吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

京都アニメーションの放火殺人事件 その2

2019年07月25日 06時04分19秒 | 日記
 熱傷深度にもよるが救命されるには最低2か月はかかるかもしれない。その間は事情聴取は無理である。救命されなければ今回の事件はなんであったのか何も残らない。過去の判例からみると放火による未曾有の死傷者数である。極刑は免れないと思われるが、もしせっかく救命したにもかかわらずそのような処罰の結果になるとしたら、もちろんそれはそれで法治国家ではやむを得ない。
 しかしながら日夜かかわらず救命にまい進した救急医のmotivationには複雑なものがあると思われる。

 自分も数多くの重症熱傷診療に従事した。並大抵の体力と精神力ではやってられない。自分を削りながらの診療になる。自分の意識としては「この人を助けたい」という気持ちを持ち続けなければ到底救命は無理である。でもふっと「この人助けても極刑かな」という気持ちが湧き起こったなら救命はむりであろう。医師も人間である。
 診療チームはプロ集団なので絶対に手は抜かない。でもたぶん犯人は助からないような気がする。