その後、あの亡くなった大工さんの奥さんは近所で牛乳かヤクルトか何かの配達をして生計を立てていたようである。しかし自分が中学になっても近所にいる彼らと顔をあわすことはなかった。そんなある夜のことであった。近所から火の手が上がり、うちの2階の窓からも火事の火柱が手に取るように見えた。消防車が数台駆けつけ、所狭しとホースを路地にはわせた。火元はあの彼のうちだった。火は程なくして鎮火したが彼のうちは全焼した。火の不始末が原因のようであったが、どんな火の不始末かは知る由もなかった。彼らはそれ以来、どちらかに引っ越していったようであったが以後の消息はまったく知らない。彼らは今どうしているのだろうか? 半世紀前の話である。
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