先週末、兵庫県立考古博物館へ、ぷにょさんが面識のあるダントーのマジョリカタイルにお詳しい深井先生に
お話を伺いに訪れてきた。
深井先生は、「タイル考古学」を提唱され、タイルの図柄などによる作成時期特定や
タイルの世界的な広がりについて研究を続けておられる。
縄文時代がご専門だったそうだが、淡路島の珉平焼窯跡の発掘調査に携わられたことがきっかけで
タイルの面白さに引き込まれていかれたという。
こちらの博物館では、その珉平焼窯跡から発掘された珉平焼やマジョリカタイルなどの陶片も所蔵されていて、
お話をお伺いした前後に展示品のタイルや、更に今回は「タイル友の会(TTK)」(つい先日発足?!)
として正式に申請をしていたので、所蔵庫に保存されている発掘品のタイル片も多数拝見させて頂くことができた。
JR土山駅から徒歩約15分、見えてきた博物館の建物は古代の丘をイメージしたものだそうで、
芝生のような草に覆われてる。日本古来の種、チガヤという植物が植えられているのだとか。
壁面は地層がイメージされたもの。
参加体験型の博物館は子供たちや家族連れが興味をそそられるような展示工夫や
さまざまなイベントなども定期的に行われてるようで、縄文土偶づくりや古代のかごづくりなど興味深いワークショップも
催されているようだった。
古代の土器の修復作業の現場を見れるコーナーもあったりして興味深いなあ。(平日のみ)
素人が見ると単なる石片にしか見えない。
こんな破片からパズルのように組み合わせ復元できるとは・・
熟練の技が必要なのだそう。
地下には巨大な収蔵倉庫もあり、バックヤード見学デッキからも見ることができる。
収蔵展示品の中には珉平焼とマジョリカタイルのコーナーもあり、そちらもじっくり見学。
海外輸出用に作られた食器類は色合いがカラフル。
珉平焼特有の三彩釉の小皿。
窯跡発掘品なので、欠けなどがある失敗作になる。
発掘時には大量の失敗品が廃棄された層が6mも堆積していたのだそう。
緑と黄色の発色が本当に鮮やかだなあ。
この蓋らしきものについた桃のつまみもとても愛らしい。
展示は引き出し式になっていて、1番上の引き出しを開けると、最も古い明治30年代に湿式製法で作られたマジョリカタイル
が並べられている。湿式タイルは粘土を土型に押し込み成型したもので厚さは通常15mm以上とぶ厚くなっている。
こちらは網干の山本邸の外便所の内壁に貼られていたのと同じデザインのものだなあ
四隅に松のモチーフ、真ん中に温泉の文字が入るタイルはどこの温泉で貼られてたんだろう?
あまり見かけない紫の釉薬に洋柄のものも
こちらは上の模様と同じだけど、単色だと別のデザインに見えるなあ。
マレーシアのマラッカのカンポンクリンモスクで使われていたものと同じタイルだ。
こちらは台湾では最もポピュラーな柄といわれてたタイルだ。
このデザインのタイルも初めてみた。
ここからは乾式タイル製法で作られたもの
乾式タイルは粉砕した土や岩石で金型を用いて機会により圧縮成形したもの。
厚さは10mm前後、最大でも13mm程度だという。
湿式から乾式へ、より扱いやすいように薄く、軽いものへと進化していった。
このデザインも初めて見るなあ。
こちらも、アールヌーヴォーの曲線が美しい。
こちらのレリーフタイルも珍しいものだそうで、見たことのないデザイン。
通常は約15cm四方のマジョリカタイルだけれど、
その1/4ほどの大きさのものもあった。
銅板転写タイルもいろいろ。
お昼からは企画展、「ひょうごの遺跡2009~2018」の深井先生によるギャラリートークもあったので
そちらにも参加させて頂いた。
発掘品の解説もいろいろと興味深く、親子の水鳥埴輪にはほのぼのさせられた。
この後も貴重な珉平焼窯跡の発掘品のさまざまなタイルを解説してもらいながら見せて頂いたり、私たちが訪れた台湾のマジョリカタイルミュージアムやそれぞれが発見したタイルスポットの情報交換などなど、話は尽きず・・
結局ほぼ閉館時間まで長居してしまい、お話をさせて頂くことができ、大変有意義な時間を過ごすことができた。
お忙しいところ本当にありがとうございました。