ロビンソン本を読む

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犬の心臓・運命の卵

2019-12-01 13:15:34 | 日記
 ミハイル・ブルガーコフ『犬の心臓・運命の卵』




 白衣を着た男性と、彼を睨む犬。

 犬の首から下は普通の人間で、二人羽織のような違和感がある。

 そんな二人が描かれたカバーのイラストは、とてもお洒落。

 スマートな小説を想像するのだが。


 『犬の心臓』は、野良犬のモノローグから始まる。

 空腹な犬は、いじめられて怪我をし、死を覚悟している。

 1920年代のソ連。

 その犬の目を通して、いかに人々の食が貧しいのか、生活が苦しいのかが示される。

 そこへ、裕福な身なりの、ソーセージを持った男が通りかかり、犬は必死に這って近づく。

 こうして、医者と犬は出会う。


 犬が思うことを、まるで漫画の吹き出しのようにはさみながら進行していく物語は、馬鹿馬鹿しくも滑稽な味わい醸し出す。

 体制を小馬鹿にしたような箇所もあって、当時の状況を考えると、おかしいけれど、これ大丈夫? と思ったりする。

 手術を施された犬が、徐々に変わっていく様子は、グロテスクでもあるが、どこか物哀しい。

 ドタバタの喜劇なのに、ちょっとホロリとさせられるときの、気持ちの揺さぶられ方にも似ている。

  
 装画は坂本奈緒氏。(2019)

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