2020/3/4（水）～その２～

ある朝の、寝起きの話。

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2020/3/4（水）曇り 時々 雨

自粛、自粛で、何をするにも後ろめたい世の中。

普段は和やかに接している人たちも、自分優先でいがみ合うようなことも。

こうやって戦争は始まっていくんだ。ラジオで誰かが言ってた。

「戦争は、ある日『はい開戦！！』と言って突然始まるのではなく、
　日常の中から、じわりじわりと侵食してきて、いつの間にか始まっている」と。

こんな中でも、負けずに自分の活動を続ける人もいるけど、

活動を自粛する人が「負け」という事でもなく、

それぞれがそれぞれの決断をしている。苦渋の決断を。

正しさ、間違いの2極化にされた上で、そこが曖昧になるから混乱が生じておかしな行動に走ってしまうのだろうか。

こういう時に、普段と同じ行動をとることが正しいのかどうかもわからない。

あれやこれやを買い込む人を非難も出来ない。

わからない。わからないから、今日もKATO'Sキッチンに行ってしまう。

住宅街の中の、アパートの一室にある隠れ家キッチン。

アパートの外階段を上がってドアを開ける。

「いらっしゃい」

大将の「いらっしゃい」は今日も変わらない。

世間がざわざわしていても、大将の「いらっしゃい」は変わらない。

靴を脱ぎ、キッチンを抜けて居間に入る。

コタツに腰掛けるとすぐに突き出しが出てきた。

・キムチ奴




突き出しからキムチとは、今日はなかなかにパンチが効いてるなぁ。

でも間違いなくお酒には合う。いつも通り発泡酒を注文する。

おススメボードに書かれたメニューを眺める。

「大将、この『鶏皮と長ネギと大根のサラダ』をお願いします」

「はいよ」



さっぱりの中にも鶏皮のこってりもあり、でも湯がいてあるので余分な脂は落ちていて、とても美味しい。

続いて、

「あれ、『白子ポン酢』なんてあるんですか？」
「ええ、今日は、たまたま、ね」
「じゃ、じゃあ、お願いします！」
「はいよ」



KATO'Sキッチンで白子ポン酢が食べれるなんてありがたい。しっかりもみじおろしも添えてある。

美味しい。文句なく美味しい。発泡酒からレモンサワーに切り替えて、

白子の濃厚さを、レモンサワーで流し込む。

そしてメインは

「大将、『餃子』お願いします」
「はいよ」



今日の餃子は「焼き」じゃなく「蒸し」だった。

KATO'Sキッチンの餃子はその日の気分で「焼き」「水」「蒸し」でいろいろ変わる。

「今日の餃子はなんですか？」などと質問はしない。出てきたものをいただくのだ。

餃子は餃子。どれも大好きだ。気づけばレモンサワーもお代わりしていた。

今日も大満足なKATO'Sキッチン。

「ごちそうさまでした」
「また、お待ちしてます」

今日も大将は何も変わらなかった。いつも通り無口で、料理もお酒も美味しかった。

それが嬉しかった。変わることが悪いわけじゃないけど、だけど、、

まぁ、、また来よう。