吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

池袋暴走母子死亡「車の異常で暴走した」 元院長が起訴内容否認 東京地裁初公判 その3

2020年10月29日 05時47分59秒 | 日記
 なんとも痛ましい事件である。事故後、加害者に対する世間からの怒りは凄まじいものがある。しかし加害者に対してではなく、その家族に対するネット上でのバッシングはまったくのお門違いである。別に家族が悪いのではない。加害者は別に認知症の診断を受けていたわけではない。そして報道されていたような「医師から運転しないよう」言われていたという事実も存在しないようである。そのような加害者に家族が運転注意を助言する同義的責任はあっても禁止までさせる義務は生じない。
 また被害者家族が加害者個人への厳罰を求める署名を集めてそれを裁判所に提出するというのも如何かと思う。確かに間違いなく自分自身も心情的に加害者の厳罰を望むものである。
 しかし方法論的には極めて違和感がある。厳罰に処する対象は特定一個人である。世間の一般大衆から個人がつるし上げられて、まるで見せしめのように罰せられているように思われる。
 家族感情の強さを示すパフォーマンスとしては効果的かもしれないが、日本は法治国家であり、現存する法律で裁かれるのである。「素人」の裁判員裁判であるため、国民感情で量刑が変わるかもしれないというのも違和感を覚える。