凛大姐&小姐的極楽日記!

今日一日、よいことがありますように!

覇王別姫から梅蘭芳へ「花の生涯 梅蘭芳」

2009-04-14 | 映画(頑張れ、華流!)
「さらばわが愛 覇王別姫」は、私の中国映画への固定観念を根本から
覆した作品です。

中国映画は、「暗い・長い・美しくない」という従来の偏見が
この一本で根底から覆ったのです。

でも、冷静に考えてみたら、覇王別姫も、暗いし長いんですよね。

美しいっていうのは、大切なことですね。

「梅蘭芳」の前日に「覇王別姫」を復習したのですが、
私自身、ずいぶん見方が変わったなあ、と思いました。

前は、火花を散らすレスリー王子とコン・リー姐上のふたりにどうしても
目が行ってしまったのですが、レッドクリフでの活躍のせいなのか、
今回はずいぶん、チャン・フォンイーさんに目が行きました。

     
    覇王別姫で止められなかったので、今回の寸止めお見事でした

考えてみれば、彼が一番悲運の人なのかもしれません。

レスリー王子は、舞台の上でも舞台から降りても、ずっと「愚姫」
であり続ける人なわけです。
でも、フォンイーさんは、舞台の上では覇王であっても、舞台から降りれば
普通の人です。
なのに、相方から、舞台を降りても「覇王と愚姫」である
ことをずっと要求され続けるというのは相当厳しい状況です。
単なるビジネスパートナーであれば「ちょっとキツイよ」と解散すれば
いいわけだけど、子供時代から苦難を共にしてるし、自分たちの成功は
レスリーの生贄があったからというのもあるし、プライベート面でも
やっぱり切れない「複雑な情と状況」があるわけです。

その上、後半は文革によって、世間からも、「覇王なのに恥ずかしくないのか!」
と糾弾されるわけです。
これはねえ・・・普通の神経なら発狂しますよ。

ウチに「覇王別姫」のころのカイコー監督インタビューがあり
ちょっと読んでいたのですが、
「蝶衣(レスリー王子の役)にとって、舞台と実生活は混沌としていて
距離がない。非常に極端な人生ではあるけれどもとても美しいことだ」
というようなことを言ってるんですね。

が、今回の「梅蘭芳」は、舞台の上では、可憐で悲劇的な女性を演じながらも、
舞台から降りれば家庭もあり、恋もする男性であるわけです。

どちらかといえば「さらばわが愛」のレスリー王子より
フォンイーさんに近い人です。

レスリー王子がパトロンを持ち、日本軍の前で踊ったのに対し、
フォンイーさんはパトロンも日本軍も拒否していましたし、
そういう点でも似ています。

ただ、フォンイーさんが「普通の男」から脱却できなかったのに対し、
梅蘭芳は常に「さらに強くありつづけよう」と意識的にし続けた
という点は異なりますが。

同じ京劇を題材にし、時代もほぼ同じでありながら、
「覇王別姫」と「梅蘭芳」では、監督の視点がずいぶん変わっていると
感じます。

舞台も現実も錯綜し、愛憎にもだえ苦しみ、社会や人生に対して
常に絶望と反逆精神を持ち続けた炎のような「覇王別姫」。
それに対し、舞台では役者として、そして現実では一男性として
波乱万丈な歴史を静かに強く生き抜いていこうとする「梅蘭芳」
のことを監督は「水」と表現していました。

ここからは私の感想ですが、汚水が流れ込んできても、美しく
清らかであり続け、どんなに天候が荒れても鏡のような水面を
維持し続けようとする大きな湖面の「水」を連想しました。

この変化は監督自身の「美」に対する変化でもあると思います。

どちらも美しいけれど、後者の方がより広大で成熟された美しさ
だと思うし、それは、そのまま監督の15年の熟成度でもあるんだと思います。

また、役者の使い方もずいぶん変わったのかなあと思いました。

最初、主役がレオン・ライだと知って、
「彼はなあ・・・身体がデカすぎるんじゃないかな
と不安を感じたのですが、レオン・ライは中年以降の
「落ち着いた成熟・成功した後の梅蘭芳」担当だったし、
「男としていろんな人生の局面にあたっていく」役だったので、
デカさが気にならず、むしろ彼の大きさとか、表情に乏しい能面顔
がマッチしてました。

     
    無表情なんだけど、苦悩しているように見えるのだ。

若いころの京劇改革に燃える青年時代は新人起用です。

    
この時代は、舞台シーンが多かったし、女形の可憐さ、
理想に燃える若さ、パトロンを拒否する潔癖さ、
スン・ホンレイと義兄弟になる青臭さ、など、レオン・ライではちょっとムリだったと思います。

