【2014-2015年度】地区補助金奨学生 木原 慎一朗さん(今治南ロータリークラブ推薦)
9月1日、神戸の学生寮で修士論文(dissertation)を書き終えました。
先行研究のまとめ(literature review)、方法論の確認(methodology)、データの収集(data collection)に相当な時間を費やしたため、
収集データの分析(data analysis)、考察(discussion)、今後の研究課題の検討(limitation)などを本格的に書き始めたのは8月に入ってからでした。
バーミンガム大学に入学して以降、6本の論文課題(合計約24000語)を書き、それなりの評価を受けていた自信もあり、今回の15000語を甘く見ていました。
確かに、就職試験と並行して研究を進めることは負担になりましたが、毎日もっとコツコツと進められていたらよかったと反省しています。
特に、最後の2日間(8月30日、31日)は、これまでの人生で最も頭をフル稼働させた48時間でした。
何とかインターネットのマイページから修士論文を提出し、お気に入りのチョコレートを食べながらバクバクした心臓を落ち着かせました。
今回の評価は9月末に発表される予定です。これで卒業できるかどうかが決定するため、チョコレートに頼る生活はしばらく続きそうです。
その修士論文について、内容の概要は次のようになります。
第2言語を学習する教室において、生徒の発話に含まれる誤りに対し、教師は口頭でこれを訂正しますが(oral corrective feedback)、その訂正は以下の6種類に分類されます。
明示的訂正(explicit correction)、リキャスト(recasts)、明確化要求(clarification requests)、メタ言語的訂正(metalinguistic feedback)、誘導(elicitation)、繰り返し(repetition)です。
明示的訂正とは、生徒の誤りを否定し、正しい表現を提示することを言います。
リキャストとは、会話の流れを維持したまま、生徒の誤りを正しく言い換えることを言います。
明確化要求とは、生徒の自己訂正を促すために、言い直しを要求することを言います。
メタ言語的訂正とは、言語的(例えば時制や人称について)誤りがあることを指摘することを言います。
誘導とは、明確化要求と同じく、生徒の自己訂正を促すために、生徒の誤りの直前まで、その発話を模倣することを言います。
繰り返しとは、生徒の誤りを上昇イントネーションで繰り返すことを言います。
先行研究によると、上記6種類の口頭訂正フィードバックの中では、リキャストの使用頻度が最も高い傾向にあります。
これが日本人学習者を対象とした教室(Japanese context)にも適用されるかどうか観察しました。
4人の英国人教師の授業を観察した結果、先行研究の傾向とは必ずしも一致しませんでした。
すなわち、観察した授業の少なさを考慮する必要はありますが、日本人英語学習者に対する口頭訂正フィードバックの傾向には、それまでの傾向が適用されない独自性があることが明らかになりました。
また、この観察と同時に、自身の口頭訂正フィードバックについての各教師の信念(beliefs)について、アンケートによる調査をしました。
実際の教室活動における訂正の傾向と、自身の信念の間の乖離程度を明らかにするためです。
これを明らかにすることにより、教師が教室活動と信念のギャップを自覚することができ、よりレッスンプランに沿った授業を展開できるようになることが期待できます。
