ロビンソン本を読む

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地球の中心までトンネルを掘る

2019-12-12 23:04:05 | 日記
ケヴィン・ウィルソン『地球の中心までトンネルを掘る』



 10代の終わり、いろいろな意味で不自由だった高校生活を終えると、規則や制約の支えがなくなって、気持ちのバランスが取れない時期があった。

 目的を失い、何をしていても惰性で、ただ毎日を送っていた。

 後から考えると、意味もわからず穴を掘っていたようなものだ。


 表題作の「地球の中心までトンネルを掘る」は、大学を卒業したばかりの青年たちが、穴を掘り続ける物語。

 彼らは、実社会で生きていくための心の準備ができていなかった。

 両親は、そんな息子と友人たちを温かく見守る。

 何をしたいのかさっぱりわからない、でも幸せになってほしいと願っている。

 穴を掘るだけの彼らに、黙って差し入れをしてくれる。

 しかし、経済的なことから、それがだんだん難しくなっていく。

 穴を掘る生活に、終わりが近づいてきていた。


 ほんとうのような嘘が並ぶ短編集。

 現実にありそうだけれど、ちょっと違う世界。

 そこには自分のような人がいる。


 表紙の絵、穴を照らすライトの灯りが、ほんのり気持ちを暖かくしてくれる。

 奇妙な物語ばかりだけれど、根は優しい。


 装画は塩田雅紀氏、装丁は中村聡氏。(2015)




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