風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

江ノ島奥の洞窟へ index

2016-09-13 | 神奈川
[2016.3.20]


◆ 江の島-1
 アメリカに住む友人が4か月ぶりに帰国。
 前回同様、江ノ島でおちあいます。
 あの時たどり着けなかった、島の奥の洞窟を目指しました。
  ○ prologue ○ ビストロ待ち合わせ ○ トランプか友か
  ○ 江の島の海 ○ 猫と魚 ○ 弁天様としゃもじ
  ○ 江島神社三社参拝 ○ 海の幸を求めて ○ 江の島の奥のほう
  ○ 猿だらけの石碑 ○ 亀と猫 ○ ソーダとコーラ ○ イカ焼きショー 



◆ 江の島-2
 11月には入れなかった洞窟の中へ。思ったよりも奥が深く、入り組んだ迷路のよう。
 吹いてくる冷風に富士山への道、真っ暗な地底にトム・ソーヤーの悪役を思い出します。
 冒険後には、川沿いのカフェでお茶。ホッとして帰りました。
  ○ 洞窟に到着 ○ 岩屋の中へ ○ 江島神社発祥の地
  ○ 岩屋雷太鼓 ○ インジャン・ジョー ○ 地形チェック
  ○ リバーサイドカフェ ○ アメリカの地ビール ○ onigilly vs 権兵衛
  ○ 急行のダブル ○ 江の島グッバイ




江ノ島奥の洞窟へ-2

2016-09-13 | 神奈川
その1からの続きです。

○ 洞窟に到着

江の島にある3つの江島神社を巡り、さらに先へと進んで行くと、視界が開けて海に出ました。
海の向こうには富士山が・・・と期待していましたが、この日は雲が多くてまったく見えません。
あら~。前回11月に来た時には、きれいに見えたんですが。
その時は、美しい富士山の夕焼けに時間を忘れて写真を撮りまくり、洞窟が見られなかったのでした。



いよいよ、島の一番奥にある洞窟、江の島岩屋にたどり着きました。
なんと、入り口前に長~い行列ができています。
江の島の一番奥にある僻地なのに、これほど混んでいることにビックリ。



驚きながら、最後尾に並びました。
右側は大海原。ザバーン、ザバーンと波が押し寄せる、ワイルドな地形です。
ダイレクトに吹いてくる海風が、ダウンジャケットを着た身体を通り抜けていきます。



○ 岩屋の中へ

じっとしていたら凍えそうでしたが、列はサクサクと進み、さほど待たずに中に入れました。
初めての江の島洞窟。大船にある洞窟のように、身をかがめながら中に入るものと思ったら、中はずいぶん大きく、地下都市のようでした。
普段は入る際にろうそくを渡されるそうですが、この日は混んでいるため、ろうそくの配布はないとのこと。残念ー。
洞窟の中もやっぱり混んでいて、ところどころに行列ができており、そのたびに並びました。



洞窟内の水はとてもきれいで透き通っており、岩手の龍泉洞を思い出します。
青いイルミネーションがピカピカ光っている場所がありました。
「ここだけピカピカして、なんだろう?」と説明版を読むと、それは単なる電飾ではなく、夜光虫を再現しているとのことでした。
かつて江の島の岩屋内には夜光虫が生息し、洞窟内を青く照らしていたそうです。



「そういえば、夜光虫って英語でなんて言うの?」
「noctiluca」
すぐにちゃんと教えてくれました。アメリカでも普段の生活には必要なさそうな言葉なのに、知っているなんてすごいわ~。



天井が高く広々としていますが、ところどころに身をかがめないと通れないほど狭い箇所もありました。
閉所恐怖症の人は、ちょっと覚悟がいるかも。
私はそういうところこそワクワクしますが、薄ら灯りに浮かび上がる石仏は、照明の加減が正直こわかったです!



こっちを見てなにか語り出しそう。ヒエエ~!

○ 江島神社発祥の地

洞窟内にあったこの石洞が、江島神社の始まりと言われる場所。
元々は、これほど奥まった洞窟の中に祀られており、そこを訪れることができたのは限られた修行僧のみでした。

地表では、大勢の参拝者が江島神社3社巡りをしていますが、こここそが訪れるべきパワースポットじゃないでしょうか。
中華風の小さな狛犬が、にらみをきかせていました。



完全に岩に囲まれた世界。外の様子はわかりません。
空海が悟りを開いた室戸岬の「御厨人窟(みくろど)」を思い出しました。
空海も、ここで修行したことがあるそうです。



