若者のはしか=麻疹(ましん)=流行を防ぐため、08年度から5年間限定で実施されている中学1年と高校3年への定期予防接種について、保護者らから「高2でも受けられるようにしてほしい」との声が出ている。大半の高校は修学旅行が2年時で、行き先が海外だと半ば強制的に実費での接種を求められるからだ。厚生労働省は「前向きに検討する」としているが、法令の改正など課題も多く、実現のめどは立っていない。【清水健二】
「十分な免疫があるか、既に2回予防接種をしていることが証明できないと(今年6月の韓国への)修学旅行に参加できなくなる恐れがあります」。岡山市の主婦(42)は1月、高1の長男が通う県立校から通知を受け取った。2月に有料の抗体検査があり、免疫が十分でなかったら、約1万円を払い予防接種を受けなければならない。中2の次男は昨年、無料で接種ができた。「高3の分を1年前倒ししてくれると助かるのに」とこぼす。
はしかは2回の予防接種で感染の心配がなくなるとされるが、05年度まで1歳~7歳半の間で1回とされていた。07年に10~20代で大流行したため、厚労省は5年以内に18歳未満全員の免疫が付くよう予防接種法施行令を改正し、中1と高3を定期接種の対象年齢に追加した。定期接種は各市町村が原則無料で実施している。
対象を2学年に限ったのは、ワクチンの需要を安定的にするためだったが、初年度接種率は中1が85%、高3が77%どまり。「はしか輸出国」と批判される日本では海外渡航前の予防接種が強く奨励されていることもあり、昨年の国の対策会議では、自治体担当者らが修学旅行を控える高2への定期接種拡大を求めた。独自策を取る自治体もあり、静岡市は今年度から行事予定などを理由に学校が申請すれば、対象以外の学年でも無料接種できる仕組みを導入。松山市は12年度末、高松市は今年3月末まで中2~高2の任意接種を無料化している。
一方、国レベルでは足立信也政務官が今国会で対象年齢の弾力化に理解を示したものの、具体化はしていない。厚労省結核感染症課は「どうすれば接種率が上がるか論点整理し専門家と議論したい」としている。
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