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私見|なぜいまも「知財経営論」を深めていかなければならないのか

2019-03-08 | 知財経営&知財ビジネス
先日、ある講演の時、「日本で社会人向けに実務と研究を考える第一人者」と、都内にある企業グループの会合で紹介されたときはビックリ!異なる人が行う実務と「理論」の関係についてではなく、同じ人が従事する実務と「研究」の関係について考えて書籍化する人が少ないのは確かであるかもしれず、拙著『実務と研究の「壁」をどうやって破るのか』とは数少ない関係書籍であると言えても、やはり余りにも言われ過ぎて、思わず緊張感が一気に急上昇・・・。

ところで、なぜいまも、というより、今だからこそより一層「知財経営論」を深めていかなければならないのか。理由は多数にあると思うが、その一つとして以下で述べてみよう。日本は従来から知財の創出や保護に取り組んでおり、特許を中心とする知財の質や量でいえば世界の知財大国とも言われるほどとなっている(なっていた)ことはいうまでもない。しかし、『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』(妹尾堅一郎、ダイヤモンド社、2009)といえば、知財を生かす経営的なアプローチによる思考等の不足が一要因である、と筆者も以前から考える。

思えば、世の中では、「知財経営」と言いながらも、実質的には法律的アプローチか技術的アプローチで議論される場合が多い。しかし、法律的アプローチはしばしば「何をしてはいけないか」という規範的思考が強いことから、時に事業構想の阻害要因になりうるし、技術的アプローチは「技術力があれば事業はうまくいく」というような誤解や技術者の「タコツボ化」(伊丹敬之(2009)『日本の技術経営に異議あり』日本経済新聞社)から、機能やデザイン、真の価値創出にかかる顧客ニーズを無視してしまうリスク要因ともなりうる。なので、知財経営というとき、とくに事業を構想する際は、世の中に存在するニーズの把握や創出を前提にし、経営的アプローチの下で「自由で創発」的に考えていかなければならない。

また、事業構想、ひいては企業経営において、どの段階か局面のどの時点で、特許や商標、著作や営業秘密などの中でどの知財の何の特性を必要とし、どのように知財の特質を活かすかについて、事業やサービスごとの特性を考慮した経営ストーリを念頭に置いて、実学的に研究を重ねていかなければならない。

経営戦略論という視角からいうと、例えば、企業内部の経営資源に着目する「リソースベース論」と外部環境の変化に着 目する「ポジショニング論」に分けて論じられることはあるが、戦略的な権利化を考える際は社外の競合者との関係の中で行っていくことが多いから、ポジショニング論の観点と整合する が、権利化された知財の活用は重要な経営資源の一つとして用いることになることから、リソースベース論と整合する。これは、「経営という山に立って知財について言う」という考え方に立脚しなければ、経営的議論や行動ができなくなり、経営関係者から見たときにどうしても「経営的」とは感じられなくなってしまう一例である。

昨今、「AIやIoT、3次元プリンタ、様々な新材料――。ものづくりのあり方を根本的に変えてしまう革新的技術が続々と登場している」というのは確かであるが、そこで生まれた知財も、活かすも殺すも戦略次第である。ここでいう「戦略」とは経営に密接な意思決定の一つであり、部品的な発想に止まる「知財」経営ではなく、経営ストーリに沿った知財「経営」でなければならない。

話は変わるが、仕事の合間になんとか『GAFA-4騎士が創り変えた世界』(Googl, Apple, Facebook, Amazon.)を読み終わって、経営的アプローチがいかに重要かという点も改めて感じさせられた。今度『BATHの企業戦略分析』(昨今世界で知られている中国代表的新型民間企業のバイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)を読みたいね(単価が高いではないかと感じたことにハードルも)。このような企業をはじめとする多くのイノベーティブな企業もいったい何を示唆してくれるだろう。
ジャンル:
経済
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