この洞窟は地底を果てしなく続き、富士山まで続いていると言われています。
穴の奥から吹いてくる冷気を帯びた風は、富士山からのものでしょうか。
前に、富士山の風穴に行った時に「この先は江の島まで続いているかも」と言われたことを思い出しました。
ロマンですね~。
それならばと、風穴を歩いて神奈川の自宅に帰ろうとして、親に止められた小学生の私がいましたよ。



最初に訪れたのは、第一カーヴ。いったん外に出て、今度は第二カーヴに入りました。
そんなに広かったなんて。洞窟の長さは、外からではわからないものです。

○ 岩屋雷太鼓

ここでも、薄暗がりの中で行列ができていました。
先に何があるのかわからないまま、並んでみました。
太鼓の音が聞こえてきます。
なんだろうと思ったら、ドラゴンの人形も見えてきました。
ここだけ人工的ですが、みんな順々に、2回太鼓を叩いています。
音に反応した龍の光具合で、願いの成就がわかるのだそう。



よーし、では私も。
でも、うまく叩けなくて、龍は一度しか光りませんでした。
願い叶わずってこと?あれ、願いってなんだっけ?
太鼓を叩くのに夢中で、願をかけるのを忘れていました!だめじゃーん。

○ インジャン・ジョー

洞窟の中をうねうねと歩いているうちに、方向感覚が失われていきます。
今、自分がどこを歩いているのか、もはやさっぱりわかりません。
人々の声も反響して、どこから聞こえてくるのかわかりません。
これが洞窟の怖さ。ここはほぼ一本道だから安心ですが、分かれ道がたくさんあったら、混乱するでしょう。



ふっと、『トム・ソーヤの冒険』に登場するインジャン・ジョーのことを思い出しました。
この人のこと、ご存じの方もおいでかと思います。子供の頃、すごーくこわかったんですよね。
トムが洞窟内で迷った時に、逃亡中の殺人鬼インジャン・ジョーの姿を見て、洞窟に身を隠していると知ります。
その後トムは無事に救出されるも昏睡状態に陥り、その間に危険だとのことで、洞窟は閉鎖されました。
元気になりそのことを知ったトム。慌てて洞窟を開けてもらうも、閉じ込められたジョーは餓死していたというエピソードでした。

うう、こわい。こんな場所で思い出したら、恐怖感倍増なのにー。



それでもじきに、暗い洞窟の中に、遠くから明かりがさしこんできました。
本能的ななにかで、一心にそちらに向かって行ったら、海の音が近づいてきて、波打ち際の外に出られました。



○ 地形チェック

洞窟の外が海というのは、本当に野趣たっぷり。
岩に打ち付ける大きな波の音と、たちこめる潮の香り。
波打ち際にそびえたつ断崖とその木々を揺らす風。
自然の厳しさ、ダイナミックさを存分に味わえます。



岩肌の状態や、海食崖の形状に興味津々のサオリ。
高校の理科で地学を選択した私たちは、地層を見ると今でも反応して食いつきます。
さらに彼女は大学で地理を学んでいるので、私よりも詳しいでしょう。
海岸の地層って、おもしろいんですよね。この辺りは、1500万年以上前に形成された葉山層群大山層です。



洞窟探検を終えたので、ふたたび急な石段を上り下りして、元来た道を戻ります。
段差のある階段が続き、山ガールのサオリに置いていかれ気味の私。まってー、フーフー。

奥津宮まで戻ると、山田流箏曲の開祖、山田検校の像がありました。
検校100年忌に幸田露伴らが建てたとのこと。
山田検校は、ここ江の島に滞在して「江島」を作曲したそうです。



奥津宮は、先程紹介した八方睨みの亀が天井に描かれていますが、ここの手水舎も亀。
柱を支えてるのも亀。よく見ると亀だらけです。
亀といえば竜宮城。弁天様と乙姫様がごっちゃになってきそうです。



どんどん人の多い方へと戻ってきました。
江の島の道は細いので、混むと一気に圧迫感を感じます。
「早々に島を脱出して、橋を越えてからお茶にしよう」

○ リバーサイドカフェ

橋を渡って陸地に戻りましたが、周りのお店もやっぱり混んでいます。
そんな中、入ったのはDIEGO BY THE RIVER。



川沿いで見晴らしがよく、雰囲気もいいカフェです。
(ディエゴと言ったらマラドーナ?)と考えてしまいますが、関係なさそう。



店内に入っても、特にアルゼンチン色はありません。
マフィンとレモンティーにしました。



通されたのは、ここの部分だけ突き出ている、ちょっと変わった場所にあるテーブル。
三方が窓があって、時々外からのぞきこまれました。



○ アメリカの地ビール

LAGUNITASという広告を見て、「これ、うちの地元だわ」と彼女。
「え、何のブランド?」
「ビールなんだ」



ワンちゃんの絵だけ見ると、なんの広告なのか全然わかりません。
見渡せば、店内のあちこちにポスターが貼られています。このカフェは、ラグニタスビール推しのようです。

「アメリカの地ビールといったら、Samuel Adamsくらいしか知らないなあ」と私。
「あれってどの辺り?」
「ボストン。ハーバード卒業生が開発したんじゃなかった?」
それはサオリは知らないことでした。全米が知っているわけではないのね。
私もたまたまアメリカで教えてもらった情報です。