私的には師弟対決が全編通して一番見ごたえのあるシーンでした。


この辺の適材適所的に上手く役者を使い分けるあたり、
カイコー監督のオトナ度数を感じました。

チャン・ツィー起用も、「うあ、またツィーかあ」とやや食傷気味だったんですが、
思った以上に出番が少なく、ツィーの鼻っ柱にゲンナリする前に引き上げさせるところも
監督の職人芸が冴えてます。

     
     この即興シーンはすごく良かったです。
     (ただ、本当の舞台共演シーンはイマイチっぽく感じたけど

また、最近ナゼか「悪役といえばこの人」みたいなポジションができつつ
ある、スン・ホンレイが梅蘭芳の義兄役をとても上手く演じてました。

     
      たかじんじゃないよ。
若いころと中年期以降、梅蘭芳は役者を変えてきてるのに、この人は
ずっと1人で演じてます。また、レオン・ライが全然老けないのに
(子供が途中からわらわらできててビックリした)
彼は徐々に老けていくので、時間の経過を測る目安にもなってました。

ということで、カイコー監督の美学や職人芸の行き渡った一作でした。

ただ、あくまで映画なんで、2000円はどうだろうなあ、というのと
やっぱり長いよな」というのは感じました。

ちょっとシリアス大作系で気力体力使ったんで、
またしばらく香港映画で浮気したいと思います。


待ってるよぉー!!

大作お疲れ系なら、

      
      このあたりかな!!

     中華って広くて幸せ・・・
     

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9 コメント

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やっぱしカイちゃん好き~ (grace)
2009-04-18 08:54:13
>表情に乏しい能面顔がマッチしてました

その通りですね~(笑)
少年時代からぜんぶ通して演じる、てのは
ちょっと、じゃなくて「ぜんぜん」「ぜったい」ムリですね(笑)
彼の使い方で、カイコー監督の職人技術を実感しました。
映画監督で、職人であり芸術家、て両方できる人って
けっこう少ないと思うんですよ。
(でも、昔、撮影前に脚本がカンペキに出来上がってる、て聞いてたので
 安藤くんのインタビューで「セリフがコロコロ変わる」みたいなのを読んで意外でした。
 今回は苦労されたんでしょうか?)

ホンレイさん良かったですね。
いつもアクションで高笑いばっかししてないで(オイオイ!)
また文芸作品にもいろいろ出てほしいです。

ジリアンのところが切らずにちゃんと出てたら
もっと良かったかも
(さらに長くなるけど)

子供だけいきなり増えてても、途中まではあんまし夫婦愛が感じられなかったことだけが惜しいです

カイコーさん、また来日のたびに講演してくれないかしらん♪
けっこういいホールだったしまたいろいろイベントしてほしいですね。
また何かご一緒できたら嬉しいです。
(私も投名状ハズレでしたが・・・)
こちらこそ (RIN)
2009-04-18 22:07:55
☆graceさま☆

先日は楽しかったです♪
カイコー監督はもっと熱く語りはるのかと思ってたんですが、静かでしたね(どんなイメージやねん…)
覇王別姫の頃「若手も映画界の行く末も知るかい!」みたいな発言してはったんで、15年後、客員教授(しかも日本、京都で!)してるなんてご本人も想像してはらへんかったでしょうねー!
今後も一般にも門戸を開けていて欲しいです。青二才学生だけでは勿体ないですもん!

ツィーと別れた後、能面顔で涙を流すレオン・ライに対して、奥様の切なくも母のような眼差しが心に残りました。
ちょっと一般の
途中送信… (RIN)
2009-04-18 22:16:25
してしまいました(涙)
ちょっと一般の夫婦愛とは、また違う感覚なんでしょうね。
スン・ホンレイはやはり上手いですよね。
「鐵三角」で、ルイス・クーが、ヤムヤムとスン・ホンレイと三人チームを組んでたんで、「ヤバイよ、このメンバーはっ!(汗)」
と思ったんですが、あれも、思ったより悪役ではありませんでした。
(ずっと北京語やったけど…)
今後さらに役柄広がりそうですね!
安藤くんは…。ちょっと切なく痛々しげでした(涙)
(しかも台詞変えられてたのかあー…涙)

香港息抜き後、もう一回は観に行きたいです♪
長いですー。 (まてぃ)
2009-04-20 22:30:58
こんにちは。
即興シーンと師弟対決シーン、良かったですよね。私も好きなシーンです。若い時代の梅蘭芳を演じた新人君にこれから期待大です。
同じ京劇を題材にしていても、覇王別姫の燃えるような激しさに対して梅蘭芳の静かさ、これがカイコー監督15年の熟成なのですね。講演も聞かれたとは羨ましい限りです。
でもやっぱり長いです。90分にしっかりおさめる香港映画が奇跡のようです。
コメント多謝です♪ (RIN)
2009-04-21 14:54:20
☆まてぃさま☆

