【マドリード】(ウォール・ストリート・ジャーナル)スペイン政府は8日、2013年の国債発行予定額が過去最
高に達する見通しだと発表した。今年初めての国債入札は10日に実施される。このところ相対的にリスクの高い
ユーロ圏諸国の国債に対する需要が改善しており、こうした地合いが追い風になりそうだと投資家とアナリスト
は指摘している。
スペイン財務省は、年内に前年比7.6%増の1213億ユーロ(約13兆7900億円)相当の国債発行を目指していると述べた。これには地方政府向けの230億ユーロも含まれる。こうした地方政府の大半は金融市場で資金を調達できなくなっている。10日の入札では40~50億ユーロを発行予定で、内訳は新発2年債と18年償還債および26年償還債のリオープンだ。
スペインと同じく、ユーロ圏の金融危機が深刻化した昨年夏に資金調達コストが高騰したイタリアも週内に今
年初の国債入札を実施する。イタリアは2月に総選挙を控えているが、同選挙は緊縮制度に対する国民投票だと幅広く認識されている。イタリア政府は昨年10月、13年の国債発行予定額は4100億ユーロで、12年の4700億ユーロから減少する見通しだと述べていた。
欧州中央銀行(ECB)が昨年9月、スペインとイタリアが国際支援を要請すれば流通市場で両国の国債を買い入れると約束したことを背景に、昨年夏の危機以降は民間投資家が再び両国の国債市場に関心を寄せている。さらに最近では、米与野党が「財政の崖」回避策で合意したことを受け、よりリスクの高いユーロ圏諸国の国債に対する信頼感が強まっている。
スペインとイタリアの国債相場は、ECBが買い入れ計画を発表したことで上昇に転じたが、こうした市場心理
の改善に支えられ一段高となっている。スペインの10年国債利回りは1月第1週に5%弱と、10カ月ぶりの低水準に達した。また、イタリアの10年国債利回りも4.22%まで低下し、10年末以来の低さとなった。
「市場心理の明るさを背景に、どちらの入札も比較的順調に消化されるはずだ」とコメルツ銀行の金利ストラ
テジストらは述べた。
スペイン財務省は、短期債の発行を含む今年の資金調達需要は総額で、最低でも2150億ユーロに達すると見積もっている。これは12年の水準を14%下回るが、12年の水準は国内銀行部門の健全化を支援するための欧州連合(EU)からの融資390億ユーロでかさ上げされていた。
アナリストの多くは、スペインが年内の調達所要額を全額市場調達するのは難しいとみている。スペインは経
営難の国内銀行支援に加え、欧州諸国の中でも最大規模の財政赤字を抑制するという大きな課題にも直面している。スペインが銀行支援や財政赤字抑制でつまずけば、スペイン国債の購入が期待される投資家の間で動揺が広がり、同国はECBによる介入につながる救済申請を余儀なくされるだろう。
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