川沿いに突き出たテーブルの窓から、夕焼けを眺めながらおしゃべり。
最近ジャズが好きになって、ニューオリンズに演奏を聴きに行くこともあるという彼女。
ちかぢか渡米する予定の私は、ホットなアメリカ事情をいろいろと教えてもらいました。

Blue Noteの話題から、Motion Blue Yokohamaで八城亜紀がライブを行った話になり、それから熊本つながりで、水前寺清子のチータの名前の由来の話に。
相変わらずとりとめのない会話です。

彼女はグリーンカード所持者ですが、パスポートは日本のもの。
でもESTAの申請は必要ないのだそう。うーん、やはりグリーンカードがあると違うのね。

○ onigilly vs 権兵衛

彼女の暮らすサンフランシスコに、最近onigillyというおにぎり専門店ができたそうです。
「一つ3ドル以上」ときいて、ええっと驚く私。
「でもおいしいから買うんだ。3個くらい買うと10ドル超えちゃうけど」

日本食がブームのアメリカ。onigillyもおしゃれな雰囲気で売っているため、みんな高くても買うそうです。
おにぎりはもっと庶民的なのに~。
こじゃれたアルコールとしてマッコリを日本に広めた韓国の売り方と一緒ね。
おむすび権兵衛っていうおにぎり専門店はおいしくて、どれも百円台だよ」と言ったら「うらやましい~」とため息。
逆に「アメリカではおにぎり3つで千円超すのー?」とビックリの私。

「あと、寿司がブリトー化してる」
カリフォルニアロールは有名ですが、ブリトーってたしかメキシコ料理。
お寿司ブリトー、どんなものかちょっと気になるわ~。
「言ってしまえば、切ってない巻き寿司かな」
そういうことですか。名前ほどには別モノになっていないようです。

彼女と一緒にスマホで撮影すると、カシャっと撮影音がするのは私の機種だけ。
「あれ、音しないの?」
「帰国するとみんなに驚かれるけれど、音がするのは日本くらいだよ」
「え~、どうしてかなあ?」
「日本は盗撮が多いって聞くから、その対策じゃない?」
「ええっ!?」
「日本人は変態が多いのね」なんて言われてショック!
変態呼ばわりされたことよりも、日本人のサオリがアメリカ人目線から喋っていることにです。

○ 江の島グッバイ

それぞれ乗る駅が違うため、カフェを出たところでお別れしました。
「サオリ、元気でね。トランプ氏が大統領にならなくても、いつか戻ってきてね~」
「リカがアメリカで仕事すればいいんじゃない?」
いえいえ、コーヒーもコーラもサミュエルアダムスも飲めないから~。



帰り道の橋から眺める、夕暮れ時の江の島。
反対側には、さっきまでいたディエゴカフェが見えます。
電飾の灯っているところです。



夕暮れ時なので、ちょっと感傷的なサヨナラになりましたが、サオリはすぐに渡米するわけではなく、来週末はほかの友人たちと我が家に来る予定なので、悲しい気持ちにならずに「じゃあ来週またね~」と言って別れました。

○ 急行のダブル

帰りは、小田急線から東急線に乗り替えて帰りました。
大回りをして自由が丘まで行ったら、ホームの電光板には急行が並んでいました。
こんなダイヤはかつてなく、見るのは初めてです。



あとで調べてみると、急行が重なるのは1日のうちこの時だけで、数日後に変更となる4月からのダイヤ改正では、もうなくなってしまうとのことでした。
貴重でラッキーだわ。

○ epilogue

4か月前にたどり着けなかった江ノ島岩屋に、今回こそ潜入し、探索するというのが今回のミッション。
今回は無事にミッションクリア、スイートリベンジ完了となりました。
シーズンオフの冬の季節は、観光客が少なくて閑散としていると思いましたが、実際には島が沈みそうなくらい大勢の人(とネコ)がいました。
鎌倉から江ノ電にゴトゴト揺られていくのも旅愁があります。
何回訪れても、冒険旅をしている気分になってワクワクできる、楽しい島。
神奈川っていいわあ。
そんな満ちたりた気持ちになって、帰途につきました。