アンケート調査の結果と前述の教室内口頭訂正フィードバックの傾向を比較してみると、全体的に両者不一致の状況にあることが明らかになりました。
今回の研究の弱点としては、研究期間の短さと被験者の少なさが挙げられます。これを改善し、より精度の高い分析結果を出すことが、今後の研究課題です。
学生としての研究はこれで終わってしまいますが、これからも研究は続けていきます。それが、多くの方々に支えられながら学生生活を送った私の使命(mission)であると考えています。
趣味としての研究になりますが、その立場に甘んずることなく、第2言語習得(Second Language Acquisition(SLA))と英語教授法(Teaching English as a Foreign Language(TEFL))の研究領域に貢献できるよう精進します。
今治北高校在籍時から、海外(当時はどちらかというと米国志向でしたが)で勉強することについての憧れは持っていました。
しかし、自身の能力不足に加え、具体的な留学先のイメージが確定できなかったこともあり、大学院留学は夢のまま終わるところでした。
それが、こうして英国留学するに至り、グラスゴー・インターナショナル・カレッジ(グラスゴー大学の語学養成カレッジ)とバーミンガム大学で無事にコース修了まで在籍してこられたのは、資金援助があったからこそです。
日本人が学位取得のための留学をしないのは、日本の大学卒業時期と海外(主に欧米)の大学入学時期のズレ、海外の大学卒業時期と日本の就職時期のズレが大きな原因であると指摘されています。
この点、私個人の例のみを根拠に主張するなら、それは全く見当はずれの分析です。
確かに、日本の多くの大学は3月に卒業式を迎え、海外の大学の9月の入学式までは約半年間のギャップがあるため、その期間を無駄だと感じる気持ちは理解できます。
しかし、海外に1度も出たことがない学生にとって、そのための準備は不安なことだらけで大変であり、実際のところ、半年間では足りないくらいです。
その準備を日本の大学在籍中にするとしたら、研究に支障を来し、何のための留学なのかわからなくなります。
したがって、入学時期についてのギャップは、むしろプラスの側面が大きいと思います。
海外の大学の卒業時期についても、9月の卒業式から翌年4月の就職までのギャップが何の問題になるのでしょうか。
日本の就職活動の時期については、今年に大きな変革(就職試験解禁日の後ろ倒し)がありました。
残念ながら、それを実施しているのは一部の法人に限られているようですが、留学生(帰国生)にとって、いい方向に動いているのは間違いありません。
日本の大学生にとっても、夏季休暇中に就職試験を受けることになるため、これまでの就職活動状況と比較すると、勉学への影響が小さいと思われます。
にもかかわらず、今年の変革に否定的な意見が多いようですが、ニュースを見ている限り、納得のいく批判理由はありません。
前置きが長くなりましたが、日本人の留学を抑制している大きな要因は、留学にかかる費用であると考えます。
英国の大学に関していえば、その学費は日本の大学とは比較になりません。さらに、毎年30万~50万ほどの授業料の値上げは当然のように行われます。
銀行の教育ローンについても、そう簡単に受けられるものではありません。
このような状況において、日本人学生のための奨学金制度の存在は、非常に大きな助けとなります。
私の場合、ロータリークラブの補助金があったからこそ、英国留学を実現できたと言っても過言ではありません。
改めて、この場をお借りして、ロータリークラブの皆様に深く感謝申し上げます。
★グラスゴー・インターナショナル・カレッジ

