コーブンの村へ入った。
異形のナオの姿を見ると、住んでいる人間たちは、
ぎょっとした表情になって、めいめい家の中へ逃げ込んでいった。
その後も誰一人として、外出しようとする様子もない。
ナオは、どことなく寂しい気持ちを抱きながら、
村の反対側へ通過しようとした。
村の端の小屋から、悲鳴や罵声が聞こえてきた。
近づくにつれて、人々の声は大きくなっていく。
バシッという音と共に、小屋の扉が壊れ、中から男が転がり出てきた。
姿形は人間と変わらないが、灰色がかった青い肌をしている。
青い男が立ち上がる間に、人間の男が出てきた。
後ろに、数人の取り巻きがくっついている。
彼らは皆、ナオが見ている事に気づいて静まりかえった。
ナオは彼らの前に進み出て、青い男を庇うように立った。
自分はずっと、一人で大勢の相手と戦ってきた。
大勢で一人を攻撃するのを見るのは、無性に腹が立った。
ナオは鉤爪を振るって飛びかかり、人間の男を吹き飛ばした。
それだけで、人間たちは唖然となり、続いて怒号が上がった。