江ノ島奥の洞窟へ-1

2016-09-12 | 神奈川
○ prologue

アメリカ在住の親友サオリから、帰国の連絡がありました。
あまり帰ってこない彼女ですが、今回は日本での用事があったらしく、去年の11月以来、4か月ぶりの再会になります。
「江の島・快晴・富士山・灯台」
「また江の島に行きたいな」とのリクエストを受けました。



「この前のビストロ、おいしかったから、またあそこでもいい?」
もちろんですよ、お嬢様。
彼女は江ノ電の江ノ島駅、私は小田急線の片瀬江ノ島駅で降りるため、改札ではなくお店で待ち合わせることにしました。

ウキウキしながら電車を降ります。
4か月ぶりの江ノ島。友との再会が楽しみだわ~。
前回の11月に比べて随分温かくなり、海の色も少し変わりましたが、それでもまだ春は先といった感じの冷たい海風。
お店の開店少し前だったため、到着早々、ひとりマンホール撮影会をしました。



○ ビストロ待ち合わせ

待ち合わせのフレンチビストロ、La Brise。
観光地・江の島にありながら、落ち着いた雰囲気で、地元の人も通う味の確かさ。
お気に入りのお店です。



いつも予約を入れますが、今回は予約なしで行ってみました。
すると予約席のテーブルがいくつかあり、開店早々、あっという間に小さな店は満席になりました。
一番乗りしてよかったわ。



前回と同じランチメニューにしました。
でも、スープは前とは違って、今回は緑じゃありません。
「おいしいね~」と2人で大絶賛しました。 



さおりは魚、私は若鶏もも肉のコンフィ。
「ああ、日本は本当に食べ物がおいしくて」と幸せそうな彼女。
「そうでしょう、そうでしょう」と私。



○ トランプか友か

話は、アメリカ大統領選になりました。
「トランプ反対。もし彼に決まったら、私、日本に帰るって向こうのみんなに言ってるの」
そうなんだ。トランプ氏が勝てばサオリが日本に戻ってくる。。。
じ、じゃあ、トランプがんばれ~!
私も彼のことは好きではありませんが、友の帰国がかかっているのなら、悪魔に魂を売り飛ばします(笑)!

○ 江の島の海

食事を終えて、江の島に向かいます。
日が照って暖かい日だと思いましたが、やっぱり海沿いを歩くと肌寒く感じます。
江の島大橋を通っていると、海上をジェットバイクで乗り回している人たちがいました。
ヨットもたくさん出ています。



島に渡るとすごい人の数。島のメインストリートの参道は混んでいて、一列になって進まないといけません。
時折止まりながら、少しずつ歩いて行きます。

○ 猫と魚

岩本楼の前で、さっそく猫を発見。
前に来た時にはほとんど会いませんでしたが、温かくなってきたからでしょうか。



ギャー、なにこれー!?お化けみたいな魚を発見。
大きな口を開けてる~。噛みつくんですって。
身動きとれなさそうなので、もうちょっと大きな水槽に入れてあげたいですね。



○ 弁天様としゃもじ

10代の頃は「歩くと脚が太くなる」と言って、極力歩こうとしなかったアントワネットな彼女。
アメリカで山ガールデビューを果たし、今はバリバリ登山していると聞いた時には、ビックリして固まりました。
石段の前まで来ると、一緒に過ごした高校時代の記憶が強すぎて、つい「歩ける?大丈夫?」と聞いてしまいます。
まだ半信半疑ですが、大丈夫とのことで、石段を歩いて上がります。
エスカーは楽だしすぐに上まで行けますが、この竜宮城のような門を通らないと、弁天様に会いに行く気分が出ないんですよね。



まずは江島神社の辺津宮をお参り。
大きなしゃもじが横に飾られています。
広島の厳島神社も、大しゃもじが有名ですね。
どちらも日本三大弁天のひとつ。なぜ弁天社にしゃもじが奉納されているのか、ご存じでしょうか。



弁天様の弾く琵琶としゃもじの形が似ているからだそうです。
ちなみに、三大弁天のもうひとつは、竹生島(滋賀県)にある竹生島神社です。

○ 江島神社三社参拝

石段を登ってフーフー息切れしながら景色を見渡します。
さわやかな風を感じながら、海を眺めます。



江島神社の中津宮。前回来た時よりも長い行列ができていました。
小高い場所にあり、石段を登って参拝する寺社は、その分御利益もたくさんありそうな気がします。



見下ろすと、先程歩いてきた江の島大橋が見えました。
けっこう上ってきたのね。



○ 海の幸を求めて

前回は、シーキャンドルを満喫しすぎて、洞窟までたどり着けませんでした。
その反省を踏まえて、今回はシーキャンドルには寄らず、横の細道を通って奥へと進みます。
たこせんべいの店の前には、相変わらず長蛇の列ができています。
参道にあるお店よりも空いているはずですが、それでもこの状態。



