吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

脳梗塞 その3

2013年09月14日 06時01分11秒 | インポート

 自分が米国心臓協会のBLSプログラムを最初に受けたのはかれこれ20年前にもなる。しかし15年くらい前から、確かに米国では「前述の症状がでたらすぐにcall 911(救急車を呼ぶ)」ということを強く教えられていた。最初にこの約束事を学んだ時は極めて違和感を覚えた。「まあ米国人はなんと大げさな、これをすべての場合にやったら救急車は何台あっても足りないだろうに」とか「米国人は肥満体が多く脳血管障害(脳梗塞)のリスクも高いので発症率が日本と異なる。だから米国では通用するが日本では定着しないだろう」と思っていた。ところがあれから随分たつが日本でもこのシステムが定着したのである。このシステムが変容した大きな要因は血栓溶解剤が作られたためであろう。発症直後であればこの薬剤の注射で、つまった血栓を溶かすことが可能になったからである。ただし時間が経過してからこの薬を使うと今度は出血性合併症が多くなるのでやはり「早期」の治療は一刻も早い「Call 911」なのである。