ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

ある一生

2019-10-18 17:36:43 | 日記
ローベルト・ゼーターラー『ある一生』





 冠雪した山と、山小屋、緩い斜面を杖を手にして歩く老齢の男性。

 表紙のイラストからは、雪山の楽しさではなく、厳しさがかすかに感じられる。

 帯に「アルプスの山」とあるのを見て、ハイジのおじいさんが一瞬浮かんだ。

 アニメの印象を引きずったまま読み始めてすぐに、これはまったく違うのだと知る。短絡的な発想を恥じる。


 アンドレアス・エッガーは、ひたすら耐える。

 読む者に同情させず、黙々と苦難を乗り越える。

 ひどい人生だったのか。

 それとも満ち足りた人生だったのか。

 その判断は、傍らで見ている人間にはできないことなのだ。

 ただ生きるために生きる。

 そんな人生を前にしたら、どんな言葉も、力なく消えてしまう。


 イラストは野田あい氏。(2019)




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