプに仕立てたものだ。
ボルドム近郊のエーゲ海では、良質の海綿が獲れる。
「デニズ・ユルドゥズ」は、この海綿を売る店。
アミノ酸でできている海綿は、肌に優しく抗菌作用もありスポンジとして古代より重宝されている。
ボルドムの港よりクルーズ船で40分のところに、カラ島がある。
ここには、肌によいといわれるカラアダ・テルマル・スという天然温泉があり、その泉質は30度の無色透明だ。
また、人一人がやっと通れる洞窟温泉もあって、奥にある泥には美肌効果がある。
1日400人もの人が訪れるここは、クレオパトラも何度か通ったといわれる言い伝えがあるところ。

古代から文明が発達してきたトルコは、西洋と東洋の架け橋として文化民族の混在する場所。
景観も変化に富んでいて、とても刺激的だ。
多に追随することなく、独自の文化を守り育てていってもらいたいと思う。