★グラスゴー大学

★バーミンガム大学

9月1日、神戸の学生寮で修士論文(dissertation)を書き終えました。
先行研究のまとめ(literature review)、方法論の確認(methodology)、データの収集(data collection)に相当な時間を費やしたため、
収集データの分析(data analysis)、考察(discussion)、今後の研究課題の検討(limitation)などを本格的に書き始めたのは8月に入ってからでした。
バーミンガム大学に入学して以降、6本の論文課題(合計約24000語)を書き、それなりの評価を受けていた自信もあり、今回の15000語を甘く見ていました。
確かに、就職試験と並行して研究を進めることは負担になりましたが、毎日もっとコツコツと進められていたらよかったと反省しています。
特に、最後の2日間(8月30日、31日)は、これまでの人生で最も頭をフル稼働させた48時間でした。
何とかインターネットのマイページから修士論文を提出し、お気に入りのチョコレートを食べながらバクバクした心臓を落ち着かせました。
今回の評価は9月末に発表される予定です。これで卒業できるかどうかが決定するため、チョコレートに頼る生活はしばらく続きそうです。
その修士論文について、内容の概要は次のようになります。
第2言語を学習する教室において、生徒の発話に含まれる誤りに対し、教師は口頭でこれを訂正しますが(oral corrective feedback)、その訂正は以下の6種類に分類されます。
明示的訂正(explicit correction)、リキャスト(recasts)、明確化要求(clarification requests)、メタ言語的訂正(metalinguistic feedback)、誘導(elicitation)、繰り返し(repetition)です。
明示的訂正とは、生徒の誤りを否定し、正しい表現を提示することを言います。
リキャストとは、会話の流れを維持したまま、生徒の誤りを正しく言い換えることを言います。
明確化要求とは、生徒の自己訂正を促すために、言い直しを要求することを言います。
メタ言語的訂正とは、言語的(例えば時制や人称について)誤りがあることを指摘することを言います。
誘導とは、明確化要求と同じく、生徒の自己訂正を促すために、生徒の誤りの直前まで、その発話を模倣することを言います。
繰り返しとは、生徒の誤りを上昇イントネーションで繰り返すことを言います。
先行研究によると、上記6種類の口頭訂正フィードバックの中では、リキャストの使用頻度が最も高い傾向にあります。
これが日本人学習者を対象とした教室(Japanese context)にも適用されるかどうか観察しました。
4人の英国人教師の授業を観察した結果、先行研究の傾向とは必ずしも一致しませんでした。
すなわち、観察した授業の少なさを考慮する必要はありますが、日本人英語学習者に対する口頭訂正フィードバックの傾向には、それまでの傾向が適用されない独自性があることが明らかになりました。
また、この観察と同時に、自身の口頭訂正フィードバックについての各教師の信念(beliefs)について、アンケートによる調査をしました。
実際の教室活動における訂正の傾向と、自身の信念の間の乖離程度を明らかにするためです。
これを明らかにすることにより、教師が教室活動と信念のギャップを自覚することができ、よりレッスンプランに沿った授業を展開できるようになることが期待できます。
アンケート調査の結果と前述の教室内口頭訂正フィードバックの傾向を比較してみると、全体的に両者不一致の状況にあることが明らかになりました。
今回の研究の弱点としては、研究期間の短さと被験者の少なさが挙げられます。これを改善し、より精度の高い分析結果を出すことが、今後の研究課題です。
学生としての研究はこれで終わってしまいますが、これからも研究は続けていきます。それが、多くの方々に支えられながら学生生活を送った私の使命(mission)であると考えています。
趣味としての研究になりますが、その立場に甘んずることなく、第2言語習得(Second Language Acquisition(SLA))と英語教授法(Teaching English as a Foreign Language(TEFL))の研究領域に貢献できるよう精進します。
今治北高校在籍時から、海外(当時はどちらかというと米国志向でしたが)で勉強することについての憧れは持っていました。
しかし、自身の能力不足に加え、具体的な留学先のイメージが確定できなかったこともあり、大学院留学は夢のまま終わるところでした。
それが、こうして英国留学するに至り、グラスゴー・インターナショナル・カレッジ(グラスゴー大学の語学養成カレッジ)とバーミンガム大学で無事にコース修了まで在籍してこられたのは、資金援助があったからこそです。
日本人が学位取得のための留学をしないのは、日本の大学卒業時期と海外(主に欧米)の大学入学時期のズレ、海外の大学卒業時期と日本の就職時期のズレが大きな原因であると指摘されています。
この点、私個人の例のみを根拠に主張するなら、それは全く見当はずれの分析です。
確かに、日本の多くの大学は3月に卒業式を迎え、海外の大学の9月の入学式までは約半年間のギャップがあるため、その期間を無駄だと感じる気持ちは理解できます。
しかし、海外に1度も出たことがない学生にとって、そのための準備は不安なことだらけで大変であり、実際のところ、半年間では足りないくらいです。
その準備を日本の大学在籍中にするとしたら、研究に支障を来し、何のための留学なのかわからなくなります。
したがって、入学時期についてのギャップは、むしろプラスの側面が大きいと思います。
海外の大学の卒業時期についても、9月の卒業式から翌年4月の就職までのギャップが何の問題になるのでしょうか。
日本の就職活動の時期については、今年に大きな変革(就職試験解禁日の後ろ倒し)がありました。
残念ながら、それを実施しているのは一部の法人に限られているようですが、留学生(帰国生)にとって、いい方向に動いているのは間違いありません。
日本の大学生にとっても、夏季休暇中に就職試験を受けることになるため、これまでの就職活動状況と比較すると、勉学への影響が小さいと思われます。
にもかかわらず、今年の変革に否定的な意見が多いようですが、ニュースを見ている限り、納得のいく批判理由はありません。
前置きが長くなりましたが、日本人の留学を抑制している大きな要因は、留学にかかる費用であると考えます。
英国の大学に関していえば、その学費は日本の大学とは比較になりません。さらに、毎年30万~50万ほどの授業料の値上げは当然のように行われます。
銀行の教育ローンについても、そう簡単に受けられるものではありません。
このような状況において、日本人学生のための奨学金制度の存在は、非常に大きな助けとなります。
私の場合、ロータリークラブの補助金があったからこそ、英国留学を実現できたと言っても過言ではありません。
改めて、この場をお借りして、ロータリークラブの皆様に深く感謝申し上げます。
★グラスゴー・インターナショナル・カレッジ

★グラスゴー大学

★バーミンガム大学
