晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ケン・フォレット 『大聖堂 下』

2012-11-04 | 海外作家 ハ
この作品はオムニバスではないので、本来は1回でまとめるべきなの
ですが、あまりに長いので、文庫での上中下の3回に分けて感想を書く
ことにしました。

さて、「中」で建築職人のトムが事故で死んでしまい、修道士見習い
を馘になったジャックは、大陸に渡ることに。
羊毛ビジネスも一からやり直すことになったアリエナは、ジャックの
義兄アルフレッドと望まぬ結婚をすることになります。

しかし、そこにジャックの母エリンが、ふたりの結婚を呪う言葉を
浴びせかけます。
そう、冒頭で無実のフランス人が処刑されることになり、そこに立ち
会った僧侶や騎士、役人たちに呪いの言葉を浴びせた娘こそ、エリン
だったのです。そして、処刑される前にふたりは結ばれて、その時に
身ごもったのがジャックでした。

エリンの呪いの言葉が効いたのか、アルフレッドは一度もアリエナを
抱こうとしません。それが気に入らなくて妻を殴る蹴るの暴行。
それでも、弟リチャードの騎士でいるための費用のため、耐え忍ばな
ければなりません。
そんな中、アリエナは妊娠します。そして、産まれた子は、明らかに
ジャックの特徴を受け継いだ男の子。
アリエナはエリンに相談すると、ジャックの妻なんだから、ジャックを
追いかけなさい、と・・・

一方ジャックはといえば、フランスへ渡り、教会の建築現場に飛び込み
で仕事をもらったりしながら旅を続け、スペインの巡礼地、サンチャゴ・
デ・コンポステラへ向かい、さらにいろいろあってキリスト教に改宗した
サラセン人の富豪の家に住まわせてもらうことに。
そこの娘に気に入られて、主人も2人の仲にまんざらでもなく、話は結婚
まで進みかけたのですが、ジャックはアリエナのことが忘れられず、家を
出ることに。そしてフランスへと旅立ちます。

伯爵令嬢だったころには何回か訪れたフランスですが、今では乳飲み子を
かかえたみすぼらしい格好のアリエナ。教会の建築現場で、イングランド
人でジャックという男を訪ね、偶然にもジャックを覚えている人に出会った
りして、なんとかジャックの住んでいたサラセン人富豪の家まで辿り着いた
のですが、すでにジャックは去ったあと。
しかし、そこの娘が、アリエナの抱えていた赤ちゃんを見て、この女性が
ジャックの想い人だと分かり、ジャックはフランスへ向かったと教えてくれ
ます。

パリのサン・ドニ教会で再開するジャックとアリエナ。作業場近くで家族3人
で暮らしているところに、大司教が教会を訪れることになり、大司教をひと目
見ようと民衆が殺到、あわや暴動の寸前になるところに、ジャックがサラセン人
富豪からもらった木彫りの聖母マリア像が、涙を流したのです。

この「涙の聖母」が話題になり、ジャックは、この像をキングズブリッジ再建
に使えると思います。カンタベリ大司教も、自分の教区に欲しいと思って、「涙
の聖母」はイングランドに戻ることになります。さらに、サン・ドニの建築職人
も、引き連れて行くことに。
行く先々でお布施があり、大金を手にするジャック一行。
そこで、海岸沿いの町で、ジャックを目にした人々が恐れるのです。話を聞けば、
イングランドへ渡った「ホワイトシップ号」という船が沈没して一人も助からず、
その中にジャックと瓜二つの男もいたというのです。
それこそがジャックの父親、無実の罪で処刑された詩人のジャックだったのです。

思わぬところで父親の家族と会ったジャック。さて、どうして父親は処刑させられ
たのか・・・?

カンタベリ大司教や修道士、建築職人たちとともに(しかも大金を持って)キングズ
ブリッジに戻ってきたジャックとアリエナ。
「涙の聖母」像をこの教会の人寄せとして、フランスで最新の技術を学んできた
ジャックは、さっそく大聖堂建築にとりかかります。

この話を聞いて面白くないのがシャーリングを統治するウィリアムと、フィリップを
目の敵にしている司教のバイゴッド。
ふたたびキングズブリッジを襲おうとしますが、ジャックがたったの数日で防護壁を
築き、ウィリアム軍は撤退。
そこで、フィリップのお供をしているジョナサンが、隠し子なんじゃないか、という
根も葉もないことで裁判に出るバイゴッド。
ところが、これがフィリップの旧敵が裁判に関わって・・・

さらに追い打ちをかけるように、妻に去られ現場で事故を起こしてキングズブリッジ
から逃げていたアルフレッドがジャックのもとで働いていたのですが、裏で職人たちを
シャーリングの大聖堂建設のために引き抜き工作を・・・

成長したリチャードは立派な騎士になって、シャーリングを取り戻そうとします。
はじめはゲリラのような作戦で、そのうち城に侵攻しようとしますが、果たして成功
するのか。

そして、フィリップの裁判ですが、ジョナサンの実の父親はトムであったことは彼の
生前の告白で知っていたのですが、すでにトムはいません。ところが、ジョナサンは
捨て子だったのを知っていた人がいたのです。そう、ジャックとエリン。
裁判に出席するジャックはそう訴えますが、聞く耳を持たないバイゴッド。
そこにエリンが登場し、バイゴッドが過去に偽証罪を犯した、というのです・・・

読み終わったときには感動で打ち震えるくらいで、これぞ「物語」です。

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