買いたてのたこせんべいを抱えて持っている人がいました。
こんなに大きいのね!
「ネコでも抱いてるのかと思った」とサオリ。大事そうに持っているので、なおさらそれっぽかったです。



たこせんべいのほかにも、海の幸系のものが売られています。
豪快でカラフルな串刺し。
おいしそ~う。でもまだお腹いっぱいなので、見るだけに。



○ 江の島の奥のほう

シーキャンドルを過ぎると、かなり人の数は減ります。
けっこう奥までやってきました。
海風が下からあおるように吹いてきて、断崖絶壁から海を見下ろします。
入り口のにぎやかなイメージとはうって変わって、江の島は奥に行くほど野趣あふれるアドベンチャーな場所になります。



○ 猿だらけの石碑

道端の石碑には、猿がたくさん浮き彫りになっていました。
この面だけでなく、四面全てに猿がいます。その数全部で36匹だそう。
群猿奉賽像庚申塔(ぐんえんほうさいぞうこうしんとう)という名前。むずかしい!
猿山のように猿だらけですが、よく見ると、上部に日輪と月輪、下部に三猿が刻まれている、庚申塔。
藤沢市の重要有形民俗文化財だそうです。



○ 亀と猫

奥津宮までたどり着きました。
ここにも大しゃもじが2つ、奉納されています。



前回来た時には、もう辺りが薄暗くなっていて、覗きこんでも見えなかった、八方睨みの亀。
この日はしっかり見えて、ちゃんと睨まれました。
見えたのはうれしいけれど、睨まれてしょんぼり。



ずいぶん奥の方までやってきて、入り口付近に比べると相当人も少なくなりましたが、それでも途中の茶屋にはどこも行列ができています。
江の島は夏に訪れる湘南のイメージですが、冬でもやっぱり混んでいるんだなあ。
ネコたちが、待ち人をなごませていました。



○ ソーダとコーラ

ここまで来ると、喉が乾いてくるものです。
売店のソーダの品ぞろえが豊富。
レトロでサワヤカですね。



ん?なにこのポスター?
うなぎ・・・コーラ?エ?



現物もありました。これですかー!
ちなみに初代伊三郎とは、幻の芋サイダーだそうです。
左側4本は、醤油にしか見えないなあ。
とっても本格的で、買って飲んでみる勇気は出ませんでした。



○ イカ焼きショー

島の奥に進むと、どんどん昭和要素が増えてきます。
途中で見かけたイカの丸焼きに、サオリは興味津々。
「わあ、すごいね!」
欧米人も興味深げに足を止めて、撮影しています。
「アメリカのビーチでは売ってない?」「こういうのはないね~」
確かにこの昭和っぽい光景がゴールドコーストで見られる様子は、想像できません。



香りが漂ってきます。う~ん、おいしそう!
そもそも欧米人は、タコやイカをあんまり食べないんでしょうね。



「そういえばイカって英語でなんていうんだっけ」
「squid」
「ああ、squirrel(リス)を思い出した。発音が難しいよね。なかなかちゃんと伝わらなくて」

イカとリスをごっちゃにしてしまったことに気づいて、笑います。
スクイッドとスクウィーレル!
片仮名読みでは伝わらなーい!

その2に続きます。



ぶらり東武東上線あたり index

2016-09-01 | 埼玉
[2016.3.19]



◆ 東武高坂-1
 前日の夜に友と突然決めたプチ旅行。
 お互い慣れない東武線で、乗り間違えてばかり。
 さらにランチ難民になりかけ、目指すお寺を間違えて、もうてんやわんや。
 それでも楽しく過ごせるものです。
  ○ prologue ○ とりあえず出発 ○ 西武も東武もわからない
  ○ 何度も乗り間違え ○ こうさか・たかさか ○ はらぺこカフェイン切れ
  ○ 駅前なのに食べ物難民 ○ しる屋 ○ 珈琲ばか
  ○ 虎穴に入らずんばコーヒー飲めず ○ コーヒーカレー ○ ばかブレ
  ○ 珈琲ファミリーはフリーダム ○ ALSの画家 ○ 古刹へGO
  ○ お寺まちがえちゃった ○ 坂東三十三箇所第十番 巌殿山正法寺
  ○ 山間の秘密都市? 



