友人に布教するため、古今亭志ん生の My Favorite CDを焼きました。
演目は次のとおり。
【火焔太鼓】
志ん生の十八番。志ん生が健在のときには他の誰も高座にかけなかったとか。筋はわかりやすいと思います。野暮な解説はあまりなしで志ん生はまずこれ。
個人的には「今川焼」のくだりや「岩見重太郎のわらじ」のところでクスクス笑うのが好きですが、聴きどころやっぱり「すわりしょんべんしてばかになるなァ」。
ちなみに本物の火焔太鼓は2メートルはある大きなもので、風呂敷に包んで担ぐことは無理のようです。切手のイラストでは担いでますけどね。
【妾馬】
今現在私の中でナンバーワンの噺。「しめこのうさぎ」が出てきます。おめでたい噺ですし、とんちんかんな八五郎、そして酔っぱらっていく志ん生がかわいくてかわいくてずっとハッピーな気持ちで聴けます。「おめでとー」のところは涙さえ出ます。
妹が大名の側室(妾)になって八五郎は殿様から馬をもらう、だから「妾馬」。その馬を八五郎(家来に取り立てられる)は乗りこなせず・・・でもそこまでやらないみたいです。私もその方がいいと思います。
【替り目】
私は小学生のとき『火焔太鼓』を初めて聴いたのですが、そのときは志ん生に特別な感情は持ちませんでした。酔っぱらいのようなしゃべり方でよくわからないなあという素直な感想。
けれども去年の秋、この『替り目』を聴いて恋に落ちました。自分も大人になったと実感しました。リードの「ろくでなしのうた」はこの話に出てきます。
【黄金餅】
お坊さんのお経必聴です(「てけれっつのぱあ」)。
筋はというと、西念はドケチですし挙句の果て死んでしまうし、金兵衛はお金を取ってしまう。みんな自我まるだしで、胸がスーっとする話ではありません。けれども聴くとおもしろい。志ん生いわくこの話は難しいそうで。
ちなみに私は下谷山崎町から麻布絶口のお寺までの道のりを、フムフムいいながら古地図でチェックしました。
【鈴振り】
「左甚五郎」あとからちょっと間延びする感もあるけれどサゲがおもしろい。
なんの予備知識もなく聴いて一番初めは正直ムカつきました。「私こういうのキライ」と。純情娘なのです。けれどもあるときこのあらすじを人に話したら、落語を聴いたことない人が大笑いしていました。あんたも好きね~、という笑い。みんな下ネタ大好きなんだから。
こういった艶ばなしは、噺家がお座敷に呼ばれたようなとき、つまりお酒も入るしちょっとした座興でやっておくれよ、というときに話すことが多いそうですね。
左甚五郎のところで「内緒ですよ」と笑う志ん生はかわいいにもほどがある。私の鈴が振り切れます!
【大津絵(冬の夜に)】
小泉信三先生が毎回毎回聴いて泣いたという曲。決してうまいと思わないのですが、聴いていると気持ちよく歌っているのがわかるような気がします。歌は魂の叫びですからね。昔歌の稽古もしていたそうで、志ん生はよく話の中で歌を歌っています。
志ん生は昭和36年12月に脳溢血で倒れています(なんで巨人の祝勝会なんかに・・・)。危篤状態というニュースも出ましたが、奇跡的に回復し昭和38年に高座に復帰しています。最後の高座は昭和43年です。本当の最後は聴いているのがちょっとつらかったとか。それでも、生きてくれているだけでありがとう、と。
この Favorite 集のなかで、いわゆる病後のものは『鈴振り』です。なんも知らないときは酔っぱらっているのかしらと思っていましたが。でも悪くないと私は思います。
おそまつさまでした。では最後にやっぱりかわいい志ん生でしめたいと思います。
味の素あまり不思議でなめてみる 志ん生
演目は次のとおり。
【火焔太鼓】
志ん生の十八番。志ん生が健在のときには他の誰も高座にかけなかったとか。筋はわかりやすいと思います。野暮な解説はあまりなしで志ん生はまずこれ。
個人的には「今川焼」のくだりや「岩見重太郎のわらじ」のところでクスクス笑うのが好きですが、聴きどころやっぱり「すわりしょんべんしてばかになるなァ」。
ちなみに本物の火焔太鼓は2メートルはある大きなもので、風呂敷に包んで担ぐことは無理のようです。切手のイラストでは担いでますけどね。
【妾馬】
今現在私の中でナンバーワンの噺。「しめこのうさぎ」が出てきます。おめでたい噺ですし、とんちんかんな八五郎、そして酔っぱらっていく志ん生がかわいくてかわいくてずっとハッピーな気持ちで聴けます。「おめでとー」のところは涙さえ出ます。
妹が大名の側室(妾)になって八五郎は殿様から馬をもらう、だから「妾馬」。その馬を八五郎(家来に取り立てられる)は乗りこなせず・・・でもそこまでやらないみたいです。私もその方がいいと思います。
【替り目】
私は小学生のとき『火焔太鼓』を初めて聴いたのですが、そのときは志ん生に特別な感情は持ちませんでした。酔っぱらいのようなしゃべり方でよくわからないなあという素直な感想。
けれども去年の秋、この『替り目』を聴いて恋に落ちました。自分も大人になったと実感しました。リードの「ろくでなしのうた」はこの話に出てきます。
【黄金餅】
お坊さんのお経必聴です(「てけれっつのぱあ」)。
筋はというと、西念はドケチですし挙句の果て死んでしまうし、金兵衛はお金を取ってしまう。みんな自我まるだしで、胸がスーっとする話ではありません。けれども聴くとおもしろい。志ん生いわくこの話は難しいそうで。
ちなみに私は下谷山崎町から麻布絶口のお寺までの道のりを、フムフムいいながら古地図でチェックしました。
【鈴振り】
「左甚五郎」あとからちょっと間延びする感もあるけれどサゲがおもしろい。
なんの予備知識もなく聴いて一番初めは正直ムカつきました。「私こういうのキライ」と。純情娘なのです。けれどもあるときこのあらすじを人に話したら、落語を聴いたことない人が大笑いしていました。あんたも好きね~、という笑い。みんな下ネタ大好きなんだから。
こういった艶ばなしは、噺家がお座敷に呼ばれたようなとき、つまりお酒も入るしちょっとした座興でやっておくれよ、というときに話すことが多いそうですね。
左甚五郎のところで「内緒ですよ」と笑う志ん生はかわいいにもほどがある。私の鈴が振り切れます!
【大津絵(冬の夜に)】
小泉信三先生が毎回毎回聴いて泣いたという曲。決してうまいと思わないのですが、聴いていると気持ちよく歌っているのがわかるような気がします。歌は魂の叫びですからね。昔歌の稽古もしていたそうで、志ん生はよく話の中で歌を歌っています。
志ん生は昭和36年12月に脳溢血で倒れています(なんで巨人の祝勝会なんかに・・・)。危篤状態というニュースも出ましたが、奇跡的に回復し昭和38年に高座に復帰しています。最後の高座は昭和43年です。本当の最後は聴いているのがちょっとつらかったとか。それでも、生きてくれているだけでありがとう、と。
この Favorite 集のなかで、いわゆる病後のものは『鈴振り』です。なんも知らないときは酔っぱらっているのかしらと思っていましたが。でも悪くないと私は思います。
おそまつさまでした。では最後にやっぱりかわいい志ん生でしめたいと思います。
味の素あまり不思議でなめてみる 志ん生