「曼珠沙華」 北原 白秋
GONSYAN GONSYAN 何処へゆく
赤い お墓の曼珠沙華
曼珠沙華
けふも手折りに来たわいな
GONSYAN GONSYAN 何本か
地には七本 血のやうに
血のやうに
ちゃうど あの児の年の数
GONSYAN GONSYAN 気をつけな
ひとつ摘んでも 日は真昼
日は真昼
ひとつあとからまたひらく
GONSYAN GONSYAN 何故泣くろ
何時まで取っても 曼珠沙華
曼珠沙華
恐や赫しや まだ七つ
恐や赫しや まだ七つ
北原白秋の「曼珠沙華」は声を出して読んでみると美しく響く。
曼珠沙華は白秋の故郷柳川の方言を使い民謡風に纏めた、どこか凄みがある不思議な詩でもある。
何故だろう、どういう背景があったのだろう、と以前から気になっていたが、答えが見つかりました。
曼珠沙華は堕胎薬として使われていたそうだ。
GONSYAN(良家のお嬢さま=柳川方言)は七年前に、曼珠沙華の毒で許されぬ子を堕ろし発狂したのだった。
白秋の他の詩と同様に、山田耕筰はこの詩にも曲を付けている。
そして、ただ綺麗に歌うだけではダメだ、と歌手に注文を付けたそうだ。
実際、往年の名テナー奥田良三が歌う「曼珠沙華」は、音程を外しかけた異様な絶唱である。
奥田良三は過去の人で、Youtubeでは見つからない。
代わりに鬼気迫る川口京子です。
なお、写真は昨年、日高市内の高麗の里で撮りました。車と人でごった返す巾着田ではありません。
普段は純朴な日高市民は、曼珠沙華の毒が頭に回り、この花の季節には強欲になって、恥ずかしい。
やはり野におけ曼珠沙華、です。
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