◆ 東武東松山-2
 仕切り直しで、はじめ行くはずだったお寺に向かいました。
 駅から遠い場所にあり、車がないとアクセス困難。
 それでも参拝を済ませ、歩いて歩いて、再び東武線で帰りました。
  ○ 次の行先を考える ○ 森林公園駅 ○ バスがない
  ○ タクる ○ 坂東三十三箇所11番札所 岩殿山安楽寺(吉見観音)
  ○ 帰り方を尋ねる ○ 墨の地図 ○ 1時間ウォーク
  ○ 車社会のダークサイド ○ コンビニお茶会 ○ 吉見百穴のマンホール
  ○ 「穴」一字 ○ あばれん坊 ○ 東松山駅 ○ ノーベル賞のまち
  ○ epilogue




ぶらり東武東上線あたり-2

2016-09-01 | 埼玉
その1からの続きです。

○ 次の行先を考える

朝は雨がちだった空も、すっかり晴れ上がっていい天気。
東京の方はまだ雨が降っているとのこと。
一日天気が悪いと思っていたので、嬉しくなります。

岩殿観音参拝を終えて、バスで再び高坂駅に戻りました。
ざっくりとした行先を決めていたのはここまで。
「次はどこに行こうか?」

広く関東圏内に坂東三十三箇所の範囲は渡っており、一つ一つのお寺のある場所は大きく離れています。
でも地図を見る限り、十一番のお寺はここから行けないほど遠くはなさそう。
行けるかな。行けたらいいな。
近くまで来ているのなら、もともと行く予定だった方にも訪れたいものです。

アコも賛成してくれて、一緒に行き方を調べました。
ふむふむ、森林公園駅からバスが出ているのね。
東武線で、高坂駅から森林公園駅に移動します。

○ 森林公園駅



本日二度目の森林公園駅。
森林公園という以上は、森林と公園があるんだろうとキョロキョロ。
すると、駅前にそれらしき公園を見つけました。
あった~。でもまず、バスの時間を調べるのが先ね。

○ バスがない

ところが、乗りたいバスは見当たりません。
停まっていた別方面のバスの運転手さんに聞くと「その辺は路線にありませんねー」
あれ?どういうこと?
「ロータリーの反対側の場所から、コミュニティバスが出ていて、それだと行くかもしれません」
教えてもらった所に行ってみました。

確かに通ります。そのコミュニティバスが、私たちが乗りたいバスでした。
「よかった~、これだわ」
ほっとしたのもつかの間、時刻表を見て絶望的な気持ちになる私たち。

バスは1日5本しか来ず、次に来るのは17時でした。
「これは無理ね。着いた頃にはお寺は完全に閉まっているから」

前もって調べていないと、現地でこういうことがあったりするんですね。
バスは無理だと観念し、再びロータリー内を移動して、タクシーに乗りました。

○ タクる

「吉見観音までお願いします」と言うと、運転手さんに「ここから行きたいの?
隣の東松山駅からの方が近いのに」と言われました。
「いえ、お願いします」と私たち。
東上線も、それほど本数が多いわけではないし、お寺によっては16時ごろに閉門するところもあるので、不便な場所こそ、早目に行っておきたいのです。

「岩殿観音には行った?」と運ちゃん。
タクシーで行く人が多いことから、知っているのかもしれません。

話しながら「あ、これ北向地蔵ね」と通りすがりに教えてくれましたが、カメラを出す間もありませんでした。
「ほい、到着。ここは縁結びのパワースポットとして有名らしいよ」

お寺は、駅から歩くのはとても無理なほど、遠くにありました。
運賃は2500円ナリ。
(ここで降りてタクシーを帰しちゃって大丈夫かな?それとも待っててもらった方がいいかな?)
と、2人で無言で問いかけ合ったものの、決められないまま降りて、去っていく車を見送りました。

「まあ、なんとかなるでしょう」
友と一緒だと、なあなあになって、いつもこれで通してしまいます。
それでなんとかなる時も、ならない時もあります!
さあ、今回はどうでしょうか?

○ 坂東三十三箇所11番札所 岩殿山安楽寺(吉見観音)

それはさておき(おいていいのか?)、まずは参拝することに。
ようやくのことでたどり着いたので、感激もひとしおです。
仁王門の古めかしさに心が躍る、古刹ファンの私たち。 



仁王門を守る真っ赤な仁王様は、楳図かずお風!
ギャーッ!いえ、お寺で叫んではいけません。静かな気持ちで通りましょう。



門の先には、きれいに整えられた境内がありました。
ほかの参拝者はちらほら姿が見えるくらいで、あまりいません。
静かでとてもいい雰囲気。
吉見大仏と呼ばれる阿弥陀如来像もあります。



坂東のお寺は、たいていが本格的に古めかしく、先ほどの10番の巌殿観音も、ここ11番の吉見観音も、いくつもの時代を経た伽藍が昔のままに立っています。
ここの始まりは、行基が聖観音像を岩窟に安置した岩窟寺院。
1661年に作られたという観音堂をお参りしました。



