先日、秋の七草の花を捜しに武蔵野まで足を運んでみましたが、肌寒い秋風が吹くようになってやっと身近な遊歩道に萩の花が咲くのを見つけました。
いつも何気なく歩いていた犬の散歩道に咲く、可憐な萩の花を見つけた時の嬉しさと言ったら・・・この気持ちを伝える人が傍にいたらどんなに素敵かと思いながら気分は万葉人になっています。
萩の花は万葉人に愛され、最も多く詠まれた花で142首もあります。
紫色の小さな花を付けた萩の枝は秋風が吹くままに、しなやかに揺れています。女性のしなやかなふるまいを連想させてくれます。万葉人の時代には、萩の小枝に恋文を結び贈ったり髪に花を付け秋を楽しんだようです。
万葉集より・・・・「見まく欲く 恋ひつつ待ちし 秋萩は」
(訳)見たくて恋しくて咲くのを待っていた秋萩は花だけで実には、ならないのでしょうか。私はあの娘への恋は実るのでしょうか。
散歩道の萩の花は、まだ秋風をうけてもこぼれずにしなやかに舞って咲いています。
そこかしこにはらはらと鮮やかな紫の花びらが舞い落ちる時は、秋が深まっているのでしょうね。
万葉集より・・・・「真葛原(まくずはら) なびく秋風 吹くごとに 阿太の大野の 萩の花散る」
(訳)葛の裏葉をひるがえして秋風が吹くたびに、阿太(あだ)の萩の花が散るよ
また狸が化けるときに頭に載せている葉っぱは「萩の小枝」だそうです。
落語のネタ・・・「狸賽」「権兵衛狸」「狸の釜」「狸の鯉」「狸の札」