ringoのつぶやき

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「さや当て」の度を超えた株取得合戦 スクランブル

2011年05月22日 16時45分14秒 | 

2011/05/20, 21:37, 日経速報ニュース

20日の東京株式市場で日経平均株価は小幅続落。東証1部の売買代金が約3週間ぶりの低水準と薄商いのなか、19日に大型買収を発表した東芝と武田はそろって値を上げるなど、企業買収が震災後の株価材料の1つになりつつある。そのような状況下、上場企業同士が株を買い増し合うという異例の動きに株式市場の注目が集まっている。
 その2社とは医薬品や医療機器を販売するニプロと、ガラス大手の日本電気硝子。医療用ガラス製品で長年取引関係がある両社の株式買い増し合戦の背景には、長期戦略に対する姿勢の違いがあるようだ。


 大量保有報告書によると、ニプロは2010年12月7日から日電硝株の買い増しを始め、3カ月にわたりほぼ一貫して市場内で株式を買い集め、保有比率を8%近く引き上げた。投じた資金は約500億円にのぼる。


 一方、日電硝も今年2月9日に4万株を市場外で買い付けたのを手始めに、3月末までほぼ毎日、計63億円を投入してニプロ株の買い増しを続けた。


 両社の関係は半世紀を超える。日電硝は1949年、NEC大津製造所硝子課が独立して発足。ニプロが筆頭株主になるまでは、ずっとNEC(信託口含む)が筆頭株主だった。日電硝の設立から5年後、ニプロの佐野実社長は前身の日本硝子商事を立ち上げる。両社を結びつけたのは医療用管ガラスだ。


 医療用管ガラスは100万分の1単位の容器の内容量を一定に保つ必要がある。ガラスの肉厚を制御する高い生産技術が必要となり、国内では日電硝がほぼ100%の市場シェアを持つ。ニプロは代理店を手がけており、その後、管ガラスに自社の医薬品を入れて販売するようにもなった。


 ニプロは医療用管ガラス事業の売上高を現在の50億~80億円から20年までに1000億円に引き上げる計画。少子高齢化で国内市場の伸びが見込めないなか、今後は成長の軸足を新興国に移し、中国やインドなどでの販売を伸ばす考えだ。海外大手との競争に勝つには、日電硝による管ガラスの海外生産の拡充が不可欠で、日電硝に医療用管ガラスの独占販売を持ちかけたが、日電硝が応じなかったため、株式買い増しを断行。追加取得をちらつかせることで、海外展開の主導権を握ろうとしたとみられる。


 しかし、日電硝にしてみれば医療用管ガラスの売上高は年間約50億円と全体のわずか1%程度の事業。売上高、利益の大半を稼ぎ出すのは液晶用ガラス基板で、日電硝は年1000億円前後の大型投資を続けてきた。「管ガラスの生産拡大を後回しにする日電硝に対し、ニプロの佐野社長がしびれを切らして実力行使に出た」。市場ではそんな見方が強い。


 日電硝は株式保有の目的について「取引関係の維持、強化のため」と判を押したような回答に終始する。ただ63億円も投じているだけに「株主軽視も甚だしい」(証券アナリスト)と投資家は費用対効果の不透明な株式取得に厳しい目を向ける。


 ニプロに対しても同様だ。「日電硝の株式取得に数百億円を投じたリターンは見込めるのか」。「有利子負債が増えているが、経営陣はバランスシートをどう考えているのか」。18日に開いたニプロの機関投資家向けの決算説明会では株式買い増しに関する厳しい質問が相次いだ。


 ニプロは日電硝株の扱いについて「追加取得も売却も何も決めていない」(箕浦公人取締役)と話す。一方、2月にマレーシアで管ガラスの生産開始を決めている日電硝は「ニプロと代理店契約を結ぶかどうかもわからない」とし、両社のさや当ては続く。連結売上高1兆円を目指す佐野社長は「対等に戦える企業体力が必要」とM&Aにも積極的。長期戦略を巡って両社が折り合わなければ、株式の買い増しがさらに続く可能性がある。


 とはいえ、先行きの見通しが見通せないままでは単なる「株式持ち合い」の強化にしかならず、有益な投資につながらない矛盾が生じる。ニプロ株は決算説明後も軟調な展開が続く。4月27日の決算発表後に上昇した日電硝も足元では下落基調だ。投資はリターンがあってこそ。両社が市場から評価を得るためには、きちんと長期戦略について話し合い、投資家が納得するような結論を導き出すことが求められる。

 



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