きれいな形の三重塔。高さ24m。古い彩色がまだ残っています。
寛永年間に再建されたもので、江戸初期のものは埼玉県内に3つしかないそうです。
形がいい塔だなと思い、ぐるっと一回りしました。



手前には「聖徳皇太子」と刻まれた石碑、奥には太子堂。
聖徳太子が祀られています。
時々、関東に太子堂があることを不思議に思いますが、仏教を広めるために数多くの寺院を建てた太子は、土木事業を促進したということで、大工さんや手工業者に厚く信仰されてきたそうです。



池の真ん中に弁天堂がありました。



苔むした屋根。渋いです。



○ 帰り方を尋ねる

参拝後は、奥にある庫裏で御朱印をいただき、対応してくれた奥様に「ここからバスで帰れるでしょうか」と聞いてみました。
「行きはどうやって来たの?」と聞かれたので「森林公園駅からタクシーで」と答えます。
「それは、タクシー代が結構かかったでしょう。でも土曜日はコミュニティバスが休みで、バスは近くを走っていないのよ。
1時間くらい歩いてバス停に行くことになるわ」

最寄りのバス停まで1時間!ひええ、そんな場所ってあるのね~。
心の中の自分は、ムンクの『叫び』顔になっていますが、お寺の人にそんな様子は見せられません。

「どうやって行けばいいでしょう」と聞くと、「まってて、今書いてあげるから」と言ってもらいました。
確かに、土地勘がないので、メモでももらえると一番助かります。



○ 墨の地図

すると、御朱印を書いた筆を使って、半紙にさらさらと地図を描いてくれました。
宝島の地図みたいで、すてき~!



その地図を使って、行き方を教えてもらいました。
「まだ暗くないから、たどり着けると思うわ。二人で行くのなら安心ね。でも気を付けてね」
「どうもありがとうございます!」
親切にしてもらい、感謝して、まだ乾ききっていない墨の地図を片手に歩き出しました。
無事に参拝できたことですし、帰りの時間を気にする必要はなくなっています。

これはRPGの世界だと、道に迷ったところに土地の賢者か物知り鳥があらわれて、進む道を示してくれたところでしょうか。

ふと気がつくと、境内にあるいくつもの御堂の前には、それぞれに花が活けてあります。
さっきの奥様かしら。



○ 1時間ウォーク

境内にいる参拝客たちも、みんな大変な思いをして長距離を歩いてきたのかと思いきや、参道途中に駐車場があり、私たち以外の人は全員車で去っていきました。
今ではみんな、車でやってくるのね。

私たちは、テクテク歩き続けます。駐車場を超えると、ほかにはもう誰も歩いていません。
途中にどびんやというお店があり、厄除けだんごを売っていました。



お寺からまっすぐ伸びる参道を、結構歩いてきたところに、対の仁王像が立っていました。
ここからが、かつてはお寺の敷地だったんでしょう。
道の奥にあるのが、今しがたまでいたお寺です。



保存状態のいい道祖神もありました。



別の場所にも。西国・坂東・秩父の百観音巡りを果たした石碑もあります。



さらに歩いて行くと、参道は車通りの多い車道に突き当たりました。
今度はその道沿いに歩いていきますが、バス停は全く見あたりません。

○ 車社会のダークサイド

今の車社会の陰の面として、廃棄車が集められた場所がありました。
廃棄車は全て輸入車なので、選り分けて集められたものなのでしょう。
車好きのアコは「こういうのを見ると、心が痛むわ」と声を落としていました。



朝はとても寒かったのに、いい天気の下を歩いていたら、3月でもなんだか暑くなってきました。
私たちが住んでいる辺りは、実は都心なんだなあと改めて思います。
車道でも、少し歩くとなにかしらお店があるものですが、この辺りは、歩いても歩いても、なんにもありません。
一人だと、早々に心が折れそうです。
友と二人なので、おしゃべりをしながら歩いて行けて、ちょっとしたエクササイズ気分。

○ コンビニお茶会

途中にミニストップを発見。久しぶりに見つけたお店で休憩することにします。

「ミニストップのソフトクリーム食べたいな」
ところが、イートインコーナーでは、近所のおばさんたち3人がお茶会を開いていました。
ポテトチップの袋を開いて、珈琲を飲みながら。
見慣れない光景に(はあ~)と驚いていると、もう一つのテーブルに座っていた男性2人が、4人テーブルを2人テーブル二つに分けてくれたので、私たちも着席できました。

どうも隣が気になります。
話をしながら、一人がコーヒーの容器を持って立つと「あ、私のもお願い」と差し出す別の人。
そこにポットからお湯を入れていました。
つまり、コーヒーを薄めて飲んでいるんですね。味が、味が~!
貧血を起こしそうな光景でした。