こんにちは♪
これもレッドクリフも長いですよねー。
じゃあドコを切るかと言われると難しいんですが…。
(レッドクリフは、ヴィッキー・チャオ潜入と、爆発短くするの可だと思いますが…)
師匠対決と即興劇は「うわー」っと盛り上がりましたが
他はわりと淡々としてましたね。
(なんで余計長く感じる…)
ホントに王道の90分に納めてくる香港映画は奇跡です。
2000円はね (Hitomi)
2009-06-16 19:54:39
会長、こんばんは。

確かにね、映画なのに2,000円はどうかと思う。何に使うかわからないカード付けられてもだよね。

京劇の事も知らないし梅蘭芳の事も知らないけど、内容は充分楽しめました。
ただ10代の頃の蘭芳がとっても艶っぽかったので、リーヨンの色気の足りなさがちょっと気になりました。
ただ実在人物ものって事で割と淡々と進むから、2時間半という時間が余計に長く感じました。
コメント多謝です♪ (RIN)
2009-06-17 18:45:43
☆7番Hitomiさま☆

わんしゃんはおー♪
カードついてたんだ。(笑)
まあ定価は1800円だけど、日にち選べば1000円で観られる時代だからね。
倍の値段を払う価値があるかどうかって言われると難しいよね。

うん、2時間越えると厳しいよね。
特にこれは、淡々だしねー。
確かにリヨンは色気なかったね。浮気していても全然浮気っぽさがあまりなかったです。
(いいのか、悪いのか、わかんないけど。。。)
TB&コメントありがとうございました。 (rabiovsky)
2009-12-21 21:22:30
私も全編通して師弟対決が一番見ごたえがありました。
チェン・カイコーここにアリって感じがしましたよ!

でも「梅蘭芳」全体ではよく言えばカイコー監督の成熟と職人芸なのかもしれないけど
なんかあっさりしてて・・・。
「覇王別姫」はどこか脂ぎった感じがするのに対して、今回は脂ぎったところが
ないのが魅力なのかもしれないし、逆に物足りなさなのかな~って思いました。
スン・ホンレイが時々ピンポイントで仕掛けてきても能面顔のレオン・ライがそれを
あっさり潰したりしてる感じがするよ。存在でね!
アメリカ公演成功の無邪気さや堕ちていくスン・ホンレイの方が魅力的だった。
女形で体がデカイっていうのは アリなのだろうか・・・?

チャン・ツィイーは食傷気味ではなく(笑)好みの髪型だし、
出演して場が華やぐ感じがしましたよ。
まあ、出番が少ないっていうのがよかったのかもしれないけど
個人的にはもう少しは出て欲しかったです。
>本当の舞台共演シーンはイマイチっぽく感じたけど
あれは驚くほどイマイチでしたね(笑)
なんか学芸会みたいだったもん(笑)
コメント&TB多謝です♪ (RIN)
2009-12-22 20:14:04
☆4番ラビオさま☆

こんばんは!今日、冬至ですねー。厳しい季節ですが、これから日照時間は長くなりますから
大丈夫なはずです。

うん。映画がというより、カイコー監督自体、あっさりしてましたよ。
もっとハングリー精神とか反骨精神逞しい人のような気がしたけど。
「実在の人物は。。。」とか「時代を客観的に見るには。。。」とか
わりとエクスキューズ的な発言も多かったです。

>あっさり潰したりしてる感じがするよ。存在でね!
あっさり潰してましたね(苦笑)
義兄弟の間にできてきてる溝の演出なのか、単にレオン・ライが役不足なのか
よくわからないまま終わった感じです。
スン・ホンレイ、ひとり、一生懸命演技していた感じですよね。

>女形で体がデカイっていうのは アリなのだろうか・・・?
たぶん、アリじゃないと思いますよ。
舞台でバランス悪いですもん。。。

ツィイーって、顔立ちとか体型とかって割と地味だと思うんです。
もっと派手な美人は沢山いますしねー。
それでも若手で頭ひとつ飛びぬけてるのは、やっぱりあの鼻っ柱の強さゆえですよ。
普通、ハリウッド系大富豪なんかと付き合わないもの。。。
華僑にも金持ち沢山いるんだし!
あそこまでやると、あざとさがなくて、もう十分個性というかキャラになりますね。
出番少な目でしたが、あれくらいでいいんじゃないかな。


>なんか学芸会みたいだったもん(笑)
正直ビックリしましたよ。あのツィイーの付け髭とか。。。
前の即興がよかっただけに「えっ?!」みたいな感じで・・・。

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