それでも特に嫌悪感を抱かなかったのは、おそらくお寺を出てからここまで車道を歩いてきた間、あまりに人に会わなすぎて、ちょっと人恋しくなっていたからかもしれません。
「人がいた!」「外でお茶してた!」というだけでも、驚きの発見レベルでした。

私たちは北海道プレミアムキャラメルソフトをいただきまーす。
ひと休みして元気が出て、再び歩き出しました。
おばさん3人は、さらにコーヒーにお湯を足しており、まだまだ長居する様子でした。



これは消防署の建物。何を計るのか、壁にメートルの目盛りが書かれています。
はしごの長さでしょうか。

シチズンマイクロ社の工場がありました。入り口の時計は、もちろんシチズン。



○ 吉見百穴のマンホール

この辺りのマンホールは、吉見百穴をバックにした、はにわのデザイン。
童話の世界のようで、いいですね。



歩いて歩いて、とうとうバス停にたどり着きました。
やったあ~!クララ、バスよ、バスに乗れるわ!
この辺りは、東松山駅と鴻巣駅の両方の駅の真ん中くらいにあるらしく、道路を渡って両方の時刻表を確かめました。
そして、早く来る東松山駅行きの方を待つことにしました。

鴻巣駅行きの方が早く来たら、帰りはJR埼京線になったところですが、東松山駅からだと行きも帰りも東武線になります。
もう、どこか鉄道の駅まで乗せて行ってもらえるのなら、贅沢は言いませんー。



この辺りは吉見百穴に近いので、バスから見えないかなあと思って外を眺めますが、広がるのは田んぼばかり。
時々太陽光パネルもあります。
割烹着姿のおばあちゃんと孫が、道端で立ち話をしていました。のどかー。

○ 「穴」一字

と、突然、赤文字で「穴」と書かれているのを発見。
その横の岩肌には、たしかに穴がありました。
えっ、これが吉見百穴?



それにしても「穴」って、思い切りましたね。
一番わかりやすいですが。
とりあえず吉見百穴を見られた気分になって、2人で喜びました。

○ あばれん坊

バスは、次第に町の中へと入って行き、少しずつお店が増えてきました。
次のバス停をアナウンスする時に「髪問屋あばれん坊 本店」と何度も紹介が入ります。
じわじわとおもしろくなって、顔を見合わせて笑いました。

「美容院で暴れん坊って?居酒屋ならわかるけど」
「ひどいくせっ毛ってことじゃない?」
「そっちかあ~」

本当にあるのかなあと気になって、バス中から探していたら、
「あったー!」



店名の後につい「将軍」って言い足したくなるのは、多分みんな一緒でしょうね。

○ 東松山駅

そうして終点の東松山駅に着きました。駅前の時計は5時半を指していました。
駅舎はシックな感じ。門司駅みたいだなあと、行ったことがないのに勝手に思います。



○ ノーベル賞のまち

駅のロータリーには「ノーベル物理学賞 梶田隆章先生」というのぼりが下がっています。
去年受賞された素粒子ニュートリノの権威の方ですね。
東松山出身だそうで「花とウォーキングとノーベル賞のまち」とも書かれていました。
3つ目だけ毛色がかなり違っていますよ~。



駅の建物に入っても、そこからホームにたどり着くまでに結構かかり、改札に入ってから小走りに急いだのですが、特急を乗り逃してしまいました。
残念~。鈍行だったら、帰るのにどれだけかかってしまうのかしら。
次に来た急行で池袋まで向かいました。
泊まる駅が多いため、乗っているうちに日が暮れて、いつしか夜になりました。
それから副都心線に乗り換えて、東急沿線まで戻ってくると(ああ、土地勘がある辺りだわ)とホッとしました。

帰る途中、西武の小竹向原駅でポイント故障事故が起こり、アコと別れて一人になった私は、自由が丘駅でしばらく足止め。
なんだか一日、電車でスムーズにいかない日でした。

○ epilogue

数年前に東急東横線と東武東上線がつながってから、東横線のホームにときどき「森林公園行き」の電車がやってきますが、実際にそこまで乗って行くことはなく、直通運転になっても、東武も西武も相変わらず遠いままなので、今回、とうとう終点まで乗ってみることになりました。
思ったよりも遠かった~!

それだけに、都心を過ぎると車窓ががらりと変わって、ちょっとした小旅行気分を味わえました。
ほぼノープランで行ったため、細かな落とし穴はいくつもありましたが、一日新鮮な気持ちでいられました。
江戸時代のままの古刹を2つ巡れたこの日の旅は、予想のつかないドタバタの行程になりましたが、青空の下、友と一緒にハプニングを受け入れながら、楽しい時間を過ごしました。
終わりよければ、すべてよし。
外出が減っていた年度末の、いいリフレッシュになりました。